アイコン 狸の勝ち/狐の都知事さんの負け

通称「たぬきの森」の開発をめぐり住民運動となり、建築許可を出した都に対して裁判を起こし、結果、最高裁判決で建築許可を無効とし、完成まじかのマンションは不法建築と認定された。建築許可下ろした新宿区長・都知事は断罪されたのである。ほぼ完成しているメゾネットタイプの30戸の分譲マンションは取り壊わされるが、狸に土地を戻すにも何十年も時間を要する。

たぬきの森の開発は、新日本建設が行っていた(新宿区下落合4-9-17にある「たぬきの森」570坪)。
当地のたぬきの森は、『旧遠藤邸』の屋敷や庭園など歴史的重要性、独創性、保存状態および南斜面という立地のよさは、新宿区はもとより都内でも類を見ない貴重なものといわれ、文化財として後世に残すに値するという場所ということであるが、特に指定されていなければ、すべて開発対象とする都やデベロッパーは自業自得である。

狸

当土地は、入口が4mしかなく、隣接する木造家屋に沿う小道が30m以上続くいわゆる『旗竿状敷地』で、周囲も崖に囲まれている。もし、ここで火災が発生すれば幅僅か4mの道に緊急車両と避難が集中し、近隣の住宅にも火災がおよび、大惨事を招く危険性大の場所。法的にマンションの建設が不可能なため、新日本建設は各戸に出口のある重層長屋(メゾネットタイプ)という方法で、マンションに酷似した建物を敷地いっぱいに建てる計画を立てた。 
それでも東京都建築安全条例第4条では接道部分は本来幅8m以上が必要。しかし、新宿区は『この規定は、建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては、適用しない。』という第4条3項のいわゆる特例を適応、規定の半分である4mしか接道がないにも関わらず処分認定(特例安全認定)を出した。近隣住民はこの特例安全認定に対し、平成17年1月審査請求を行ったが、新宿区建築審査会はこの認定には処分性はないとの理由で却下。そのため新日本建設では着工に入り、建物は既に完成まじな状態となっていた。
「たぬきの森」の『下落合みどりトラスト基金』では、一篤志家から2億円の寄付など2億数千万円を集め、今後、都と共に新日本建設から買い取る予定であるが、新日本建設は10億5000万円を要求しておりなお隔たりがある。

福岡にもこうした森がいくつもあったが、マンションだらけになってしまった。その間狸も交通事故などで全滅し、今ではその面影もない。

 

[ 2009年12月18日 ]
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