アイコン 社主の独り言(辛口) (敬天新聞8月号)

今月も社主(白倉康夫)の独り言を唸りながら読ませていただきました。長崎で再会するのを楽しみにしております。

 【社主の独り言】(辛口) (敬天新聞8月号)
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▼悠久の歴史の中で水の一滴が大岩を繰り抜いたり、今湧き出る水が数千年前降った雨だったという現実を知る時、自然の中での人の生存期間が如何に刹那であるか思い知らされる。

 そんな短い期間の中で喜怒哀楽に人は翻弄され生きている。振り返れば間違いだらけだったと言う人生が殆どだろう。その時はその時で出来る最善の手を打ったと思っていてさえも、何年後かには批判されたり、色褪せたりするものである。人それぞれに価値観が違うし、一人の者でさえ年齢によって時代によって価値観が変化して行くのだから仕方がないのだ。

 今年の総選挙で自由民主党は大敗を屈し、実質終焉を迎えることになるだろう。麻生総理の責任ではない。六十年の歴史に老化現象が表れ、生活習慣病を始めとした色んな病気が出てきて手足が痺れ、目が霞んで髪が薄くなってきたのだ。最初は頼りなく見えてもいつかは知力、体力優れた若者に譲らなければ朽ち果ててしまう。

 官僚政治打破と言っても政治家より官僚の方が頭がいいのは誰の目にも明らか。しかもその道の専門家が多い。そういう意味では民主党が政権をとってもスンナリはいかない。大手術、大改革が必要であるが、国民がその変化に我慢できるかが問題だろう。

 大衆は右に風が吹けば右に流され、左に風が吹けば左に流される。特に我慢強い国民性の日本人の場合、ギリギリまで不満を口にするだけで体を賭けた抗議にまでは及ばない。今でこそ箱物政治や無駄な高速道路を批判するが、その時々ではその政治手法が国民を元気づけ潤し、実際に経済的には豊かにした。しかし一方では何かを犠牲にし壊し傷つけたものもあるだろう。

 私自身は敗戦から立ち上がる過程での自民党の政権政党としての歩みは及第点だと思っている。恐らく国民に対して嘘も秘密も裏切りもあったと思う。しかし、それが国民の為の大所高所からの判断であったのなら許されていい。特に日米安保や地位協定の中には大きな嘘や秘密が存在するだろう。民主党になって、どこまで暴露できるか。ただ国民の中には知らない方がよかった知りたくなかったということもあるかも知れない。それも覚悟しておくべきだろう。

 私は自民党を振り返った時、坂の上から小さな雪の塊を転がしていくと段々大きくなってゆく。最初の一塊はそれなりの信念、理念を持っている人達の集団であろうが、大きくなっていく段階で色んな人が入ってくる。やがて大半が寄らば大樹の陰というだけで実質的には当初の一塊と全く違う人種も混ざってしまっているような状態ではなかろうか。一方で民主党は、その雪だるまの太さと同じ太さの雪だるまを作る為に、周囲の雪を掻き集めて押し固めただけだから、核と言えるような芯がないような。

 自民党の現実に即した政治は素晴しかった。利権政治家や売国政治家を排除し、信念、理念のしっかりした政治家の集団に戻れば、また国民の支持を取り戻せるだろう。商売人のような議員や宗教屋のような議員、自己破産者議員に注意や指導も出来なくなった自民党に国民がそっぽを向くのは当然である。ただ民主党の理想論政治にどれだけ現実性があるか。

 昔みたいに発展途上国だった時には、ただ働け、稼げ、豊かになれ、という目標がハッキリ見えていたが、一通り国の隅々まで豊かになれば、どこに目標を置いていいのか分らない。人は目に見えた状況しか理解出来ないのだ。嘉手納基地の地下に核がある事を非核三原則の立場から違反とアメリカに言う力が民主党にあるのか。治外法権という立場から無視されるか。

 政権政党が変れば大混乱は必死である。今のままの自民党が勝てば、また驕り昂ぶり商人政治が露出するだろう。民主党が勝てば、今は野党の立場で静かに猫被っている寄せ集まりの売国議員、組合議員、親中親ソ親北議員が牙を剥く恐れは大いにある。そして意見のまとまらない政権政党が誕生し、自民党政治六十年の汚れを出す事で自分達の立場を安定させようとするが、現実は国民の大混乱を引き起こし、景気を始めとした全ての後退、停滞が始まるだろう。この時に一番怖いのは外国人の犯罪だ。呉々も無秩序政府状態になる事だけは避けなければならない。過去に一、二度、自民党以外の政権運営があったが、あの時と今度では雲泥の差で青天の霹靂みたいな現象が幾つも起るだろう。

▼政治家は基本的に嘘吐きである。全て本当の事を言ったら支持されなくなるからである。皆に耳障りのない、良い事を言わなければいけない。十人十色の筈なのに皆が満足するような事を平気で言う。あっちではああ言い、こっちではこう言う。矛盾する事を平気で言うのが、政治家なのである。

 そう思って見ていると政治家の公約と違う現実もそんなに腹が立たない。だが困った事は、この嘘吐きの政治家達が現実の世の中では大いに力を発揮し、国を動かしているのだ。特に何期も連続当選している先生方は国や県の将来を作る立場、知る立場にあるから、インサイダー的利益を感受できる立場でもある。

 個々で立派な人を選んでも、個々の先生方が五〇〇通りの意見を出し合ってもまとまらないから党が出来、どの党が一番日本の将来をいい方向へ導いてくれるのか、という事で党を選ぶシステムになっている。立派な理想を掲げても現実とは掛け離れた所業が数多くある。

 結論から言えば、どの党が政権政党になっても全ての人を満足させる事は出来ない。それは誰もが自分を中心に地球が動いていると思っているからである。全く違う考えを持つ人達を何とか平等に円滑に日常が繰り返せるようにと法律や規律や道徳があるのだろう。

 人が皆、道徳を重んじて生きれば争いは起きないかも知れない。いや道徳も国や地域によっては違うし、文化、伝統が加わる事によって、真逆になる事さえある。宗教も加わり、より複雑になる。そこで法の下の平等という筈の法律が出来たのだろうか。本当に平等だろうか、と言うような場合もたまにある。

 そういう疑いを無くす事も一つ、それと権力者の不正を無くす事も一つ。という意味で政治家、官僚に対する罰則規定を十年以上とか厳しくすれば、極端に不正行為(無駄遣い、箱物利権のキックバック、許認可の悪用、業者へのたかり、裏金作り、空出張等)は減るだろう。

 そんな厳しくしたら政治家になる者がいなくなるよ、と言う人もいようが、そんな事はない。それこそ心の底からこの国を良くしたい、未来の子供達の為にいい国を作り残したい、日本の伝統・文化・歴史を守りたい、という命を惜しまず貢献する誇りと名誉に命を賭けた人達が集まるだろう。

 今、政治を「利権の取れる商売」と勘違いしたような商人政治屋が多過ぎる。政治家は政治だけに専念するのが政治家で、どうすれば土建が取れるかとか、どうすれば金が入るか、とか考えている輩は本来、政治家になる資格がない輩である。今の政治家の国、地方を含めて半数以上がこの商人政治屋に当たるのではないか。

 高級官僚だって難しい資格を取って尚且つ頭が良くなければその地位になれない。だから庶民から尊敬され一族も誇りに思う。生活費だって庶民より数倍頂き、老後は安泰。それだけで充分ではないか。それ以上に稼ぎたかったら、最初から民間に行けばいい。公務員ほど安定性はないが、頭が良い分伸びる人は伸びるだろう。

 だが公務員と違ってリスクは高い。将来も予定を立て難い。だからこそ公務員を選び、その道のトップに立った人達である。お金ではなく名誉、地位を勝ち得た人達である。そんな人達はより高度な倫理観を持って当然だ。

 もし法律のプロである弁護士が誇りとモラルを忘れたらどうなるだろうか。法律の裏や隙間をくぐり抜け、莫大な金を稼ぐだろう。現実にそういう人もいる。一方で正義だけを生き甲斐に粛々と弱者救済に頑張っている人もいる。我々も時に金だけで人を評価したり、貧乏人を馬鹿にしたりする時もあるし、貧しさに手を差し伸べてあげる時もある。

 人は一生のうちで何度も何度も価値観が変りながら生きていく。宗教団体ではなく、檀徒の集まりの大集団でしかない筈なのに宗教団体として認可されてる不思議な池田大作学会の手先としてしか活動しない公明党が政治政党として立候補しているが、好ましい事ではない。幸福の科学が都議選に立候補して全滅した。宗教家は宗教道を歩むべきで、政治家になるべきではない。政治を志した時点で切り離すべきだ。

 幸福の科学が全滅したのは国民の本意である。創価学会に対してもやがて公明党との関係、政教一致、憲法違反として、大きな逆風が吹くだろう。あれだけ県民の心をつかみ支持された東国原知事がホンのちょっとした判断ミスで奈落に落ちてしまう。人生は人の振り見て我が振り直せ。国の未来は過去に学び、歴史を見直し、歴史に学ぶ事だろう。
 

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[ 2009年8月 5日 ]
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