MTG、中国子会社解散の衝撃 「チャイナ・リスク」と決別する日本企業の現在地
美容機器大手MTG(本社・名古屋市)が、中国子会社「MTG上海」を解散すると発表した。主力ブランド「ReFa(リファ)」を武器に中国市場へ展開してきた同社にとって、今回の決定は単なる一拠点整理ではない。日本企業が直面する中国市場の構造変化と、経営戦略の転換を象徴する動きと言える。
「チャイナ・リスク」の現実化、成長市場の前提が崩れた
MTG上海の解散は、中国市場がもはや「無条件の成長エンジン」ではなくなったことを示している。中国では不動産不況の長期化や若年層の失業率上昇が消費マインドを直撃し、高価格帯の美容機器の需要が鈍化した。
加えて、中国ローカルブランドの台頭も大きい。機能性と価格競争力を武器にした現地勢が市場を席巻し、日本ブランドの優位性は急速に薄れている。MTG上海は売上自体は一定の伸びを見せていたものの、2024年12月期も営業赤字が続き、将来的な収益化の道筋が描けない状況にあった。
不適切会計問題が残した「見えないコスト」
今回の撤退判断には、2019年に発覚した中国子会社での不適切会計問題の影響も無視できない。現地取引の不透明さが明らかになり、ガバナンス強化に多大な経営資源を割かざるを得なくなった。
管理体制を立て直しても赤字が解消されない現実は、本社にとって「管理コストが利益を上回る負の遺産」となっていた可能性が高い。中国事業は、単に儲からないだけでなく、経営リスクを増幅させる存在へと変質していた。
国内回帰と「選択と集中」への転換
MTGは今後、「グローバル事業の早期黒字化」と「国内市場への集中」を掲げる。日本国内では、ReFaのシャワーヘッドやドライヤーなど、日常使いの美容家電が安定した支持を獲得している。
また、中国市場そのものを完全に捨てるわけではない。現地法人を持たず、訪日外国人向け販売や越境ECに軸足を移すことで、リスクを抑えながら需要を取り込む戦略へと舵を切ったとみられる。
ReFa撤退が示す時代の転換点
今回のMTGの決断は、中国市場への幻想を断ち切り、収益性の高い事業を守るための「守りの攻め」と言える。
かつて“爆買い”の象徴だったReFaブランドが、現地法人の解散に踏み切った事実は、日本企業にとって中国での成功体験が通用しないフェーズに入ったことを強く印象付ける。成長を追い求める時代から、リスクを見極め、利益を確実に積み上げる時代へ。MTGの決断は、その転換点を映し出している。





