建設業者の賃金未払い事件が示す構造的不況/昭和建設
倒産・退出増の背景に「収益環境の悪化」と「人手不足」
愛媛県大洲市の土木工事業者、昭和建設が従業員への給与を最低賃金以下で支払っていた疑いで書類送検された事件は、同業界が抱える構造的な困難を象徴している。昭和建設は既に閉鎖しており、法令遵守以前に経営基盤が限界に達していた可能性が高い。
一連の統計・調査によれば、国内建設業の倒産件数は増加傾向が続いており、過去数年で最多水準にある。2025年上半期だけでも建設業の倒産(負債1千万円以上の法的整理)は986件に達し、前年同期から増加していると報告されている。これは4年連続の増勢で、職人不足・高齢化・資材価格高騰といった業界固有の課題が主因とされる。
人手不足も倒産増加を後押ししている。2024〜2025年にかけての統計では、建設業における「人手不足倒産」は過去10年で最多レベルに達しており、中小・零細企業ほど深刻な傾向がみられる。職人の高齢化や若年労働力の確保難が経営体力を圧迫していることが背景にあると指摘されている。
こうした環境下では、収益改善が進まない企業ほど資金繰りが悪化しやすい。公共工事中心の受注構造では、元請けからの単価転嫁が限定的であることも、コスト上昇を価格に反映できない要因となっている。これが、賃金支払いの遅延や未払いといったコンプライアンス違反につながる例も出てきたとみられる。
さらに、2025年は企業全体の倒産件数が全国で1万件を超える可能性が高く、休廃業・解散を含めると市場からの退出企業は7万件台にも達する見込みだ。建設業も例外ではなく、小規模事業者の退出・倒産が業界構造そのものの変化を促している。
昭和建設の事件は、「倒産・事業停止」という形だけでなく、賃金支払い能力の喪失という形で企業の脆弱性が露呈した事案でもある。建設業界の今後は、経営体力の強い企業による再編や合従連衡、人材確保・労務改善といった対応が進まなければ、同種の事案がさらに増える可能性がある。





