アイコン Google自主規制18項目の解説と中国バブル崩壊の危険性

中国がGoogl等に課している自主規制内容18項目

1
人民元切り上げ問題
2
党幹部の人事予想
3
官僚の腐敗
4
重慶の警察と暴力団との癒着
5
食品安全問題・事件
6
食用油の価格高騰
7
高額な医療費
8
山西省の不良ワクチン注射事件
9
貧富の格差
10
戸籍制度改革
11
チベット騒乱
12
新疆ウィグル騒乱
13
大学の自治権拡大
14
大学生の就職難
15
吉林省の製鉄所社長の殴殺事件
16
四川大地震の学校倒壊問題や復興の遅れ
17
不動産価格の上昇と住宅難
18
地価高騰を煽る不動産開発業者

以上18項目であるが、裏を返せばこうした問題の事実があり、中国共産党政権にとって、こうした情報が国内で流れるのは、政権にとって非常に危険であるとして、劉雲山共産党中央宣伝部長名で、マスコミ・メディア・ネット検索会社等に対して、報道や取材を禁じるとした通達がなされているものである。
 
1、  人民元が切り上げられれば輸出が鈍化し、中国経済がおかしくなることを百も承知しての報道規制である。米議員による中国批判などの報道を中国で報道してはならぬというものである。3月16日アメリカの国会議員160名が米政府に元切り上げの即実行要請を行っている。
 
2、  当幹部の人事予想など流した場合、国民がその人事や人物にクレーム付けた場合、収拾が付かなくなる恐れがあるためであろう。ネットで人肉検索が中国で行われている。
   重慶市で大金持ちの娘が、市中を140キロ以上のスピードを出し、人をひき殺した。娘は直ぐ保釈され自宅に帰っていた。遺族が娘に詫びるように出てきた父親に要求すると、父親が遺族に対して「娘の状態も考えろ」と謝罪を断ったという。こうしたことがネットで流れ、人肉検索が開始され、事故を起こした娘の名前から過去からすべて暴き出された。なお、娘には飲酒の疑いがもたれていたが、警察は、飲酒はなかったと報告している。しかし、重慶市の警察幹部全員、暴力団との癒着で、当事件後首になっている。
 
3、  官僚の腐敗は今に始まったものではないが、中国の官吏さえ、お金を賄賂でたんまり稼ぎ、婦女子を先に欧米豪へ送り出し裏送金、単身で暫く中国に残り、そのうち国外へ逃亡=移住する。欧米豪は中国から問題提起されても、人権問題として取り扱わない。 
しかし、膨大なお金が国外に流出しているのも事実。末端の役人は賄賂により、各種規制などお構いなし。
 
4、  警察と暴力団の癒着:
①チャイナネットは、重慶市の公安局(警察)各部門に(2010年)3月上旬「幹部職員をすべて免職する」とする部外秘の文書が配布されていたことが分かったと報じている。同市の文強元司法局長は、収賄罪・強姦罪などの疑いで逮捕され、裁判が始まった。警察関係者でも麻薬・違法薬物取締り担当の幹部で、重慶市優秀警察官や全国優秀人民警察官として表彰された人物が、犯罪組織と結託して薬物密売に関係していたとされる。
   ②湖南省・耒陽市で暴力団撲滅のスター的存在だった肖強元公安局長が2008年1月に暴力団との癒着による犯罪で逮捕された。暴力団側の謝被告兄弟は、炭鉱経営者でそれぞれ市人民代表大会、政治協商会議の議員も務める耒陽市の名士、しかし裏では暴力団組織のトップで、肖強元公安局長に多額の賄賂(政治献金?)を渡していたとされている。
  
5、  食品の安全:① 粉ミルク事件でも明らかなように今だ何でもありである。小麦粉の中に工業用の漂白粉を混入。大豆油を使用する米のつや出し加工(油が酸化して人体に有害、質の悪い米を良く見せるため)。カビの生えた菜種或いは落花生から油を搾取。豚飼育にホルモンやテラマイシンを添加した飼料(発育促進、微量元素で発覚しにくい)。・・・「武漢晩報」より。
② 農家は高毒性農薬や中毒性農薬が容易に入手することができることから、使用しているのは公然の秘密とされており、地方の農作物の調査機関の殆どは、農薬残留量の超過チェックだけ行い、農薬の成分までは調べていない。
   高毒性農薬:イソフェンホスメチル、シメット、スルホテップ。中毒性農薬:メチダチオン、イソカルボホスなど(農薬はパッケージを偽装)。
  (日本もバブル時代までは、農家が、農薬散布することから食べる野菜と売る野菜と作る場所を分けていた。葉っぱが綺麗でなければ売れない日本のスーパー)
③ 国際環境保護団体「グリーンピース」が昨年3月中国で実施した白菜・ほうれん草など野菜やイチゴなどの果物計15品目45サンプルを残留農薬検査した結果、40品目から計50種類の残留農薬が検出され、25品目からは少なくとも5種類の農薬を検出。5品目からは10種類以上の残留農薬が検出されたと報告している。北京ウォルマートのイチゴからは13種類の残留農薬が検出され、棚から即座に下ろされたという。
また、上海の初蓮花スーパーマーケットで購入した食用ナズナとささげのサンプルからは発癌性が強く使用禁止であるメタミドホスとカルボフランを含む残留農薬が検出されたとしている。
  ④上海蟹やウナギ・エビなどの養殖物は、成長ホルモン剤を餌に混合している養殖場もある。
   例を上げればきりがない、ここまで。
 
6、  食用油高騰:中国では食用油の生産が、経済成長に伴う需要増に追い付かず高騰している。そこに登場したのが、とんでもない偽装植物油。地溝油という調理場の流しや溝に廃棄され溜まった廃油を、ゴミと一緒に回収、濾過して各種薬品を入れバージン植物油のようにして、闇で大量に販売している。食用油が高騰しており、地溝油は値が半値のため多くのレストランでも使用されているという。見た目の区別はまったく付かず、非常に危険な再生油である。
   急に何から何まで巨大国家となったことから、各行政官庁の規制や取締りが追いつかず、またGメンも限られ、不正企業はやりたい放題。監督官庁はないに等しく後手後手の結果。
 
7、 中国では、新型インフルにかかった子供を医療費が高いことから親が遺棄した事件があった。中国の高額医療費の高騰原因は、高齢化、疾病構造の変化、多剤投与の3つが挙げられ、日本と似たり寄ったり。
中国経済は、高成長=インフレで人件費が高騰しており薬の製造コストも上がっている。
そのため医薬品価格が上昇している。また初診料、再診料、ベッド料、検査料、注射料などの徴収基準が大幅に上昇。それに加え、輸入医薬品や外資系医薬品の増加も医療費高騰の一因となっている。さらに、高額医療機器及び新型医療材料の増加もコスト高となっている。貧富の差で医療サービスを受けられなくなっている貧困層が中国人民の大多数である。鼠を取らなかった猫を放置できる鄧小平も見直される時がくる。
 
8、 山西省内で3年前からB型肝炎やB型脳炎のワクチン接種後、急性伝搬性脳脊髄炎や 
脳炎などを発症、死亡または後遺症に苦しむ子供が続出している。ワクチン管理が地方行政庁から私企業に委ねられ、その際私企業が自社のパッケージを貼るため、ワクチン本体が高温下で野晒し陽晒しされ、ワクチンが変質したものとされている。
 
9、  貧富の差:周知の通りである。白い猫も黒い猫も鼠を取れば良い猫であるとした鄧小  
平の理論。鼠を取る漢族、政治は上から下まで漢族により取り仕切られており、取り残される地方民族である。都市と田舎、民族間の格差も大きい。13億人を束ねるのは大変である。
  ウォールストリートジャーナル紙の2月4日号に、中国の貧富の格差について次の通り報告している。中国経済体制改革基金会の王小魯氏は「内陸部では収入の最も多い層10%と少ない層10%の差が31倍に上る。全国では55倍だ」と指摘。また、別の経済学者によると、中国の高所得層は全人口の15%、中所得層は10%、低所得層は70%に上るとしている。
 
10、              戸籍問題:農業と非農業の戸籍の垣根を撤廃して、都市部と農村部における一本化した戸籍管理制度の確立を模索。それと同時に、合法的な固定の住所を戸籍登録のよりどころとし、大都市や中都市に向う戸籍移転への制限を徐々に緩めるとしており、既に直轄市で段階的に実施されている。農民工と都市住民間の人権問題も解消されるとしている。戸籍そのもので、農業と非農業で差別されている。
何故報道してはいけないのか、もっと裏がありそうである。裏は不知。
 
11、「チベット3.14事件」、中国政府は、鉄道を開通させたことにより、チベットを観光地として銭の対象にした漢民族が大挙押し寄せ、金に物を言わせてチベットの伝統や文化を破壊、これに怒ったチベット族が反乱を起こした。漢族の拝金主義者達はチベットの伝統や文化は商売の種にしか思っていない。これが鼠を取る猫の正体である。
 
12、「ウィグル族の事件」は、元々の暴動の原因は、出稼ぎウィグル族が、工場の寮で漢族に撲殺され、漢族の刑があまりに軽かったことから、新疆ウィグル地区において、ウィグル族が抗議のため立ち上がり暴動となったものである。新疆ウィグル地区には、漢族の政府によるウィグル族との融和政策で、漢族が大量に移住、経済も牛耳っており、こうした経済背景も暴動に発展した理由の一つである。暴動でウィグル族は処刑されても漢族は軽い刑か無罪放免のようである。こうした事実が取り上げられたらまた暴動が再燃する恐れがあり、力と情報遮断で押さえ込んでいるのである。
 
13、大学の自治権:天安門事件に象徴されるように、学生が国家を脅かす存在になる可能性は、現在が天安門事件の時より高いと思われる。国家権力で学生を封じ込め、農民・農民工・低所得者層・田畑や家を取られた者、民族・宗教など政治経済に不満を持つ中国国民を、学生が糾合する可能性が高い。天安門事件を契機に中国政府は、学生の芽を事前に刈り取っている。
 
14、大学生の就職難:金融や不動産業ばかりが花盛りであり、世界同時不況の中、金融や不動産を除いた企業活動は、リーマンショック以前のようにはなく、また裾野が広がってもおらず、大学生の就職受け皿が乏しい。就職難の不満を助長するような報道を禁止しているのである。
 
15吉林省の製鉄所社長の殴殺事件:吉林省=旧満州、朝鮮族が多く漢族とは一線を臥す。地元の通化鋼鉄(約3万人、高炉7基)が、国家政策で北京資本の建龍建鉄に08年買収された。通化鋼鉄は、建龍建鉄により合理化政策が打ち出され、労働者が大量に解雇された。 ところが、その退職金が日本円でたったの約3000円だったことから、08年7月22日労働者が集会を開き暴動に発展、建龍建鉄集団の陳社長が殴り殺された事件である。民族間の対立、中央資本と地元資本など複雑。
 
16、四川省大地震での学校倒壊問題と復興遅れ:田舎より鼠を多く取る都心部に重点政策が敷かれており、崩壊した道路等インフラ整備しても経済効果が少ないことから、復興計画は後回しにされている。学校倒壊問題は、地方行政府の問題に直結することから、報道をさせない。役所や官僚の不正を報道してはならないことから、自ずと範ちゅうに入る。
 
17、不動産価格と住宅難:中国はこれまで、国の金融機関・国営企業など総動員して不動産業を営んでおり、不動産は投機対象として価格だけはアメリカ並みになっている。ところがそうした投機対象ビルはハコであり、借り手があろうがなかろうが関係なく、高値誘導型で売買されている。当然、庶民(貧富の差は都会でも大きい)が住むような建物の入居価格ではなくなっている。 
そのため大多数を占める末端住民にとって、住宅は不足しているのである。賃貸住居の需給バランスなど全く関係ない世界。家賃が高くて入れないことから住宅難という奇怪な現象。何れバブルが崩壊して調整される・・・今秋か来春か。
 
18地価高騰を煽る不動産開発業者:ネットでそうした販売の動きをする業者がいるのであろう。既に中国政府は、国の金融機関に対して、不動産業者への貸付を減らすように指導しており、不動産バブルの軟着陸に懸命である。既に外資大手は不動産を売却して逃げ出しており、ハコは中国資本の中で転々としている。
  中国人民銀行(中央銀行)は3月11日、2月末のマネーサプライM2は前年同月比で25・52%増加。1月末のM2は同25・98%増だった。一方、2月の新規融資は7,001億元と発表した。1月の1兆3,900億元から大幅に減少している。中国政府は特に不動産市場への融資を制御しだしており、不動産業界が段々耐えられなくなる。
以上18項目について解説した。
 

追記、中国不動産バブルについて
①仏のトリュビューン紙が、3月15日社説で、「中国のバブル経済は上海万博の閉幕とともに崩壊するだろう」との見解を報道。
②「上海万爆」:上海万博が閉幕する時、中国バブルも爆発するとしている。 
③3月15日の米国財務省の発表によると、中国は米国債を8890億ドル(邦貨換算80兆円、前月比58億ドル減)持っており、今後とも国内経済の政治的なテコ入れとして米国国債の売りが利用される。その場合、米国は償還用の資金を捻出するため、新たな国債を発行しているが、どこも買ってくれなければ、米国は国債の金利を上げて買ってもらうしかない。 
そうすれば、米国の財政赤字は一層深刻となる。中国のバブル崩壊は米国財政も脅かすものとなる。
④米ノースウェスタン大学のビクター・シー(Victor Shih)教授は、地方政府の文献および格付会社からの資料から試算したところ、中国地方政府の総負債額はすでに11・4兆元(約150兆円)に達しており、政府当局が公表した指標の2倍を超え、GDPの3分の1に達していると、「ウォールストリート・ジャーナル」紙に語っている。また同氏によると、国内の金融機関は、地方政府が設立した企業への融資に同意したという。総額は、2011年までに12・7兆元(約165兆円)にのぼる。シー教授は「私の試算結果はおよそのもので、実際の総負債額はもっと高いかもしれないが、その多くは明確にしようがない」と加えている。
⑤昆明(クンミン)は中国西南地方にある雲南省の省都。この昆明市の隣町呈貢(チェンゴン)。(2010年)2月21日付の「フィナンシャル・タイムズ」紙は、「China: No one home」と題する記事で「呈貢には大理石のタイルで覆われた13棟の地方政府所有の新ビルが建ち並んでいる。この町には室内プール完備の高校があり、この地方の主要大学には、いくつかの大型キャンパスが建設された。新品の高層マンションが列を成し、ピカピカの窓ガラスが亜熱帯の太陽を反射して輝いている」。
しかし、唯一の欠点は「現在の呈貢はほとんど無人の状態に等しい。広い通りの交通は絶えたかのようで、銀行の支店には客の姿はなく、地方政府の役場の玄関には落ち葉がたまっている」としている。
 ・・・地方政府は、ハコを用意したのだから何れ必要とする人たちが押し寄せてくると信じているとしている。・・・国のインフラ整備のための公共投資予算で建設されている。
⑥投資家のジェームス・チャノス氏は1月「中国の不動産バブルの危険度はドバイ信用危機の1000倍」と発言している。
⑦米金融大手ゴールドマン・サックスでアナリストの経歴を持ち、現在は中国最大の不動産開発企業であるソーホー・チャイナ(SOHO中国)の最高経営責任者(CEO)、張欣氏は「不動産価格の急上昇は国有企業に関係しているとみられる。4兆元の景気刺激政策の最大の受益者である国有企業大手は、政府から得た資金をそれぞれの主要事業(インフラ整備の掛け声であった)に投ぜず、不動産市場での投機資金として使っている。」としている。

以上、

[ 2010年3月26日 ]
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