民間受注に陰り、資材高と人手不足が収益圧迫

6月に公表された各種統計によると、建設業界は公共工事や住宅着工を下支えに、工事出来高は底堅く推移している。一方で、大手建設会社の民間受注は減少が続いており、中小建設業者では資材価格の上昇や人手不足を背景に、採算面の厳しさが増している。
国土交通省の建設総合統計によると、令和8年4月の建設工事出来高総計は4兆8,444億円となり、前年同月比5.6%増加した。民間は3兆1,122億円で同4.2%増、公共は1兆7,322億円で同8.2%増となり、名目上は堅調な推移を示している。公共工事の進捗に加え、民間でも一定の工事量が維持されており、業界全体の仕事量は底堅い状況にある。
住宅分野も持ち直しの動きがみられる。5月の新設住宅着工は、持家、貸家、分譲住宅がそろって増加し、全体では前年同月比33.9%増となった。季節調整済年率換算値も前月比4.6%増となり、住宅関連工事には一定の追い風が出ている。ただし、民間非居住建築物では事務所、店舗、工場、倉庫が前年同月比で減少しており、住宅と非住宅で明暗が分かれている。
受注面では弱さも目立つ。5月の大手50社の建設工事受注は、総計で前年同月比6.7%減となり、3カ月連続で減少した。民間工事は運輸業、金融業・保険業、サービス業などが減少し、同5.7%減となった。大型民間工事の動きが鈍化しており、足元の出来高の強さがそのまま先行きの受注増につながるとは言い切れない。

資材価格も引き続き収益を圧迫している。国土交通省の主要建設資材需給・価格動向調査では、6月1〜5日時点でアスファルト合材、異形棒鋼、H形鋼、木材型枠用合板、石油が「やや上昇」となった。需給は全対象資材で「均衡」、在庫も「普通」とされているが、価格面では上昇圧力が残っている。受注単価への転嫁が遅れる企業では、粗利益率の低下が避けにくい。
労務面でも制約が続く。5月の建設労働需給調査では、全国8職種の過不足率が1.2%の不足となり、前月の0.6%不足から不足幅が拡大した。前年同月の0.5%不足と比べても不足感は強まっている。技能労働者の確保難は、工期遅延や外注費上昇につながりやすく、特に中小・下請業者の採算を圧迫する要因となっている。
中小企業の景況感は、統計上の出来高ほど明るくない。中小企業基盤整備機構の第184回中小企業景況調査では、2026年4〜6月期の建設業の業況判断DIは▲19.6となり、前期から8.3ポイント低下した。工事量は一定水準を維持しているものの、資材高、人件費上昇、受注単価の伸び悩みが重なり、現場の実感としては厳しさが増している。
当面の建設業界は、公共工事と住宅関連工事が下支えする一方、民間非住宅や大型民間工事の動向には慎重な見方が必要となる。受注残を抱える企業でも、資材価格や労務費の上昇を価格転嫁できなければ、売上増が利益改善に結びつかない可能性がある。今後は、工事量の確保だけでなく、採算管理、資材調達、技能人材の確保が経営上の重要課題となりそうだ。
こうしたなか、財務体質の脆弱な中小業者では、資金繰り悪化や受注選別の動きが強まる可能性がある。