新コロナウワクチン接種をめぐり、1瓶から5回分しか採れないとされる注射器でも、工夫すれば6回分採れる方法があると鳥取県立厚生病院が発表した。
この方法は、瓶から注射器にワクチンを移す際、空気を抜くため押し戻す工程を、瓶に注射針を刺したまま行う方法。
通常、この工程は瓶から針を抜いて行われるが、針を刺したまま行うことで漏れ出して無駄になるワクチンを減らすことができる。
8日からワクチン接種を始めた県立厚生病院では、9日までの2日間、新しい方法でほとんどの瓶から6回分採り、5回採取なら220人分のところ263人に接種できたという。
二プロは6回から7回取れるワクチン接種用注射器を新開発、今月から山梨工場で生産する。それでも年産2000万本だという。同社はタイ工場でも6回用を生産する計画だったがその後不明。
通常の5回分取れる注射器は、昨年7月、加藤デクノボウ厚労相が二プロやテルモ社などを呼び出し、新コロナワクチン接種ための備蓄用として緊急に大増産要請し大量発注している。
しかし、米ファイザー社は、ワクチン容器瓶を(糖尿病の)インスリン用と同じ6回用としたことから、6回が5回しか取れないと大騒動、その間に、厚労省は、韓国企業に6回用を8000万本発注もしている。
必要量は8000万人が接種するとして1.6億本必要となる。それも早期に集団免疫が構成されるよう11月までには必要となる。
そうした観点から見れば、今回の鳥取県立厚生病院の発案は大きなメリットが生じる。
ただ、ワクチン生産国の欧米は、ワクチンを戦略物資にし、メーカーおよび製造工場に厳しい輸出管理の許可制を採用しており、日本へなかなか入ってこない現状がある。
米国は申請がないから採用していないアストラゼネカ製(AZ製)も最大生産国のインドが1月・2月は自国用として輸出許可を出させず、韓国のSKが生産している分を国連共同購入機構のCOVAXが韓国納品を承認し、韓国は2月26日から40万人にAZ製を既に接種している。
インド製のAZワクチンは、現在では自国用とCOVAX用に生産されている。
世界最大のワクチン生産国の米国はファイザー製、モデルナ製、J&J製を認可し、5月にも1回接種でOKのノヴッバックス製が認可される見通し、いずれも米国企業。
米ファイザー製ワクチンは開発したのはドイツのビオンテック社、ファイザー社のベルギー・アントワープ工場で生産したワクチンも輸出していたことから、ドイツ・EUがファイザー製ワクチンの輸出を管理統制下においた。
今では独仏が毛嫌ったAZ製ワクチンも、イタリアの製造会社からのEU圏外への輸出を管理統制しようとしているが、イタリアが反発している。域内のEUへ納品するより、輸出した方が儲かることによるもの。
日本は、米政府にファイザー製ワクチンの輸出を要請しているかもわからないが、欧州へは連絡し、チョビチョビ日本向けに納品が認可、アントワープ工場から日本へ輸出されている。
米国の人口は3億3千万人、10日現在9,570万人接種済み
EU27ヶ国は4億5千万人、+準加盟国の北欧の国もある。
ワクチンはいくらあっても足りない状況に至っている。
10日の世界の新規感染者数は46万1千人、
死亡者は1万人、
現在感染者数は21百万人、
うち重症者は8万9千人。
累積では1億18百万人、死亡者は263万人。
気になるところは、米国では4万人台まで下がっていた新規感染者数が6万人と増加している。新変異株(ブラジル型と南ア型を併せ持つとされる)が全国へ拡散されており、現行ワクチンは南ア型には有効性が低いとされ、注視していく必要がある。
日本もジワジワ変異株が全国へ広がっている。