アイコン 三菱重工長崎造船所は生き残ることができるのか まず分社化敢行

三菱重工業長崎造船所の所長に就任した横田宏新所長が記者会見し、採算が悪化している商船事業の分社化を10月に控えていることについて「事業復活の最後のチャンスと考えている」と述べ、危機感を持って進める方針を示した。
横田宏新所長は、神奈川県出身の61歳で、昭和51年に三菱重工業に入社し長崎造船所で勤めたあと、本社のタービン技術部長などを経て今月1日付けで長崎造船所長に就任した。
三 菱重工業は、韓国や中国メーカーとの激しい価格競争などで採算が悪化している長崎造船所の商船事業について、大型客船の建造部門を残しLNG=液化天然ガ ス運搬船の製造部門などを今年10月に分社化予定、9日開かれた記者会見で横田新所長は「復活の最後のチャンスという危機感を持って取り組みたい」と述べ た。

その上で長崎造船所について、「グループにとって重要な製造拠点で維持するのが私の職責」と述べたが、「本社はそれぞれの事業の業績を冷徹な目で見ている。業績が悪ければ続けていくことにはならないだろう」と強い危機感を示した。

また大型客船の事業からの撤退については、「今後は検討中だが、一切、造らないことはない」と述べた。
 三菱重工業では分社化されたあとも雇用は維持されるという。
以上、

製造業の大企業における分社化は、整理する前段階の一つの方法として採用されている。
三菱重工が造船事業に対して分社化という鉄槌を食らわせたのは、2013年6月17日、三菱重工長崎造船所で製造した商船三井向けの大型コンテナ船MOL COMFORT(登録総トン数86,692トン、載貨重量トン90,613トン)が、インド洋のシケで、中央部分からまっ二つに折れその後沈没したことにある。
今でもその損害について、商船三井ら約100社が事故船舶を製造した三菱重工に対して600億円の損害賠償請求訴訟を起こしている。
また、三菱重工が同工法で製造して運航している船舶(6隻と準運用4隻?)についても、国際機関から鋼板強化の改修工事をするよう要求されていた。
そうした改修船舶まで含めた損害額は同社にとって、はかり知れないものとなっている。

2007年6月に就航したMOL CREATIONは、世界で初めて従来に比べて2割ほど強度を高めた降伏応力47 kgf/mm2級鋼板(47キロハイテン)を船体上部構造に採用した。これにより軽量化と低重心化を達成し、コンテナ搭載数の増加とバラスト水搭載量の低減により経済性を向上させた、当時、最新鋭のものとなった鳴り物入りの船舶だった。

こうした問題の腹いせか、商船三井は(2015年)2月12日、韓国の大宇造船海洋に対し積載量18万立方メートル級の液化天然ガス(LNG)運搬船1隻を発注した。
 また、(2015年)3月2日には、サムスン重工業に対して、積載量2万100TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個分)の世界最大級のコンテナ船4隻を約740億円で発注した。
(日本の造船会社は当然三菱重工だけではないのだが・・・)

こうした事故を受け、三菱重工の造船部門は、日本の最大級の商船会社からの受注もできなくなるほど信用を失墜させている。過去2002年10月、建造中で最後の艤装(内装)工事中の客船の大火災なども同じといえる。
長崎造船所は、よほど信用回復させない限り致命傷にもなりうる。岩崎氏も過去のものだ。
最後に、何とか踏ん張って欲しいものだ。

[ 2015年4月10日 ]
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