サムスン電子は1月31日発表した昨年10~12月期の四半期の連結決算は、
売上高は前年同期比▲3.81%減の67兆7800億ウォン、
営業利益▲34.4%減の2兆8200億ウォンだった。
純利益は15兆4871億ウォン
(1ウォンは0.110円)
昨年通期では、
売上高は前期比▲14.3%減の258兆9355億ウォン。営業利益は▲84.9%減の6兆5700億ウォン。年間営業利益が10兆ウォンを割り込んだのはリーマンショックの2008年以降初めて。原因は、半導体の不振にある。
半導体部門は、
昨年半導体(DS)部門は通期で▲14兆8800億ウォンの赤字だった。
第4四半期=昨年10~12月期の売上高は21兆6900億ウォン、営業損失が▲2兆1800億ウォン。
IT製品需要の回復と人工知能(AI)市場拡大、メモリ半導体価格上昇などによりDRAM事業は1年ぶりに黒字化した。
サムスン電子は「PCとモバイル製品のメモリ搭載量が増加し、生成AIサーバー需要が増加した」と説明した。
今年はやはり高帯域幅メモリ(HBM)、DDR5など高付加価値メモリを前面に出して本格的な業績反騰に出る。
ただサムスン電子が莫大な投資を継続しているファウンドリーとシステムLSI事業部は依然として兆ウォン単位の赤字に陥っている。
サムスン電子は「顧客の在庫調整と世界的に景気回復が遅れ市場需要が減少した」と明らかにした。
サムスンは半導体売り上げの70%を超えるメモリへの偏りを低くするためファウンドリーなどシステム(非メモリー)半導体事業に集中投資しているが、まだ明確な成果を出せずにいる。
世界1位のファウンドリーである台湾TSMCとのシェア格差は昨年7~9月期に45.5ポイントと広がっている。
セット(完成品)部門
やはり数年にわたり売り上げと営業利益の側面で足踏み状態。
2015年以降9年連続で家電・テレビの営業利益が1~3兆ウォン台、スマートフォンが10兆ウォン前後にとどまっている。
昨年10~12月期の業績でスマートフォンを総括するモバイル経験(MX)事業部の売り上げと営業利益は直前四半期よりいずれも減った。
通常MX事業部は、業績の側面でフラッグシップ機種「ギャラクシーS」シリーズの発売時期である1~3月期、「Zシリーズ」の発売時期である7~9月期から外れた10~12月期がオフシーズンとなる。
サムスン電子はこの日公式発売されたギャラクシーS24シリーズを始まりにAIフォンサービスを出して財務実績と販売台数ともに反騰させる。
昨年サムスンはアップルに世界のスマートフォン販売台数1位の座を明け渡している。
生活家電+映像ディスプレー(VD)事業部は、4Q期に▲500億ウォンの損失を出し赤字転落。
うちサムスンディスプレーと車載のハーマンが比較的高い業績成長を継続した。
金融投資業界は、今年半導体業況が回復しており、AI需要が大きくなるにつれサムスン電子の年間営業利益が再び30兆ウォン台に上ると予想した。
サムスン電子は技術競争に備えるため過去最大規模の研究開発・施設投資を継続している。昨年の研究開発費は過去最大規模となる28兆3400億ウォン投入している。
施設投資にも年間53兆1000億ウォンを執行して過去最大となる2022年に匹敵する投資額。
うち90%を超える48兆4000億ウォンが半導体施設投資。
こうしたサムソン業績ショックで株価は下落した。
半導体業界関係者は、「AIチップ競争に対する市場の高い期待とは違い、エヌビディアを除いた企業がこれを業績に反映できるまで時間がもっとかかるだろう」と話した。
AI技術はすでに多くのスタートアップ企業や大手が開発し、利用される段階に入っているが、チップメーカーはエヌビディアのほかはマーベル(AI部門の売上高は22年2億ドル、23年4億ドル、24年は8億ドル予想)など限られている。
以上、
<サムスン電子の課題>
システム半導体は、エヌビディアのような圧倒的なオリジナル製品を開発しない限り、2030年までの急拡大は目指せない。それには既存製品の高性能化のソフト開発要員をいくら充実させても無理、IT技術の新分野の発想問題であり、そうした人材は世界中の数多のスタートアップ企業のなかにしかいない。創薬事業と似てもいる。
ファンドリー部門では、受注製品の瑕疵問題の発生確率を下げなければ、大手ファブレス企業の新製品受注は困難を極めるだろう。そうした現実にせっかく受注したエヌビディアも新製品はTSMCに依頼している。TSMCは専業メーカーとして長年培った技術と設備があり、また製造設計部門も屈強に構築されている。サムスンはシステム半導体分野でも2030年までに世界一になるとしており、ファブレスメーカーが生産委託するにも技術流出問題も発生してくる。そのためファブレスメーカーも新製品の製造依頼はし難い現実もある。
一方、TSMCは当初からメーカーにはならないと宣言しており、ファブレスメーカーにしてみれば安心感がある。そのファブレス企業のほとんどは米国に所在する。
現在、TSMCは、米国に総額5兆円あまりの投資でファンドリー工場を米各地に開発中、サムスンも米政府の要請により1ヶ所ファンドリー工場を建設(現在も米国に1ヶ所ある)するが、今後の工場投資の柱は韓国内で、工場数を現在の倍にする計画を有している。
こうした戦略の違いがファブレスメーカーからの受注にどう影響するか・・・・。バイデンのIRA法も保護貿易であり、トランプになったとしてもさらに保護貿易は強まる。
スマートフォンもフォルダブルフォンを販売しながら、折り畳み式をまだ持たないアップル製品に負けている。それも中低位・低位のスマホを持ちながら販売台数が伸びておらず、ブランド価値化、差別化ができていない。
プレミアム市場ではアップルに負け、中低異機種では中国勢に追い立てられ、世界の販売台数が減少過程にあるなかで、シェアを落とすこと事態が販売台数減となっている。
特に、大票田の中国市場で0コンマのシェアしかなく、中国ではアップルのようなブランド価値化に失敗している。(THAAD問題の反韓も影響している)
1月31日からAIスマホを投入しているが、販売数量をどこまで増加させることができるかわからない。
サムスングループは世界各地で展開しており、韓国色を消すことも必要ではないだろうか。広告も国内向けと世界各地向けに、それぞれ国や地方に親しみある人物を登場させる必要もあろう。
22年のスマホ世界販売台数は、21年比▲10%減の12億4千万台、23年はさらに減少している。ピークは2018年の15億6千万台だった。
スクロール→
サムスン電子&SKハイニックス+TSMC
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2023年12月期決算
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売上高
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前期比
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営業利益
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前期比
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サムスン電子(億ウォン)通期
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2,589,355
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-14.3%
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65,670
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-84.9%
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全体の23/Q4
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670,000
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28,000
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-35.0%
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うち半導体(億ウォン)通期
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678,000
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-148,800
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(240,000).
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うちファンドリー(億ウォン)
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-20,000
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うちシステム半導体
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赤字
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うち家電・TV(通期)
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1~3兆ウォンの営業益
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うちスマホ(通期)
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10兆ウォン前後
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半導体23年4Q
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216,900
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-21,800
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・第4四半期、メモリ部門は黒字転換、システム半導体とファンドリー部門は赤字で回復が遅れている。
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SKハイニックス(億ウォン)
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SKハイニックス(億ウォン)通期
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327,567
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-26.6%
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-77,303
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(黒68,094)
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23/Q4
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113,000
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47.0%
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3,460
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(赤19,122)
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TSMC
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売上高
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前期比
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純利益
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前期比
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TSMC(億台湾ドル)通期
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21,617
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-4.5%
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8,384
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-17.5%
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うち4Q(億台湾ドル)
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6,255
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-1.5%
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2,387
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-19.3%
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為替
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24/2/2現在
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円
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ドル
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1ウォン
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0.1107
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0.0007
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1台湾ドル
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4.7246
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0.0318
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