アイコン 長崎市監査委員会(2) 新長崎市民病院が14億円も高い大成建設Gに決定した疑義・・

一市民から寄せられた「新長崎市民病院が14億円も高い大成建設Gに決定」した疑義について、長崎市監査委員会は寄せられた疑義について、長崎市の行政を監査した報告書を元に当記事は作成されている。

第1 請求の受理
 本件請求は、平成22年9月16日付で提出され、同月28日、地方自治法(以下「法」という。)第242条に規定する要件を具備しているものと認め受理した。
第2 請求人   略
第3 措置請求書 略
第4 監査の実施
1 監査対象事項
措置請求書に記載されている事項、これに添付された事実証明書及び請求人の陳述により、本件請求の要旨を次のように解し、違法、不当な行為があるか否かについて監査を実施した。
(1) 指定された職員
長崎市長、長崎市病院事業管理者、長崎市病院局管理部長
(2) 請求人が違法、不当と主張する内容
長崎市は、長崎市新市立病院整備運営事業の入札を総合評価一般競争入札方式で行い、清水建設グループよりも14億円高い価格で応札した大成建設グループを落札者に決定している。大成建設グループが高得点で落札者に決定した選定過程には合理性も整合性も認められず、明らかに長崎市民の公益を害している。
(3) 請求人が求める措置
大成建設グループとの契約を無効にすること
後略
第5 監査の結果
1 事実関係の確認
(1) 当該事業の概要について
(2) PFI事業手法の導入について
2 監査対象部局の説明
(1) 関係職員の主な陳述内容
3 関係人の調査
(1) 審査会委員への調査

4 判断
住民監査請求に基づく監査及び勧告についての決定は、法第242条第8項において、監査委員の合議によるものと規定されている。
本件監査請求については、その請求に理由があるか否かについての審議の結果、合議が調わなかった。その理由については以下のとおりである。
住民監査請求において、監査委員は、市民に代わって疑問点を明らかにする役割を担っている。
本件のように選考過程そのものに疑問が呈された場合には、監査対象部局は監査委員が求める資料を提出し、市民に対して説明する責任を果たすべきものと考える。
私ども監査委員は、落札候補者の決定に係る審査会委員の個別配点と集計資料の提出を病院局へ要求し、①他の審査会委員に比べて特定の業者に対する配点傾向に異常性のある審査会委員の有無、②各審査会委員の配点の集計が適切になされて、審査会へ報告されているか、について検討しようとしたが、病院局より「審査会において、率直な意見の交換が損なわれないように委員個人の採点については、非公表とし取り扱っていること、さらに、各審査委員のそれぞれの採点結果で審査をしていないことから提出しかねる」との理由により同資料は提出されなかった。
そのため、必要な事実の確認が困難となり、今回の監査の結果を出すことができなかったものである。

5 意見
本件監査請求については、監査の結果を出すことができなかったが、監査委員として今後の行政運営に資するためにも次のとおり意見を述べたい。
1、 内容評価点と価格点の割合が7対3から5対5に変更された経緯
「建設単価を限界と判断して、内容評価に重点を置いた」として7対3で提案を行ったが、その後、「本事業が建物中心のPFI事業なので、価格も重視した」として5対5の均等に大きく変更された。
医療事務等を除いた「建物中心のPFI」であることは最初から予定されていたことであり、審査会への提案までに、もっと充分な検討が必要ではなかったかと考える。
市民病院の使命から考えれば、一定の価格要件をクリアすれば、内容を重視することで市民の理解は得られるものと思われるが、このような価格重視に一挙に変わったことは理解しがたいものである。
 

[ 2010年12月27日 ]
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