アイコン 【任天堂】営業利益49%増の裏に関税還付3億ドル 7~9月は16%減益

任天堂(京都市南区、東証プライム・7974)が11月5日に発表した2027年3月期第2四半期(2026年4~9月)連結決算は、売上高が前年同期比12.1%減の9660億4100万円となった一方、営業利益は49.1%増の2165億円と大幅な増益を確保した。

ただし、同日公表した決算説明資料によると、米国のIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税の還付に伴い、約3億米ドルを第1四半期(4~6月)の売上原価から減額していたことが判明した。営業利益の増加額は約713億円で、関税還付が増益を押し上げた重要な要因となっている。

また、中間期全体では大幅増益となったものの、7~9月単独の営業利益は前年同期比16.3%減少した。新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」の販売台数が前年同期を下回る一方、ソフトウェアやデジタル販売が拡大しており、ゲーム機本体とソフト事業の収益構造の変化が鮮明となった。

スイッチ2

 



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中間営業利益49.1%増 売上高は12.1%減少

2026年4~9月の連結業績は、売上高9660億4100万円、営業利益2165億円、経常利益3006億7600万円、親会社株主に帰属する中間純利益2209億1700万円だった。

任天堂の中間決算(2026年4~9月)
項目 実績 前年同期比
売上高 9660億円 12.1%減
営業利益 2165億円 49.1%増
経常利益 3006億円 27.4%増
中間純利益 2209億円 11.0%増

※金額は億円未満切り捨て。中間純利益は親会社株主に帰属する中間純利益。

売上総利益は前年同期の3984億円から4864億円に増加し、売上総利益率は36.2%から50.4%に改善した。営業利益率も13.2%から22.4%へ上昇している。

一方、販売費及び一般管理費は前年同期比6.6%増の2699億円となった。研究開発費が16.8%増の962億円に増加したのに対し、広告宣伝費は17.5%減の533億円だった。

米国関税の還付約3億ドルを計上 利益を押し上げ

任天堂が同日公表した決算説明資料では、営業利益が大幅に増加した背景として、米国IEEPA関税の還付額が明らかにされた。

会社側によると、2026年4~6月期に関税還付に伴う約3億米ドルを売上原価の減額として計上した。還付対象となった関税は、主として販売価格に転嫁せず、任天堂自身が負担していたものという。

中間期の営業利益は前年同期から約713億円増加している。関税還付による利益押し上げは、この増益を分析するうえで重要な要素となる。

ただし、約3億米ドルの円換算計上額は決算説明資料で個別に明示されていないため、営業利益増加額のうち関税還付が正確に何割を占めるかは特定できない。

また、任天堂は営業利益段階での為替による影響額について、約222億円のプラスだったと説明している。円安による影響も営業利益を押し上げる方向に働いた。

今回の49.1%増益には、ソフトウェアの販売構成比改善に加え、関税還付や為替変動の影響が含まれる。これらを区別して業績を見る必要がある。

7~9月単独では営業利益16.3%減 直近四半期は減収減益

一方、直近の四半期業績を見ると、中間期全体とは異なる動きが確認できる。

2026年8月6日に公表した第1四半期決算を今回の中間決算から差し引くと、7~9月単独の売上高は約4482億円、営業利益は約739億円となる。

前年同期との比較では、売上高が15.0%減、営業利益が16.3%減、親会社株主に帰属する四半期純利益が28.6%減となった。

7~9月単独の業績比較
項目 2025年 2026年 増減率
売上高 5272億円 4482億円 15.0%減
営業利益 882億円 739億円 16.3%減
純利益 1029億円 734億円 28.6%減

※任天堂の各年度の中間決算から第1四半期決算を差し引き、JC-NET編集部が算出。金額は億円未満切り捨て。

営業利益率も4~6月の約27.5%に対して、7~9月は約16.5%となった。前年7~9月の約16.7%と比較すると、直近四半期の営業利益率はほぼ同水準となっている。

関税還付は4~6月期に計上されている。このため、中間期の高い増益率と7~9月単独の減益率を同じ条件の利益動向として捉えることはできない。

Switch 2本体は37.4%減 ソフトウェアは18.8%増加

Nintendo Switch 2の2026年4~9月のハードウェア販売台数は、前年同期比37.4%減の649万台となった。前年同期は発売直後の販売を含む1036万台だった。

一方、Nintendo Switch 2向けソフトウェアの販売本数は前年同期比18.8%増の2449万本と増加した。

ゲーム機・ソフト販売状況(中間期)
区分 販売数量 前年同期比
Switch 2本体 649万台 37.4%減
Switch本体 127万台 32.7%減
Switch 2ソフト 2449万本 18.8%増
Switchソフト 6573万本 6.8%増

主なソフトウェアでは、『トモダチコレクション わくわく生活』が881万本、『リズム天国 ミラクルスターズ』が289万本、『スプラトゥーン レイダース』が242万本を販売した。

また、『マリオカート ワールド』は当中間期に178万本を販売。『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は134万本、『Star Fox』は117万本を記録した。

ハードウェア販売台数が前年同期を下回った一方、ソフトウェア販売本数は両機種とも増加している。

デジタル売上60.5%増 自社ソフト比率も上昇

中間期のデジタル売上高は前年同期比60.5%増の2496億円となった。ゲーム専用機のソフトウェア売上高に占めるデジタル売上高の割合は、前年同期の54.5%から60.7%へ上昇した。

また、ゲーム専用機ビジネス全体の売上高に占めるハードウェアの割合は73.2%から54.5%へ低下した一方、ソフトウェア売上高に占める自社ソフトの比率は67.2%から76.6%へ上昇した。

任天堂はソフトウェアの販売が堅調に推移し、売上高に占める割合が上昇したことも、売上総利益率改善の要因としている。

さらに、映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』に関連する映像コンテンツ収入の増加などにより、IP関連収入等は前年同期比87.9%増の627億円となった。

ゲーム専用機ビジネスの売上高は前年同期比15.3%減の9033億円だったが、IP関連収入等は拡大しており、ゲーム以外の事業も売上高を支えている。

メモリ高騰・関税支払いなどで約1000億円の原価影響

任天堂は2027年3月期の通期業績予想について、メモリを中心とする部材価格の高騰や関税の支払い等に伴う原価への影響として、約1000億円を織り込んでいることも明らかにした。

この約1000億円はメモリ価格上昇分だけではなく、関税支払いなどを含む原価への影響額である。

会社側は米国の関税措置について、2026年3月末時点の税率を勘案して業績予想を作成したと説明している。

前提為替レートは1米ドル150円、1ユーロ175円としている。

上半期には関税還付が利益を押し上げたものの、通期予想では部材価格上昇や関税支払いによるコスト負担も織り込まれている。

ただし、約1000億円は会社が通期業績予想に織り込んだ原価への影響額であり、中間期に新たに1000億円の損失が発生したという意味ではない。

Switch 2通期販売予想1650万台 下期に1001万台必要

2027年3月期のNintendo Switch 2販売予想は、ハードウェア1650万台、ソフトウェア6000万本としている。

上半期のハードウェア販売実績は649万台であるため、通期予想達成には下半期に1001万台を販売する計算となる。

Nintendo Switch 2の販売計画
項目 上半期実績 通期予想
ハードウェア 649万台 1650万台
ソフトウェア 2449万本 6000万本

※ソフトウェアの上半期実績には本体等との同梱販売約105万本が含まれるが、通期予想には同梱ソフトを含まないため、両者の計数基準は異なる。

通期のハードウェア販売予想は前期実績の1986万台を16.9%下回る一方、ソフトウェア販売予想は前期実績との単純比較で23.2%増となる。ただし、前期のソフト実績には同梱販売分が含まれる。

通期営業利益3700億円の予想据え置き

2027年3月期の通期連結業績予想について、任天堂は2026年5月8日に発表した数値を据え置いた。

2027年3月期通期業績予想
項目 予想 前期比
売上高 2兆500億円 11.4%減
営業利益 3700億円 2.7%増
経常利益 4300億円 20.7%減
当期純利益 3100億円 26.9%減

中間期の営業利益進捗率は約58.5%となっており、通期予想から逆算した下半期の営業利益は約1535億円となる。

年間配当予想は162円で、前期実績219円から57円減少する見通し。今回の発表では中間配当を76円、期末配当予想を86円とした。

棚卸資産は約51%増加 自己資本比率75.8%

2026年9月末の総資産は3兆9364億円となり、同年3月末から約1311億円増加した。

現金及び預金は3月末の約1兆7918億円から約1兆5538億円に減少した一方、棚卸資産は約5398億円から約8145億円へ増加した。棚卸資産の増加額は約2747億円、増加率は約50.9%となる。

なお、決算短信だけでは棚卸資産増加の詳細な要因や在庫滞留の有無は判断できない。

純資産は2兆9835億円、自己資本比率は75.8%となった。

JC-NET分析 関税還付後の収益力と下期販売が焦点

今回の任天堂決算は、営業利益が49.1%増加した一方、売上高が減少した点が特徴となった。

会社側が説明するソフトウェア販売構成比の改善に加え、約3億米ドルの関税還付と為替のプラス影響が、上半期の利益を押し上げている。

一方、7~9月単独では営業利益が前年同期を16.3%下回り、通期予想にはメモリを中心とした部材価格高騰や関税支払いなど、約1000億円の原価影響が織り込まれている。

また、Nintendo Switch 2のハードウェア販売台数は前年同期比37.4%減少しているものの、ソフトウェア販売本数は18.8%増加した。デジタル売上高やIP関連収入等も伸びており、ソフトウェアと関連事業の重要性が高まっている。

今後の焦点は、下半期のNintendo Switch 2販売計画の達成状況と、関税還付のような一時的要因を除いた利益水準がどこまで維持できるかにある。

会社概要

企業名 任天堂株式会社
所在地 京都府京都市南区
法人番号 1130001011420
証券コード 7974(東証プライム)
事業内容 家庭用レジャー機器の製造・販売

【資料出典】
任天堂・2027年3月期第2四半期決算説明資料(2026年11月5日)
任天堂・2027年3月期第2四半期決算短信(2026年11月5日)
任天堂・2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月6日)
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