アイコン 燃料拠点の撤退、佐世保のタクシーに転機 LPG車200台の行方

Posted:[ 2026年6月11日 ]

長崎県佐世保市のタクシー業界が、燃料インフラの見直しを迫られている。市内でタクシー向けの液化石油ガス(LPG)を供給してきた事業者が、2027年10月末をめどに廃業する方針を示したためだ。市内を走るタクシー約400台のうち、およそ半数はLPG車とされ、燃料供給の継続が大きな課題となっている。

LPG車は長く、タクシーの主力車両として使われてきた。ガソリンに比べて燃料費を抑えやすく、営業車としてのメリットがあったためだ。しかし近年は、国際情勢の不安定化やエネルギー価格の上昇を背景に、LPGの価格優位は薄れている。供給する側にとっても、販売量の減少と設備維持の負担が重なり、採算を確保しにくくなっている。

今回、廃業方針を示したのは、佐世保市梅田町の「S・A・G」。2006年の創業以降、市内タクシーの燃料供給を担ってきた。かつて市内には複数のLPGスタンドがあったが、撤退が相次ぎ、同社が市内唯一の供給拠点となっていた。

 



スポンサーリンク

同社を利用するタクシーは1日あたり約100台にのぼる。仮に市内でLPGを補給できなくなれば、事業者は東彼杵郡波佐見町など市外のスタンドへ向かう必要がある。燃料補給のための移動が増えれば、空車走行や乗務員の拘束時間が膨らみ、営業効率は下がる。地方のタクシー会社にとって、これは小さくない負担となる。

現実的な対応としては、LPG車を順次廃車し、ガソリン車やハイブリッド車へ切り替える選択肢が浮上する。ただ、車両更新にはまとまった資金が必要だ。燃料費や人件費の上昇、運転手不足に直面するなか、タクシー会社にとって新たな投資負担は重い。

問題は、業界内だけにとどまらない。佐世保市は坂道や入り組んだ地形も多く、高齢者の通院や買い物、観光客の移動などでタクシーの役割は大きい。燃料供給の制約によって稼働台数が減れば、市民生活や観光の足にも影響が及びかねない。

S・A・Gは、業界への影響を考慮して廃業時期を設定したとしているが、採算面ではすでに厳しい状況にある。廃業時期が前倒しされる可能性もあり、残された時間は限られている。

佐世保市タクシー協会は、今後の対応を検討し、市や県にも働きかける考えだ。LPG供給を何らかの形で維持するのか、それとも車両転換を加速させるのか。地方都市の移動を支えるタクシー業界は、燃料インフラの縮小という新たな課題に直面している。

 

 


スポンサーリンク

HTML Comment Box is loading comments...



※記事の削除等は問合せにて。

 




スポンサーリンク

スポンサーリンク