【投稿】時を待つ心
投稿者=松下幸之助「道をひらく」より
何ごとをなすにも時というものがある。時・・・それは人間の力を超えた、目には見えない大自然の力である。いかに望もうとも、春が来なければ桜は咲かぬ。いかにあせろうと、時期がこなければ事は成就せぬ。
冬が来れば春は近い。桜は静かにその春を待つ。それはまさに、大自然の恵みを心から信じきった姿といえよう。
わるい時がすぎれば、よい時は必ず来る。おしなべて、事を成す人は、必ず時の来るのを待つ。あせらずあわてず、静かに時の来るのを待つ。時を待つ心は、春を待つ桜の姿といえよう。
だが何もせずに待つことは僥倖を待つに等しい。静かに春を待つ桜は、一瞬の休みもなく力を蓄えている。蓄えられた力がなければ、時が来ても事は成就しないであろう。
時を得ぬ人は静かに待つがよい。大自然の恵みを心から信じ、時の来るのを信じて、着々とわが力をたくわえるがよい。着々とわが力をたくわえる人には、時は必ず来る。時期は必ず来る。
待てと言われればなお焦るのが人情である。だが、自然の理はわがままな人情には流されない。冷たいのではない。静かに時を待つ人には、暖かい光を注ぐのである。お互いに時を待つ心を養いたい。
編集部・・・・珠玉の言葉です。
[ 2010年3月27日 ]
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