アイコン 佐賀銀行/九州の銀行の儲け度チェック付き

松尾頭取は、軸足をどこに持とうとしているのであろうか。本拠地の佐賀市は平成7年をピークに過疎化が進み237千人と隣の久留米市の人口(福岡県、304千人)より少なくなっている。鳥栖市も九州の物流の拠点としての機能はあるものの、川下のアッセンブリーや加工の領域は限られている。
同行は本バブル期、福岡に力を入れていた。しかし不動産業界への融資を拡大させたまではよかったが、バブル後遺症を抱えさせたままその後も取引を継続させ、金融庁からお灸をすえられ、その後不動産業界への貸し出しを大幅に減少させてきた。

先般は、再度福岡を強化するとしたものの、企業にあっては不況から資金ニーズも低く、福岡銀行や西日本シティ銀行が火炙りにしている不動産業界にしか、その道はなさそうである。福岡の新興デベロッパーは、今でも実力者がいるが、資金供給が受けられず、歯ぎしり状態が続いている。ジャブ程度でも不動産開発業界への融資を解禁すべきではないのだろうか。同行には不動産業界や福岡七社会に対しての実力者もいる。

連結/百万円
2008年3月期
2009年3月期
2010年3月期
経常収益
46,056
45,921
42,515
営業利益
7,472
10,642
10,636
経常利益
6,074
-926
9,238
当期利益
7,699
63
5,185
総資産
1,929,765
1,961,187
2,018,219
自己資本
86,753
83,746
93,597
資本金
16,062
16,062
16,062
自己資本率
4.50%
4.30%
4.60%
国内基準
10.69%
10.73%
11.38%

<業種別貸出状況推移>
同行は、製造業に対する融資は増加しているが、09/3期に大口貸付でもあったと思われ、10/3期には微増にとどまっている。建設業は10/3期、官民とも仕事が減っていることから、融資残が減少している。不動産・物品賃貸の融資は、一見増加しているように見えるが、サービス業であった物品賃貸が2010年期より、不動産業と一緒になったため増加しているようになっている。同行では、東峰住宅・アーサーを07年期までに片付けており、08年から10年期までほぼ変わらず。
リース業等の物品賃貸業は、本来金融業に組するものであるが、金融庁は不動産業単独の融資残を世間に知らせたくないため変更させたものと思われる。
次表でも分かるように同行も地方企業への積極的な融資は抑え、県や市町村向けの融資を拡大させている。お金で県市町村を麻薬漬けにしている。(県市町村は限られた資金内で執行しなければ、合理化や効率は限られたものとなる)

業種別融資状況/百万円
2010/3
09/3
08/3
10/3-09/3
10/3-08/3
国内融資残
1,218,416
1,232,628
1,201,059
-14,212
17,357
製造業
126,467
123,219
98,804
3,248
27,663
農業、林業
1,586
1,822
1,886
-236
-300
漁業
2,200
2,182
2,513
18
-313
鉱業、採石・砂利採取業
1,557
1,684
1,936
-127
-379
建設業
68,130
78,687
71,791
-10,557
-3,661
電気ガス・熱供給・水道業
12,236
13,496
14,092
-1,260
-1,856
情報通信業
6,491
5,637
5,775
854
716
運輸業、郵便業
42,785
35,829
32,380
6,956
10,405
卸売業、小売業
158,735
167,411
166,351
-8,676
-7,616
金融業、保険業
22,395
23,610
33,267
-1,215
-10,872
不動産業、物品賃貸業①
143,676
110,012
111,981
33,664
31,695
各種サービス業
165,505
197,280
193,535
-31,775
-28,030
地方公共団体
136,581
121,593
108,940
14,988
27,641
その他
330,072
350,167
357,809
-20,095
-27,737
①金融庁の姑息の手段で、2009年期まで不動産業単独であったが、2010年期より物品賃貸業も入るようになった

<金融円滑化法による申込状況>
どこの銀行も6月分を発表しているが、佐賀銀行は3月までしか発表していない。金融庁も6月までの分を発表しており、同行は追加して発表すべきであるが発表しない。そうしたことが嫌われる要因にもなる。

金融モラトリアム(金融円滑化) 申込
/百万円
10/3(累計)
10/6(累計)
平均
申込数
申込額
申込数
申込額
 
佐賀銀行
1,481
42,330
 
 
28.6
146行計
 
 
474,815
15,712,600
38.0
全銀行 ⇒返済猶予OK件数は、申込件数に対して97.10%。

<総資産の儲け度・活用度>
高過ぎれば高金利での貸付が多いことを意味する。
筑邦銀行の貸出平均金利はかなり高いようであるが、佐賀銀行は同行のお隣さんであり、同行の優良お得意先に仕掛けるのも面白いと思われる。(連結)

経常収益/総資産 ランク %
1
筑邦銀行
3.063
2
宮崎銀行
2.499
3
十八銀行
2.415
4
鹿児島銀行
2.413
5
西日本シティ
2.344
6
大分銀行
2.267
7
ふくおかフィナンシャル
2.173
8
佐賀銀行
2.106
9
肥後銀行
2.003
10
山口フィナンシャル
1.988

山口FGの1.988%は低過ぎるようであるが、しっかり儲かっており、経営効率がよいのであろう。同行は北九州銀行の設立も着々と進めており、こうした低利での融資は北九州の企業・市民にとって喜ばれるものとなる。早期の開業が待ち望まれる。

[ 2010年9月27日 ]
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