欧州連合(EU)の欧州委員会は29日、製薬大手の英アストラゼネカと結んだ新型コロナウイルスのワクチン供給に関する契約書を、機密情報保護のため一部黒塗りにして公表した。欧州委は同社の契約違反を主張しており、これを証明するための動き。
同委のエリック・マメール報道官は、この契約書を見れば、英国工場も対象となっており、「同工場もEUへのワクチン供給に(中略)尽力する」べきであることが分かると述べた。
アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は今週行われたインタビューで、欧州内におけるワクチン供給の遅れは、ベルギー工場における問題が原因だと説明していた。
一方英国は、EUよりも3ヶ月早くアストラゼネカと契約を結んでおり、同社はこの3ヶ月のうちに製造時の問題を解消して、英国内での供給を開始していた。
欧州委はこれに強く反発。契約には、英国内での製造分は英国内での供給のみに充てられるとの規定はなく、契約順守の責任は同社にあると訴えていた。
以上、
欧州はファイザー製も大幅に供給が遅れており、さらにモデルナの欧州向け供給の流れは複雑で、これも遅れているという。モデルナ製はスイス製薬ロンザで原料が製造され、スペインの製造施設で完成。その後ベルギーの物流センターに運ばれ、最終的な出荷が行われる。
モデルナは「製造を拡大し、第1・四半期とその後の供給コミットメントを達成する」と確認したという。
日本は、1.2億回分のワクチンをアストラゼネカと契約している。
しかし、3000万回分はアストラゼネカ社が3月までに供給するが、9000万回分は兵庫県の医薬品開発製造会社のJCRファーマ社が国内分として製造する契約となっている。何か問題が生じた場合は、JCRファーマ社でなんらか問題が生じた場合は、ワクチン供給が遅れる可能性がある。
アストラゼネカ製ワクチンは、イギリス、ベルギー、オランダ、インドで製造され、そして日本で製造される。
インドは同社製ワクチンの最大の製造国ながら、インド政府が輸出を禁止し、国内使用に回させている。こうした余波がEUにも及んでいるものと見られる。
同社製ワクチンについては、臨床データが高齢者は乏しく、EUでは接種を禁じるとしている。もしも日本が高齢者用に使用するのならば、英国での実際の接種の副作用データを取得し、判断する必要があろう。なお、有効性は規定量で70%前後、倍希釈のワクチンでは90%だったと報告されているが、倍希釈のワクチンは正式臨床データではなく、間違って希釈したものであり、倍希釈ワクチンは再臨床治験が必要になると見られる。
J&Jのワクチンは、
日本は契約していないが、韓国が契約している。同社のワクチンは1回接種でよく、極低温保管も必要ないが、有効性は66%だったと報告している。
米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(開発は子会社のヤンセンファーマ)が、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、最終段階の治験で、全体で66%の予防効果が確認されたと発表した。
予防効果は治験を行った地域によって異なり、アメリカでは72%の効果が示された一方、変異ウイルスが確認された南アフリカでは57%に留まった。
同社のワクチンは、接種が1回で完了するため、迅速な普及が期待されている。
南ア型変異株に対しての57%の有効性なのは不明。
英国変異株含むこれまでの新型コロナウイルスに対しては95%前後の有効性を持つモデルナ製ワクチンは、南ア型での有効性は50%未満のようで南ア変異株にも有効なワクチンを緊急開発するとしている。