オランダ政府による中国資本半導体企業の「Nexperia(安世半導体)」強制接収をめぐり、中国商務部は11月1日、責任ある大国として、企業の実際情况を総合的に考慮し、条件を満たす輸出に対して免除を適用すると発表した。
すでにホンダのメキシコ工場では生産調整に入っている。
中国側は輸出規制を緩和
中国商務部は、実際の困難に直面する企業は、速やかに中国側に連絡するよう要請している。
この措置は、海外メディアから広く「中国側が輸出規制緩和のシグナルを発信した」と解釈されており、チップ供給の回復可能性が市場の懸念を効果的に緩和し、減産あるいは生産停止の危機に瀕する世界の自動車メーカーにとって「一息つく」機会を提供するものとなっている。
しかし、問題は解決されていない。
Nexperiaはもともとフィリップスの半導体部門、切り離されNXPセミコンダクターズとなり、同社の半導体は、自動車用・家電用など広く使用される分立デバイスやロジックデバイスを製造している。NXPが2016年にNexperia を切り離し、中国の投資集団に売却、2019年に聞泰科技(Wingtech)が約5千億円で完全子会社として取得していた。
2024年の売上は約147億元人民元(聞泰科技総売上高の約1/6)を占めている。
Nexperiaは中国のほかフィリピンやマレーシアに検査及びパッケージング工場を有している。パッケージングはオランダから半導体を海外へ送り、パッケージングされ、世界の自動車や家電メーカーなどへ輸出されている。その7割を担当しているのが中国子会社、ほかの2ヶ所を3割増産されても4割にしかならず、6割は不足する計算。
BYDは代替品で試験したところ、まったく使い物にならなかったとしており、当半導体の不足は年間3100万台を生産する中国の自動酒メーカーも震撼させている。
オランダ側のNexperiaが中国への輸出停止(親子の支払問題が原因)
Nexperia(オランダ)は11月3日、中国子会社の東莞工場の「サプライチェーン監督権」を再取得するまで、同工場の製品納入の実行可能性および納入時期を監督できないとしウェハ供給を停止している。
(問題は当初報じられた安保上ではなく、中国工場の支払い条件を一方的に変更した東莞工場(Nexperia子会社)の経営権を、東莞工場や聞泰科技ではなく、親会社であるNexperiaに戻すことを条件としている。
親会社として、これまで東莞工場の従業員に給与などを送っていたが、Nexperiaは送金をストップし、東莞工場の従業員には10月分の給与がこれまでに支払われていない(10月末現在)。
中国にはこれまでNexperia製の半導体が大量に送り込まれており、東莞工場には在庫があり、3ヶ月は持つだろうが、Nexperiaが中国側と喧嘩したまま、半導体の中国輸出をしなければ、在庫が底を突き、東莞工場はパッケージングできず、世界の自動車産業は窮地に陥ることになる。
オランダのNexperiaは、ほかの手段を講じ、自動車メーカーに迷惑をかけないとしているが、具体的にほか2ヶ所のパッケージング工場では短期的には生産の急拡大には限りがあり、絶対的に不足する。パッケージング市場マ急拡大で、どこかしこパッケージング会社は大忙し、パッケージング専門会社も受け入れは困難と思われる。
最後は千両役者トランプが登場か
手打ちはいつになるだろうか。米自動車メーカーの工場が1ヶ所でも停止すれば、トランプが両者間に割り込み、強引殺法で手打ちさせるだろうが・・・。
もともと、NXP社は米クアルコムが買収発表、しかし、中国政府が独禁法で認めず、NXPはNexperiaを切り売りした経緯がある。クアルコムは買収できなかったためNXP社に違約金も支払っていた。トランプ氏が問題視する可能性がある。
<Nexperia Semiconductor社>
2006年8月、フィリップス社が半導体部門のフィリップス・セミコンダクターを投資家グループに売却、KASLION Acquisition B.V.の名称で法人化。
2010年5月、 社名を現在のNXPセミコンダクターズN.V.に変更
2016年10月、米クアルコムがNXP社を買収、
2018年7月、当買収を中国政府が独禁法で認めずクアルコムの買収失敗。
2016年、NXP社は、傘下企業の半導体製造部門のNexperia Semiconductorを中国の投資家グループに売却。
2018年10月、Nexperia Semiconductorを聞泰科技(拠点:西安市)が252億元(約5千億円)で買収。(最終子会社化は2019年)
クアルコムの柱は通信分野のファブレスメーカー。
NXPはコントローラー・制御系の半導体の開発設計製造会社。
同社からスピンアウトさせたNexperia Semiconductoにしても自動車や家電向けなど汎用性の高い半導体を製造しているメーカー。
中国政府は独禁法違反で買収を認可しなかったが、その後の中国側の動きからして、何かタクラマカン砂漠のようだ。聞泰科技はネクスペリア買収まで知られていなかった企業、そうした企業が5千億円を用意できるのは・・・。策略か。