＜２０１４年の世界の造船市場＞英クラークソン
英クラークソンによると、２０１４年の世界の船舶発注量は前年比▲３４．７％減の３,９６９万９千ＣＧＴ（標準貨物船換算トン数）だった。
原油価格の暴落、低迷続く欧州経済、不動産バブル崩壊で成長率が下降に転じた中国経済、こうした世界経済の減速の影響を受けた。
＜２０１４年中国＞
中国造船業界の２０１４年総受注量は、１,５３１万ＣＧＴとなり連続して世界第一位、シェアは３８．６％と前年の４１．５％より落ちた。
＜２０１４年韓国＞
韓国の受注量も前年比▲３６．４％減の１,１７８万４千ＣＧＴ、シェアも２９．７％となり前年の３２．１％より悪化した。
＜２０１４年日本＞
円安効果で浮上してきたとされる日本の造船業であるが、単に落ち込み率が少なかっただけ。前年比▲２５．９％減の７８３万６千ＣＧＴ、シェアは、落ち込み率が少なかったことから、１９．７％に高まった（２０１３年１７．４％）。

以上、世界の造船市場の８８％を東アジアの３ヶ国が受注していることになる。

日本は無視するものの犬畜生のように一方的に日本をライバル視する韓国は、こうした結果を受け、日本は円安により価格競争力を高めたとしている。しかし、前年より落ち込み数が若干少なかっただけであり、中韓と異なり日本勢は闇雲には受注しておらず、既存顧客からや日本の商社経由で受注しているに過ぎない。

＜商船三井＞
しかも、日本からは韓国が大好きな商船三井が発注し続けてもいる。
サムスン重工業は３月２日、日本の造船所を嫌いになった商船三井から世界最大級となる2万100TEU(20フィート標準コンテナ換算)のコンテナ船4隻を総額6810億ウォン(約742億円)で受注したと発表した。(サムスン重工は、２０１４年は一昨年にクレームが多発し受注を大幅に減らしていた)

韓国の大宇造船海洋は２月１２日、商船三井から積載量１８万立方メートル級の液化天然ガス（ＬＮＧ）運搬船１隻を受注したと発表した。
（韓国の造船所では、中国製の粗悪な厚板が使用されないか心配であるが・・・、また、日本には商船三井が嫌いな三菱重工以外にも造船所はいくらでもあるのだが・・・）

・・・商船三井の株主総会で問題にならないのだろうか。

＜日本　１月の受注量世界一に＞　
日本では１月、今治造船が台湾のエバーグリーンから丸紅経由でコンテナ２万個積載可能な超大型のメガコンテナ船１１隻を受注した。こうしたことを受け、１月は日本が７年ぶりに単月受注世界№１となった。
英クラークソンによると、１月の世界の船舶発注量は２１５万７千ＣＧＴ（標準貨物船換算トン数）で前年同月比▲２１３％減少し、前月比では▲８４％減少した。

造船市場が経済低迷・原油安で縮小するなか、日本の受注量は前月比７７％増加の９９万１千ＣＧＴで、シェア４５．９％となり１位となった。
日本が月間ベースの受注量で１位になったのは２００８年３月以来６年１０ヶ月ぶり。円安で価格競争力が高まったためとみられる。

２位になった韓国は、全体の３０．９％となる６６万７０００ＣＧＴを受注。前年同月比▲１７３％減、前月比でも▲２１４％減った。

３位となった中国の受注量は、前年同月比▲６７８％減、前月比▲１０７％減少となる３７万９０００ＣＧＴで、シェア１７．６％と大幅に落ちた。
(中国がこうした落ち込みが続けば、中国の覇権主義や政治体制に対する不安が発注側にあるものと見られる。しかし、発注側は所詮銭儲けの商船会社、安けりゃどこにでも発注することだろう)

３月の韓国は商船三井からの大型受注があり、ダントツの第一位になると見られる。

LNG船やタンカーは、米国が２０１６年からも順次シェールガス・オイルの輸出が解禁されることから、今後タンカー等の発注が増加すると見られている。カナダのオイルサンド原油も増産され続けており、アメリカで精製することもありアメリカへパイプラインで輸出されている。その分も米市場の押し出しから輸出に向けられる量が急激に増加する可能性が高い。