アイコン 家電量販PB戦略に逆風 ヨドバシに公取委勧告へ

Posted:[ 2025年9月 4日 ]

――不当減額問題から見える“取引の新ルール”とは

家電量販大手ヨドバシカメラが、PB(プライベートブランド)製品の製造委託先に不当に納入代金を減額していたとして、公正取引委員会が下請法違反を認定し、勧告を行う方針を固めた。減額総額は1000万円超に上るとみられる。

同様の事例は今年2月にビックカメラ(減額総額5億円超)、昨年6月にはノジマでも確認されており、家電量販業界全体の慣習が違法と断じられる局面を迎えている。



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ビジネスモデルの限界

家電量販店は「安さ」を武器に、リベートや仕入れ値引きに依存してきた。しかし、価格競争が激化する中でPBを拡大する過程で、下請けに負担を転嫁する構造が温存されてきたことが明らかになった。もはや旧来の慣習に依存したままでは、コンプライアンス上も持続可能性の面でも限界が見えている。

 

家電量販店が取るべき次の一手

まず必要なのは、契約条件の透明化である。発注側が後から代金を減額できる余地をなくし、価格決定のプロセスを明示することで、下請け企業が安心して取引できる環境を整えなければならない。さらに、PB商品を単なる低価格競争の道具とせず、中小製造業の技術や強みを活かした高付加価値商品の開発へと転換することが求められる。量販店にとっても差別化につながり、持続可能な利益確保の道となるだろう。そして、個社ごとの対応にとどまらず、業界全体で自主ルールを策定し、公正な取引慣行を根付かせる必要がある。公取委による摘発を待つのではなく、自ら信頼を示す姿勢が、消費者と取引先双方からの評価を高めることにつながるはずだ。

 

信頼経営への転換点

今回の勧告は、家電量販業界にとって「量の経済」から「信頼の経済」へ転換する契機といえる。PB戦略を守るためにも、下請けいじめの温存は最も避けるべきリスクだ。消費者にとっても、信頼できるブランドであるかどうかが購買行動に直結する時代。

ヨドバシを含めた大手各社は、PB拡大の陰で繰り返されてきた慣行を断ち切り、新しい取引のルールを示せるかが問われている。

 

 


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