アイコン 【企業分析】富士通ゼネラル、筆頭株主が富士通からパロマ・リームHDへ 問われる「事業主導型M\&A」の真価

Posted:[ 2025年5月30日 ]

“静かに変わる主導権”が、日本企業の次の成長モデルを映し出す。

2025年5月29日、パロマ・リームホールディングス(以下、パロマ・リームHD)が富士通ゼネラル(東証プライム、証券コード:6755)の筆頭株主となったことが明らかになった。これにより、長年グループ企業だった富士通は44.02%の株式を保有しながらも、筆頭株主の座を明け渡すこととなる。

公開買付けは4月28日から5月28日まで実施され、目標下限の2372万株を大きく上回る4878万株の応募があり、無事成立。パロマ・リームHDは議決権ベースで46.56%を取得し、富士通ゼネラルを傘下に収める格好となった。



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■“事業シナジー重視”の実務的M\&A

この買収の特徴は、「資本よりも事業の親和性を重視したM\&A」である点だ。
パロマ・リームHDと富士通ゼネラルは、かねてより空調機器や熱エネルギー機器の分野で商品供給や共同開発などの取引関係があり、両社の強みを組み合わせることでグローバル展開の加速が期待される。

従来のような“親会社の都合による売却”ではなく、「事業拡大に向けた主体的な統合」として評価できる。特に、住宅設備機器や再生可能エネルギー分野を含むパロマ・リームのネットワークとの統合は、富士通ゼネラルにとっても新たな成長機会となる可能性がある。

 

■「関係を残すM\&A」──日本企業の新しい選択肢

注目すべきは、富士通が保有株式を手放していない点だ。
44%の株式を残しつつも、あえて筆頭株主の座を譲る――これは日本企業特有の「関係を残すM\&A」の一形態だ。

単なる売却や買収ではなく、“主導権のバトンを渡す”資本移動は、グループ再編が進む中で今後も増える可能性がある。既存グループとの協調関係を維持しながら、新たな資本との協業で事業成長を図る、いわば“ハイブリッド型M\&A”だ。

 

 ■ 上場廃止の可能性も視野に

パロマ・リームHDは今後、富士通ゼネラルの**完全子会社化(スクイーズアウト)**を目指しているとされる。実現すれば、東証プライムからの上場廃止も視野に入る。

これにより短期的には市場から富士通ゼネラル株が消えることになるが、非上場化によって意思決定の迅速化、グループ戦略の一体化が進む可能性もある。

 

■ 今後の注目点は「協業の成果」

今後の焦点は、資本関係の変更がどれだけ事業成果に結びつくかだ。
空調・熱エネルギー分野は、グローバル競争が激化する領域。日本発の連携モデルが、どれだけアジア市場や欧米のエネルギー政策に対応できるかが試される。

今回の買収劇は、「企業グループの論理」から「事業主導の資本戦略」へと舵を切る、象徴的なケースといえる。


 

 

 


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