アイコン キナ臭くなってきたエジプト情勢 大弾圧を受けるムスリム同胞団200万人

2011年11月の北アフリカ諸国に襲来したジャスミン革命、エジプトでは政権批判大デモとなり、軍部が中立の立場を取ったことから、非常事態法を30年以上発令し続け君臨してきた軍事政権のムバラク元大統領が追放された。
その後、ムバラクは汚職など複数の罪で起訴され投獄されている。ところが、既に85歳となったムバラクが、今回のクーデターにより政権掌握した軍事政権により、保釈される見通しとなった。

ジャスミン革命に対して中立の立場を取った軍部も、今回の軍事クーデター前のムルシ前大統領時代に、軍部の旧ムバラク派が勢力を盛り返し、ムバラクの釈放の決定となったものと見られる。
一方、投獄が続くムルシ前大統領支持派が「旧体制への逆戻り」と反発するのは必至、エジプトに200万人ともされるムスリム同胞団との間で緊張がさらに高まっている。

ムスリム同胞団は、1970年から創立地のエジプト国内ではイスラム穏健派であるが、ジャスミン革命までは、非合法化され、ムバラクにより弾圧されてきた経緯がある。
現在の軍事政権も、ムスリム同砲団を非合法化する予定であり、元軍人大統領のムバラクの釈放、ムルシ前大統領の投獄長期化により、イスラム教スンニ派で1970年代以降過激路線を排し穏健派となっているムスリム同胞団が一機に過激化するおそれも高まる。

シリアで反政府勢力として戦っているのはムスリム同胞団であり、パレスチナの対イスラエル強硬派のハマスもムスリム同胞団の系統である。
イラク・シリア・リビアでは大量の武器が持ち込まれ使用され、またイスラム過激派へ大量の武器が流出している。そうした武器が、エジプトに持ち込まれれば、ムスリム同胞団の中から過激派に転ずる者が大量に出て、内乱状態に突入する可能性もある。
既に、エジプトシナイ半島北部のラファでは、警察署が過激派の奇襲を受け24名が殺害されている。一方、投獄されていたムスリム同胞団の30数名が不可解な脱獄され殺されている。

<エジプト軍部とアメリカ政権はお友達>
今回のエジプトの軍事クーデターは、ムスリム同胞団のムルシ大統領が、国際条約は尊重するとしたものの反イスラエルであり、ムルシ大統領を容認できない米国が裏で画策したことだけは疑いようもない。オバマが、ムルシ大統領がエジプト大統領就任の訪米を断ったことに始まる。
アメリカと昔から親しいエジプト軍部も、当然幹部にムバラク派が大勢おり、彼らが主導権を取り戻し、今回の軍事クーデターとなったと見られ、旧ムバラク派の台頭でアメリカのクーデター後の思惑も筋書き通りに行かないものとなってきているもようだ。

アメリカは、13億ドルの軍事援助と約2億5千万ドルの経済援助の継続を表明したものの、エジプト軍部のデモに対する強硬姿勢に手を焼き、当該の援助資金を見送っている。
また、アメリカの盟友の欧州各国も、軍部によるムスリム同胞団への大弾圧に対して、相次いで非難声明を表明しており、アメリカの支援も危ういものとなってきている。
しかし、アメリカに代わり、これまでムスリム同胞団の浸透を実力で阻止してきた王国サウジは、欧米の支援が行わなければ、その代わりに支援すると表明している。だが、下手に介入すれば、砂漠地のサウジでテロが活発化する恐れも出てくる。それほど、武器が大量に中近東に西側諸国・ロシアや中国・東欧から投下され続け、過激派へも大量に流出している。

イスラム過激派は、今回のムスリム同胞団の弾圧を千歳一隅のチャンスと見ている可能性も高い。既にモスクから軍隊に対して、発砲している報道もなされている。
非常事態宣言下でのデモに対する弾圧で既に900~1000人の死者が出ているとされるが、こうした数値は軍事政権側の発表数値であり、実際にはその何倍にもなっていると思われる。

<経済への影響>
 既に中近東の不安定要因が増したことから原油価格へも7月から影響して値上がりしており、また、2011年10月をピークに大幅に値下がり続けてきた金価格も7月から上昇に転じてきている。
 エジプトに進出している海外企業の製造工場のほとんどは、既に閉鎖しており、日本・欧米はじめ多くの国で自国民のエジプトからの国外退去措置が取られている。

 先般、過激派対策として、アラビア半島南部のイエメンを米軍が空爆しており怪しくなってきている。イラクは爆弾テロが続き内戦状態のまま、シリアは内戦状態、クルド人とトルコもおかしい。イスラエルは、あちこちにミサイルを撃ち込んでいる。
 欧州で経済が復活してくれば、新興国経済も浮上してくる、シェールガス革命のアメリカ経済も既に回復基調、今後原油も高くなっていく。アメリカも原油メジャー・金・ダイヤモンド市場もユダヤ人が支配しており、アメリカだけのシェールガス革命では、アメリカが結託するアラブ王国資本とユダヤ資本との関係から原油が安くなることはない。世界各国のシェールガスが開発されてくればその限りではないが・・・。
 

<ジャスミン革命後>
 今回のクーデターは、一応、エジプトでは2012年6月民主的に選挙された初めての政権により運営されていたが、政権は初心者マークを付け、アメリカからは嫌われ、取り巻く世界経済も悪く、経済不況は深刻になるばかりで、反モルシ派が7月2日、全国で100万人規模のデモを行い、大混乱に突入していた。
こうしたことから、欧州各国も今回の軍事クーデターは見守るとしても、ムスリム同胞団に対して非合法化、大弾圧ともなれば、人権派の欧州も認めることはできない。
アメリカも欧州が承認しなければ介入することもできず、ますますエジプト軍部は強硬路線に突っ走ることになる。そこに対峙してくるのは、ムスリム同胞団に紛れ込み対立を煽るイスラム過激派になる可能性が高い。
ムスリム同胞団は、エジプト国内に信者が200万人いるとされ、社会救済活動を通じ同団のシンパには貧困層を中心に数百万人がいるとされる。そのムスリム同胞団への弾圧が続く限り、亡くなった者の親族や同胞団の若者が過激化する可能性もある。
なお、シリアの現政権を支援しているイランはシーア派であり、ムスリム同胞団とは相容れない。
エジプトの人口は8300万人。
エジプト人の92%がイスラム教徒(殆どがスンニ派)であり、アラビア語を母語とするアラブ人。
国土の大半はサハラ砂漠。主要都市のほとんどは地中海沿岸やナイル川沿いにある。
2011年のGDP246,000百万ドル(約24兆円)、失業率12%
カイロ都市圏人口:1629万人(カイロ市675万人)。
第2位の地中海に面するアレキサンドリアは410万人。

[ 2013年8月20日 ]
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