アイコン 九州の銀行シリーズ①  親和銀行①/地方経済と銀行

親和銀行は、佐世保市を本拠地とし、不良債権処理で行き詰った九州銀行を2001年に経営統合、金融持株会社九州親和ホールディングスを設立、同行はその傘下となった。しかし、その後親和銀行の隠蔽されていた不良債権が湯水の如く噴出、日銀が福岡銀行に支援するよう求め、2006年10月、福岡銀行が九州親和ホールホールディングスに出資、業務提携して人的交流を進めた。その結果、あまりの融資の杜撰さを指摘され2007年5月、親和銀行は自力再建を断念した。2007年10月1日、九州親和ホールディングスが全株式を福岡銀行の完全子会社となり、その後ふくおかフィナンシャルグループ(福岡銀行Gという)に統合されている。
福岡銀行元副頭取の鬼木和夫頭取主導の下、経営再建のため融資先をメッタ斬り、地元政財会関係者の強い要望やこれまでの関係で斬れないところは債務免除などを行い、2009年3月期にはほぼ不良債権処理を通常ベースまで落としている。

<福岡銀行傘下で不良債権処理>
親和銀行の政界癒着や企業癒着が、福岡銀行の主導の下に正されてきたともいえるが、2007年3月期の不良債権残高は2,170億円(破産債権等+要管理先+破綻懸念先)を計上させ、ピークとなる同年9月には2,800億円に至った。半分以上は保全されているにしても、福岡銀行G傘下になって1,200億円前後は実質処理をしたもの推察される。そうしたことにより、親和銀行は不良債権と認定した約2,800億円(07/9 月残)については、貸出金が不良債権処理(債務免除+DES+債権売却+破綻)で処理したか、返済で減額されたりしてきている。

<一般貸出が6,000億円減少>
しかし、親和銀行の貸出金は、福岡銀行G傘下となり、経営が決算書を中心にして数値化され画一化したことにより、融資を剥がした動きとなった。福岡銀行の傘下になる前の、2006年3月期の親和銀行の融資残は、1兆6,947億円であった。ところが2010年3月期には1兆1,817億円まで減少、5,130億円の融資を主に長崎市場から引き揚げていることが判明する。当然2006年期の親和銀行の決算には不良債権も入っているが、それを差し引いたところで余りある減少となっている。
(県市町村に対する融資=地方公共団体向けの融資を除けば、5,935億円の減少。)

 <業種別貸出状況> 薄黄色マークは30%以上融資が減少した業種

 
 
 
 
 
親和銀行/百万円
2006年3月期
2010年3月期
2010/3期      -2006/3期
増減率
製造業
151,198
99,995
-51,203
-33.86%
農林業
1,916
1,886
-30
-1.57%
漁業
15,151
3,037
-12,114
-79.96%
鉱業、砕石
8,871
4,373
-4,498
-50.70%
建設業
135,454
50,756
-84,698
-62.53%
電気・ガス・水道
10,187
11,072
885
8.69%
情報通信
9,411
4,755
-4,656
-49.47%
運輸、郵便
55,154
31,438
-23,716
-43.00%
卸小売
203,181
103,631
-99,550
-49.00%
金融保険
108,652
46,168
-62,484
-57.51%
不動産、賃貸
147,577
96,530
-51,047
-34.59%
各種サービス
386,479
149,332
-237,147
-61.36%
地方公共団体
113,012
193,506
80,494
71.23%
その他
348,497
385,225
36,728
10.54%
1,694,741
1,181,707
-513,034
-30.27%
県市町麻薬貸付省ク
1,581,729
988,201
-593,528
-37.52%
 
 
 
 
 
十八銀行/百万円
2006年3月期
2010年3月期
2010/3期-2006/3期
増減率
製造業
106,367
116,072
9,705
9.12%
農林業
5,699
7,390
1,691
29.67%
漁業
15,640
7,200
-8,440
-53.96%
鉱業、砕石
1,302
1,492
190
14.59%
建設業
68,799
35,412
-33,387
-48.53%
電気・ガス・水道
9,426
10,165
739
7.84%
情報通信
6,813
7,460
647
9.50%
運輸、郵便
43,315
38,822
-4,493
-10.37%
卸小売
233,146
176,221
-56,925
-24.42%
金融保険
23,605
18,482
-5,123
-21.70%
不動産、賃貸
118,503
142,007
23,504
19.83%
各種サービス
255,339
172,936
-82,403
-32.27%
地方公共団体
155,642
190,798
35,156
22.59%
その他
357,693
360,834
3,141
0.88%
1,401,296
1,285,298
-115,998
-8.28%
県市町麻薬貸付省ク
1,245,654
1,094,500
-151,154
-12.13%

※県市町村への融資拡大は、地方公共団体が自助力をなくすだけであり、金融機関による「麻薬漬けの融資」と筆者は断定している。
[ 2010年7月12日 ]
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