アイコン イー・キャッシュ/度重なる内輪揉め? 臨時株主総会議案に付き訴訟

同社は12月29日、現役の社外取締役と社外監査役を解任する付議事項の株主総会を1月12日に開催する予定であるが、当該の社外監査役から解任の付議事項差し止めの仮処分申請を東京地方裁判所に起こされたと発表した。
これに先立ち10月19日(第1ラウンド)に、前取締役である宮嶋淳氏(株主:8%所有)が株主として、玉木社長と小山取締役に対して、業績不振などを理 由に取締役解任を付議事項とする臨時株主総会開催を要求していた。それに対し同社取締役会は、業績は改善されているとして付議しないことを決議した。しか し、何故かなぜか臨時株主総会は開催すると発表していた。

こうした経緯のなか、12月9日、社外取締役と社外監査役各1名の解任を付議事項とする臨時株主総会の開催請求を新たに受け、同社は開催を予定していた臨時株主総会で何故か付議事項にすると発表した。
第2ラウンドは、株主である榎淳一郎、鵜沢茂郎、船本通生の3氏が、会社側に対して、鼓社外監査役と横尾社外取締役は「業務運営上、上述の両名は問題があり」として、解任を付議事項とする臨時株主総会の開催を求め、会社側は、12月21日の取締役会において1月12日の臨時株主総会に付議事項とすることを決議した。
ところで臨時株主総会の開催を要求した3名の持株比率は合計しても僅か3.28%しかない。
当の解任を臨時株主総会で付議事項にすると名指しされた鼓社外監査役と横尾社外取締役は下記の通りである。
これに対し、鼓氏は12月29日、会社側に対して1月12日開催予定の臨時株主総会において、横尾社外取締役と鼓氏自身の解任を付議事項としてはならないという仮処分申請を東京地方裁判所に行ったものである。
殆ど個人株主である同社の株主の間で、取締役も交え、大きな大きな対立があっているのかは知らないが、同社は列記とした上場企業である。
また、会社の経営陣と開催を要求した株主とがどういう関係にあるのか知らないが、これこれしかしかの解任理由の説明もなく、単に業務運営上問題ありとして、会社側が一方的に解任の臨時株主総会の開催を行うのは、いささか乱暴すぎるのではと思われる。
臨時株主総会を決議した取締役会においても(解任付議要求事由の)「業務運営上問題あり」の詳細については、3名の株主は記載しておらず不明と認めている。
社外取締役や社外監査役は本来、当該社を社外の立場で、監督・監査していく立場であり、今回の臨時株主総会の付議事項はそうした社外取締役制度をないがしろにする可能性もある。
それも正当な理由が説明されないかぎり、会社が開催する臨時株主総会は、法の乱用に当たる可能性も否定できない。裁判所の判断が注目されるところである。
なお、同社は昨年2名の取締役と2名の監査役が辞任、本年12月21日には鳥海一哉取締役が辞任している。上場企業としてはかなり問題があるようだ。
6月定時株主総会後の役員名簿は、取締役:玉木栄三郎(代表取締役社長)、泉大五郎、鳥海一哉、小山静雄(社外)、赤尾伸吾(社外)の5名、監査役:東山一、濱本敏彦(社外)、鼓昭雄(社外)の3名(当3監査役の任期:平成27年3月期まで)となっている。
同社の業務内容:RFID(ICタグ)関連のミドルウエア開発が収益柱、RFID、決済代行、マーケティング、医療施設・設備貸与ほか。疑義注記あり。
同社は信用取引銘柄であり、乱高下を繰り返し、投資家のおもちゃになっているようである。
 
あずさ監査法人は「社外取締役・社外監査役」の制度について次のように説明している。
取締役会の監督機能強化を目的として、会社の最高権限者である代表取締役などと直接の利害関係のない独立した有識者や経営者などから選任される取締役。
会社法第2条第15号において、社外取締役の定義が定められています。社外取締役とは、株式会社の取締役であって、当該会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人となったことのないものと定められており、旧商法における定義が引き継がれている。
従来から、代表取締役を中心とした業務執行機関に対する監督・監査機能を強化するため、社外監査役の制度化をはじめ、監査役制度の改正が行われてきた。しかし、代表取締役が実質的に取締役や監査役を選任しているケースが少なくなく、代表取締役に対する監督・監査機能に限界があった。
そこで、平成14年改正商法により、業務執行機関に対する監督機能を強化するために、社外取締役を導入する会社については、米国型コーポレートガバナンスといわれる委員会等設置会社(会社法では委員会設置会社という)を選択することができるようになった。
このような制度改革に伴い、社外役員(社外取締役および社外監査役)の業務執行者から独立した立場での監督機能に対する期待が高まっていた。
しかし、旧商法では、社外取締役等が業務執行者から独立した立場での監督機能をどのように果たしてきたのか、といった情報についての開示がなされていなかった。
株主等の、社外役員に関する情報開示の要望に応えるため、会社法では、社外取締役等の独立性に関する判断材料の提供とともに、社外取締役等に期待されている監督機能の評価に資する情報の開示が大幅に強化されている。
具体的には、社外役員の選任時における「株主総会参考書類」での情報提供と、選任後の社外役員の独立性と実際の活動状況などを「事業報告」で開示しなければならない。
このように、社外取締役を設置している場合には、代表取締役などの業務執行者からの独立性が明確に判断できる情報と、独立した立場からの監督機能をどのように果たしたのか判断できるように、その実際の活動状況を開示することが求められている。
こうした社外役員に関する情報開示の強化は、社外取締役にとっても、株主等から期待されている役割を十分に果たすことを、強く動機づけられるものと考えられる。
 
イー・キャッシュの業績推移
連結/百万円
2009年3月期
2010年3月期
2011年3月期
2012年3月期予
売上高
352
274
452
380
営業利益
-346
-153
-87
-65
経常利益
-347
-260
-102
-65
当期利益
-426
-270
-155
-77
総資産
470
391
436
 
自己資本
252
288
340
 
資本金
463
586
686
 
有利子負債
---
27
24
 
自己資本率
53.60%
73.70%
78.00%
 
 
代表取締役社長 
平成12年3月
株式会社ジャパン入社
玉木 栄三郎
平成12年8月
同社 情報戦略部長
昭和47年11月生
平成12年9月
同社 情報戦略部長兼システム管理部長
 
平成13年6月
当社入社 取締役システム開発本部長就任
 
平成15年9月
株式会社モモ・アライアンス取締役就任
 
平成17年4月
当社代表取締役社長就任(現任) 
 
平成18年2月
米国Microsoft CorporationのRegional Director就任(現任)
 
 
Global Business Design(UK)Ltd. Director就任
 
平成21年9月
イー・キャッシュライフウェア株式会社代表取締役就任(現任)
 
平成21年12月
株式会社ロハス・インスティチュート取締役就任(現任)
 
社外取締役
平成4年4月
株式会社NCカード(日商連)入社
   赤尾 伸悟
平成1110
GEコンシューマー・ファイナンス株式会社入社
  昭和43年8月生
平成20年9月
新生カード株式会社入社
 
平成23年2月
株式会社共和フィナンシャル代表取締役就任(現任)
 
平成23年6月
当社取締役就任(現任)
 
社外監査役 
昭和40年4月
広島国税局管内税務署入署
     鼓 昭雄
昭和45年7月
東京国税局管内税務署入署
    1945年9月生
平成5年9月
グリーンスタッフ株式会社顧問就任(現任)
 
 
税理士登録 
 
鼓会計事務所設立(現任)
 
平成23年6月
当社監査役就任(現任)
 
イー・キャッシュの主要株主名簿  平成23年9月30日現在
株主名
住所
所有株数
割合%
石原 啓資
東京都渋谷区
9,702
14.9
宮嶋 淳 
神奈川県横浜市泉区
5,222
8.0
小山 静雄 
東京都渋谷区
4,440
6.8
藤田 宗雄
神奈川県川崎市多摩区 
2,514
3.9
スガキコシステムズ㈱ 
名古屋市中区丸の内1丁目
2,500
3.8
高田 隆右 
静岡県静岡市葵区
2,500
3.8
廣比 利次 
東京都目黒区
2,424
3.7
中田 紀男
東京都中野区
1,622
2.5
石原 邦子
東京都渋谷区 
1,538
2.4
玉木 栄三郎
神奈川県鎌倉市 
1,500
2.3
遠矢 康太郎
東京都渋谷区
1,500
2.3
35,462
54.4
 
上場の敷居も低くなり過ぎ、また上場したら最低限の手続きと数値を確保したらどんな企業であろうと上場企業の看板を上げさせ続けている東京証券取引所の体たらくが問題となっている。
現在の取引所のあり様は、ますます、おかしなおかしな上場企業を増加させている。これは小泉・竹中が経済の活性化と称してアメリカ方式を導入、安易に上場できるようにしたからであるが、アメリカではSECが強力な機能をなしている。しかし、日本の証券等取引監視委員会は茶を濁すほどの力しか持たせられておらず、問題がズル抜けになっていることに起因している。アメリカ並みに厳しい処罰と超高額な課徴金等の罰則を設けたら、リスクが高くなり、問題企業も少なくなると思われるが、一向に改善されない。自己規制のない証券取引市場であり、何でも「あり」である。
 
[ 2011年12月30日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサードリンク

※Google・Yahoo japan!・Twitter・ライブドア・はてな・OpenID でログインできます。

コメントする

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   
九州倒産情報
日本一たい焼き
サイト内検索