アイコン 韓国経済 強いウォン 貿易黒字39ヶ月連続 最高額更新中

ウォン高は、輸出依存型の韓国経済の輸出力の強さを物語っている。
ウォンの対円相場は、100円が900ウォンを割り込んだが、ソウル外国為替市場の取引時間中に800ウォン台をつけたのはリーマン・ショック前の2008年2月28日以来、7年2ヶ月ぶり。

韓国銀行(中央銀行)よると、年初から今月29日の間にウォンの価値は対ドルで2.8%上昇した。ウォンの対ドル相場(終値)は29日が1ドル=1068.6ウォンで、昨年12月30日(1ドル=1099.3ウォン)から4ヶ月で30ウォン以上のウォン高になった。
上昇率は、主要32ヶ国・地域の通貨のうち台湾ドル(3.9%高)、スイスフラン(3.5%高)に次いで3番目に高くなっている。

同期間の円の対ドル相場は、1ドル=119.46円から118.85円と0.5%上昇した。ウォンの上昇幅が円の5倍以上ということになる。

5月4日現在の為替相場は
対ユーロは1,204.47ウォン
対ドルは1,080.83ウォン
対円は8.994ウォン
(対ドル円は120.100円)
前後で推移している。

米国の利上げ観測を背景に、今年に入り多くの国の通貨価値は、対ドルで下落傾向となった中でウォン高が進んだのは、円安が大きな影響を与えたためとみられる。(円とウォンの為替取引はなく、対ドル円相場と対ドルウォンの関係が、対円でもウォン高になっている)

<韓国 あんたは強い>
為替に強い韓国を招いているのは、韓国の輸出型経済による貿易黒字額の宿命。
貿易黒字が続き、為替が、対ドル・対ユーロ・対円で高くなるのは必然、為替高を嘆くより、貿易収支をまず収支均衡に持っていく必要があるが、原油価格の下落により、輸出額が鈍化傾向にあるものの、輸入額が内需不振もあり大幅に減じ、貿易黒字が続く。
韓国経済そのものが、一部の財閥企業による輸出依存型の国家経済にあり、内需振興策も遅々として進まず、常時、何らかの問題を抱えた政治的な混乱により方向性も失いかけている。

 韓国では、内需刺激策に金利を過去最低の年1.75%に引き下げている。これを受け、株式市場が高騰、また、住宅市場も値上がりに転じている。ただ、個人負債額がさらに膨らむ結果となっており、個人負債増により一般の消費に結びつくのか心配されている。なお、内需不振とされる韓国でも自動車販売台数は、昨年10月より、春節の2月を除き対前年比で増加している。

<1~3月までの経常収支と貿易収支>
韓国の1~3月の経常収支は234億2000万ドルの黒字。これは前年同期(151億9000万ドル)比54.0%も増加している。
今年の経常黒字は、1000億ドル(約12兆円)に達すると予想されている。

 1~3月期の韓国の輸出額は、前年同期比▲2.8%減の1336億ドル(約16兆707億円)、一方、輸入額は、前年同期比▲15.3%減の1122億ドルで貿易黒字額は、214億ドル(約2兆56百億円)となっている。
地域別にみると、輸出は、米国は+13.3%増、中南米は+18.3%増、オーストラリア・ニュージーランドなどオセアニアは+26.3%増、アフリカは+13.6%増などが増加している。
一方、減少は、中国は▲1.4%減、EUは▲21.2%減、日本は▲21.8%減、アジアは▲11.8%減、中東は▲2.9%減、ロシアおよびCISは▲53.4%減となっている。

品目別の輸出では、船舶類は+58.2%増、コンピュータは+13.4%増、半導体は7.5%増、一般機械は+0.6%増の4品目が好調だったが、フラットパネルディスプレイは▲10.5%減、自動車は▲9.0%減、無線通信機器は▲6.2%減などの9品目は振るわなかった。
中国・欧州・東南アジアの経済低迷、および家電・電子製品は中国製品の価格競争が激しくなっている。

<4月の貿易収支、39ヶ月連続黒字、3ヶ月連続の黒字額過去最高更新>
韓国産業通商資源部は5月1日発表した4月の輸出額は、前年同月比▲8.1%減の462億1800万ドル(5兆5200億円)と発表した。
輸出額は、1月には同▲0.9%減、2月は同▲3.3%減、3月は同▲4.3%減と毎月減少を続け、1~4月全体では同▲4.3%減少している。

輸出額の減少は、(1)輸出の1/4を占める中国や世界経済の低迷、(2)原油価格の値下がり、(3)ウォン高が影響している。
  
一方、輸入額は、原油価格の大幅下落と内需不振により、前年同月比▲17.8%減の377億3000万ドルと大幅に減少した。輸出、輸入がそろってマイナスとなるのは4ヶ月ぶり。

その結果、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、84億8800万ドルの黒字だった。黒字は39ヶ月(3年と3ヶ月)連続。また、3ヶ月連続で黒字額が単月として過去最高を更新した。

こうした中でも韓国政府は、「(原油価格下落に起因しているものの)輸出不振打開に向けた輸出活性化対策」を発表するなど緊急対策に乗り出している。ますます貿易黒字額は拡大し、ウォン高がさらに高くなる政策を採り続けている。

何が、輸出減少の因子なのか、輸入の減少要因も精査、また、ウォン高の原因を究明する必要があろう。ウォン高は、世界経済が低迷している中で、貿易黒字が続く限り続くことになる。

ウォン高を嘆く前に、輸出額に匹敵する内需拡大策による輸入増加により、貿易巨額黒字体質を是正し、ウォン高を是正する必要があろう。

貿易黒字の根源である巨額黒字を出すサムスンや現代は、国内投資より中国やベトナムへの海外投資を続けている結果であり、国内企業は内需不振に苦しんで設備投資をせず、原材料の輸入が大幅に減っている。

最近になり、やっとサムスン電子も現代自動車も国民の批判をかわすためか、国内工場への投資を表明している。そうした効果が現れるのは数年後になろうが、冷え込んだ内需を回復させることができるかは不透明。

一時の日本とそっくりとなっている。(ただ、日本も原発を稼動させた場合、原油やLNGの輸入が大幅に減少して貿易黒字になり、米経済が金利上昇後も拡大し続けない限り、また、ちゅうごく・欧州の経済が回復してこない限り、今の円安は必然的に円高に向かう。)

<韓国ウォン対円>
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<韓国ウォン対ドル>
<韓国ウォン対ドル>

 

[ 2015年5月 6日 ]
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