次世代通信規格のサーバー購入名目で高額な配当を謳(うた)い、全国の顧客から多額の資金を集めていた合同会社「クリアースカイ」(京都市)と代理店に対し、被害者弁護団(団長・加藤博太郎弁護士)が、預託法違反などの疑いで消費者庁に告発する方針を固めたことが14日、わかった。被害者は全国で約5000人、被害総額は約250億円に上るとみられる。弁護団は同日、都内で記者会見し、全容解明を求める。
「高利回り」で勧誘
関係者によると、同社は「IPFS(分散型ストレージ)」と呼ばれる最新技術のサーバーを購入すれば、第三者企業に貸し出す運用益で高利回りの配当が得られると称し、セミナーなどを通じて勧誘。一口数十万円から数百万円を投資させていた。
しかし、昨年以降、配当の遅延が相次ぎ、現在は会社側と連絡が取れない状態に陥っている。弁護団は、実際には事業の実態がほとんどないにもかかわらず、新規の出資金を既存客の配当に回す「ポンジ・スキーム」の疑いがあるとみている。
「第三者破産」申し立て
事態を重く見た弁護団は今月7日、京都地裁に同社の第三者破産を申し立てた。裁判所が選任する破産管財人を通じて隠匿された資産の保全を急ぐとともに、資金の流出先を特定する狙いがある。
加藤弁護士は本紙の取材に対し、「最新技術を盾にした悪質な『現物まがい商法』だ。行政処分を促すとともに、詐欺容疑での刑事告訴も視野に厳しく追及していく」と話している。
禁止された預託商法
販売を伴う預託商法は、過去に「安愚楽牧場」や「ジャパンライフ」などの巨額詐欺事件が相次いだことを受け、2022年の預託法改正で原則禁止された。今回のケースでも、同法が禁じる無許可の預託契約に該当する可能性が極めて高い。
【視点】技術の「ブラックボックス」を悪用
今回の事件の背景には、「IPFS」という一般には馴染みの薄い専門用語が悪用された構図がある。ITに詳しくない高齢者や主婦層に対し、「最新の仕組みだから儲かる」という根拠のない言葉で投資を煽る手口は、近年の暗号資産を巡るトラブルと共通している。
法改正で規制が強化された後も、形を変えて繰り返される組織的詐欺。巧妙化する手口に対し、消費者はもとより、SNSなどを通じた勧誘に対するさらなる監視強化が急務となっている。