アイコン 破綻あい次ぐ、からし明太子業界の動向④

成熟産業下の整理淘汰

辛子めんたいこ業界は、一ブームで終わらず成熟産業として存在している。この間大きく成長したのが「博多まるきた」であった。

 

「博多あごおとし(飛魚)」などの新製品を開発する一方、百貨店など量販店に積極的に営業展開、売上高を急激に伸ばしてきた。同社は生産コストを下げるため、中国に工場を作りコストダウンをはかり成長を遂げてきたが、、先述のとおり中国産食品に農薬混入や残留農薬問題もあり、日本人は安全面でノーと決め付けたため中国から撤退を迫られ、国内生産では利益が出なくなるとともに、今回の景気回復過程では、消費者の可処分所得は増えるどころか減り、リーマンショック後は急激な景気後退で旅行者や出張者も激減して需要が減退した結果、破綻に追い込まれた。


「ふくや」は、圧倒的な財務力を背景に安定した経営を行っている。同社は儲けた金を不動産事業に投資しており、ビル経営における安定収入が経営の安定性を醸し出している。本業でも創業メーカーとしての抜群の知名度から、今回の景気後退においても落ち込みは少ないとされている。その売上高を牽引しているのがネット・通信販売事業である。立ち上げも早かったが、今では180億円の売上高の約半分を占めるまでに成長させている。ネット・通販は店舗等のような販売経費がかからない代わり、顧客管理用のDMなどには金をかけ大成功させているのである。


 先般、平塚明太子専門店(北九州市、負債総額12億円)が破綻したが、積極的な経営が必ず成功するとは限らない例であろう。店舗展開をはかり利益が伴ったら問題ないが、明太子業界も消費者の消費意欲に左右される。店舗展開資金を銀行借入に依存していたため、リーマンショック後の販売不振で、取引銀行がそっぽを向き破綻した。開発力・技術力があっても販売できなければ整理淘汰されるのは、どの業界でも同じである。
 

続く
 

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[ 2009年6月11日 ]
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