アイコン 【破綻解説】シャープから斬られた㈱竹本電機製作所の破綻について

会社名:㈱竹本電機製作所
所在地:奈良県橿原市一町308
代表名:藤田 有造
設 立:1969年2月
資本金:3,000万円
仕入先:
販売先:シャープ(葛城工場、福山工場など)
年 商:(2010年1月期)2,029億円
破綻事由:12月20日事業停止、今後自己破産申請へ
負債額:約180億円。

/百万円
売上高
当期利益
平成20年1月期 
203,000
 
平成21年1月期 
258,000
 
平成22年1月期 
202,900
-1,676

同社は、1969年(昭和44年)2月設立、ダイオードの自動検査装置を開発してから、実績を拡大させ、73年には橿原市に工場(現本社地)を建設、1975年(昭和50年)11月からはシャープと発光素子(LEDチップ)のチップ検査の取引を開始した。その後、ボルテージレギュレータチップ、ホール素子チップ、フォトインタラプタ・フォトカプラ、ホログラムレーザーなどシャープからの受注を拡大させてきた。
シャープの工場が進化拡大する中、同社は技術力も保持しながら、シャープ工場内での各種検査に携わる請負業やシャープの各地にある工場の労働者派遣業務を請け負ってきた。
特にソーラーセルでは、シャープの葛城工場において、同社はソーラーセルの外観検査ライン生産を開始するなど、受注量の拡大により2009年1月期には売上高2,580億円を計上、好調そのものであった。
ところが、2008年9月発生したリーマンショックで、世界経済は大不況に突入、電気製品の需要が激減した。
そうしたなか、シャープは液晶テレビ(42型以上)や太陽光発電セルの生産を、最新鋭の堺工場に移転、2009年10月から稼動させた。そうした結果、シャープから同社に対する特定労働者派遣業務や検査等の請負業務の発注が激減した。
同社は、シャープからの受注が急減するなか、図体がそれまでに大きくなっていたこともあり、リストラ等敢行するも、その売上高の減少には耐えられず、また借入金のウェイトだけが逆に高くなるという財務バランスの悪化から、資金繰りにも窮するようになった。
先を見越した金融機関との調整も旨くいかず、このたび事業継続を断念したものである。 

当然、シャープの下請けとして、これまで検査装置など技術分野や検査作業などで、シャープを支えてきたものの、シャープの最新鋭の堺工場では、用済みとされてしまった結果といえる。
各種検査装置などは、今ではそれぞれの専門メーカーが各種開発しており、同社の絶対的な強みはなくなっていた。それに、2,000億円以上の売上高を計上する同社にありながら、資本金3,000万円と資本政策など皆無な会社であり、経営陣にも大きな問題があったものと思われる。これまでシャープにぶら下がっていた結果ともいえる。
しかし、シャープもこれまで同社にはお世話になっており、何らか同社を生きらす方策はあったかと思われるが、世界企業に進化した今のシャープには、お荷物の存在としか見えなかったようだ。
次回は、シャープを研究してみる。
 

[ 2010年12月27日 ]
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