アイコン シャープ倒産の危機 したたか鴻海(ホンハイ=フォックスコン)の戦略 予想以上の業績急落

シャー プは、第一四半期の業績と今期業績予想の大幅下方修正に加え、台湾の鴻海精密工業が、今年3月28日に合意した資本提携をめぐって、合意内容を見直すこと でシャープと一致したとの報道がなされ、シャープ側は即座にこれを否定したものの、株価は一時ストップ安の187円まで下落した。

2012年3月28日、鴻海精密工業との資本業務提携で株価は少し持ち直す。
(3月27日の495円が3月28日570円に)
4月27日、3月決算発表、その赤字の大きさに市場は呆れ果て株価急落。
(4月27日(金)516円が翌営業日の5月1日465円に)
8月2日、第一四半期の業績発表及び鴻海の提携見直しで株価一時ストップ安の急落。
(8月2日267円が8月3日一時ストップ安の187円に、終値192円)
 
<進行する市場悪化が企業の改善努力を気泡に>
同社の第一四半期は、
1、AV・通信機器では、液晶カラーテレビが、アセアン等新興国で販売台数を伸ばしたが、国内市場の需要減や単価下落の影響等により、売上は前年同期を大きく割り込む厳しい状況となった。また、携帯電話においても、海外メーカーとの競争激化や、一部基幹部品の供給不足から、同部門の売上高は、前年同期比▲54.9%減の1,341億円と大幅な未達となった。
 
2、健康・環境機器では、エアコン、洗濯機等の販売が好調に推移したことにより、売上高は、前年同期比5.2%増の782億円となった。
 
3、電子部品の液晶では、中小型液晶の販売減、大型液晶工場の生産調整等により、売上高は前年同期比▲18.0%減の988億円となった。
 
4、電子部品の太陽電池は、欧州市場の需要減や国内市場の競争激化により、売上高は前年同期比▲18.2%減の419億円となった。
 
5、電子部品のその他電子デバイスは、スマートフォンやタブレット端末向けカメラモジュールの販売増などから、売上高は前年同期比33.7%増の408億円となったとしている。
 
シャープの業績推移の変遷と今期予想
連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
12年3月期第1四半期
640,349
3,525
-691
-49,279
13年3月期第1四半期
458,604
-94,133
-103,813
-138,400
前年同期比
71.6%
 
 
 
13年3月期4月27日予想
2,700,000
20,000
-20,000
-30,000
13年3月期8月2日予想
2,500,000
-100,000
-140,000
-250,000
 
 
 
 
 
12年3月期10月17日予想
2,800,000
85,000
67,000
6,000
12年3月期2月1日予想
2,550,000
0
-30,000
-290,000
12年3月期実績
2,455,850
-37,552
-65,437
-376,076
11年3月期実績
3,021,973
78,896
59,124
19,401
10年3月期実績
2,755,948
51,903
30,995
4,397
今期予想/前期比
101.8%
 
 
 
 
総資産
自己資本
自己資本率
有利子負債
13年3月期第1四半期
2,520,526
470,575
18.7%
1,220,648
12年3月期
2,614,135
625,894
23.9%
1,094,467
11年3月期
2,885,678
1,026,033
35.6%
820,961
10年3月期
2,836,255
1,044,507
36.8%
794,453
 
<株価チャート>ヤフー分
シャープ 株価チャート
 
魔の8月3日は、2日のシャープの第1四半期業績と通期業績予想が発表され、通期業績では大幅な下方修正が行われるとともに、鴻海(ホンハイ=フォックスコン)が3日、合意内容を見直すことでシャープと一致したと発表したと報道されたことから、一時ストップ安の187円まで大商いで売り叩かれた。
シャープがそうした報道を否定するとともに、アップルのiPhone向けに、同社の高精細液晶の酸化物半導体「IGZO(イグゾー)」の液晶(解像度:従来品の1.5倍)を納品することが決定したと異例の記者会見(アップルの部品提供先は殆ど明らかにされていない。ましてや納品業者が発表することはこれまでなかった)をし、少し持ち直したものの、前日比▲28.1%安(75円)の192円で引けた。
 
3月28日鴻海側と合意した時点では、鴻海側が1株550円で第三者割当増資(約669億円、発行株数121,649千株)を引き受け、シャープに約10%出資することになっていたが、(鴻海側の意図的と思われる)台湾当局の認可に時間がかかり、4月末の3月決算発表で株価が大幅下落、この間鴻海側は出資比率を上げる意向も示されるなか、8月2日の第一四半期の業績発表がなされ、3日の波乱の一日を迎えたものである。
 
こうしてみると、鴻海側は、シャープが経営破綻した後に唾を付けていたとして、超格安で本格的に乗り出す可能性が高くなったと言えよう。
(鴻海側の思惑では、特にハャープは社債やCPによる資金調達が高い比率となっており、そうした社債やCPを紙切れにし、借入金も大幅カットすれば、超格安でシャープに乗り込むことができる。また日本のほかの家電メーカーがシャープを抱える余力はないと踏んでいるのであろう)
 
差し迫る社債やCPの切り替え時に、その切り替えの受け皿があるのか、また決済する資金の手当てを金融機関が行ってくれるのか、正念場過ぎるほどの正念場を迎えたシャープである。
 
韓国は感情的に物事を進めるが、中国はしたたかな戦略に基づき動く。
 
<株価推移>
シャープの株価推移
日付
終値
出来高
2012年8月3日
192
244,628,000
2012年8月2日
267
48,631,000
 
月末株価
月間取引高
2012年7月
270
764,810,000
2012年6月
402
523,358,000
2012年5月
411
647,653,000
2012年4月
516
367,925,000
2012年3月
604
666,395,000
2012年2月
572
477,521,000
2012年1月
656
155,169,000
2011年12月
673
160,782,000
2011年6月
731
195,338,000
2011年1月
851
108,421,000
2010年12月
837
154,222,000
2010年7月
947
156,197,000
 
<有利子負債1、借入金>
シャープの借入金融機関   2012.3.31
三菱東京UFJ銀行
117,204
36.0%
みずほコーポレート銀行
115,445
35.5%
日本生命
21,500
6.6%
明治安田生命
12,500
3.8%
住友生命
10,000
3.1%
第一生命
8,500
2.6%
その他
40,124
12.3%
合計
325,273
 
 
<有利子負債2、社債+CP
社債+CP   2012.3.31
社債
418,194
 
CP
351,000
 
合計
769,194
 
 
[ 2012年8月 6日 ]
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