アイコン 長崎駅区画整理事業(6)審議会の欠員は法律・条例違反か

長崎市が事業者として行っている長崎駅周辺土地区画整理事業は、法律や条例により、事業を進めるに当り、不動産の地権者や学識経験者からなる審議会を設けることになっている。土地区画整理法では審議会定数を10名とし、地権者から選挙により8名が選任され、2名は学識経験者とされている。
長崎市の担当者によると、たまたま当事業地の所有者が8名であったとされ、その8名が審議委員となり、学識経験者2名を含め審議会を構成している。

ところが、も1人地権者がいたことが判明している。その方には長崎市の担当者が1度だけ接触、その後何の接触も説明もないまま、全くの蚊帳の外に置かれている。
当然、所有者や地権者が計9名ならば、8名にする選挙が必要であった。その地権者に対して何の説明もなく、事業者である長崎市から審議会の委員への選挙の誘いもなく審議委員は決定して動いている。

こうして、土地区画整理法及び条例に違反する脱法行為を、事業主である長崎市自身が行っていることが判明する。

審議会のメンバーで、不動産所有者8名のうち1名が、不動産を売却、新しい所有者が生じた。しかし、現有の審議会は1名欠員を決議、そのまま審議会を開催、重要事項を次から次に決定している。(予備委員を選定しておらず補充もされず)

こうした審議会をリードしているのは、長崎市の担当者たちである。学識経験者として審議会入りした長崎大学の助教授は、5回目の審議会で議長を務めたが、「私たちは何も言えない」と、暗に自らが作った仮換地案をゴリ押しする長崎市都市計画課の担当者たちにより、議事が進められていることを関係者に漏らしているほどである。

法律や条例では、欠員となった場合、予備委員を審議委員として補充することになっている。しかし、長崎市は、新所有者は別にしても、当初から地権者一人を仲間外れにしており、審議会そのものが違法行為を続けていることになる。

長崎市は、不動産の所有者ではなく地権者である人を、審議会の委員候補として看做さなかったようである。


<長崎市自らが条例違反>

法律の専門家によると、
 長崎都市計画事業長崎駅周辺土地区画整理事業施工条例(平成21年3月23日施行)第13条1項で、審議会の審議委員は10名と決められており、また予備委員を置くことが決められている。
しかし、事業主の長崎市は、予備委員を置いていない。委員に欠員が生じた場合、条例で予備委員を補充することになっているが、予備委員を置いていないため、欠員のまま審議を行っている。
このことは4回目以降の審議そのものが条例違反となる。と断言している。


<所有者の1人だけに多大な不利益が・・・照応の原則違反>

現状、駅構内に位置するジャパレンのレンタカー会社とガソリンスタンドの不動産について、長崎市の担当部署から仮換地案が提出され、審議会はこれを了承している。

その仮換地案とは、地元の人なら分かるだろうが、現状の長崎駅構内に所在・幅員37メートルの国道202号線の電車通りに面している場所から、北へ200メートル以上も離れた一方通行道路沿いに追いやられる仮換地案である。現状のガソリンスタンドもレンタカー会社の経営も採算が取れるものでは全くない場所である。

こうしたことは、当区画整理事業地内の不動産所有者で唯一審議会に出席できず、また他の審議委員が自らの利益のみを考え、他の地権者や所有者の利益など毛頭考えない結果、欠席裁判を強いられた結果にほかならない。

当該不動産の所有者は、土地区画整理法の根幹を成す「照応の原則」にも大きく違反し、利用価値が大きく損なわれるような長崎市が作成した仮換地案を了承した審議会の仮地案に対して、大きな大きな疑問を呈している。

審議会メンバーの1人は「(事業主である)長崎市が策定した仮換地案を、第4回の審議会で了承した。7名の所有者+2名の学識経験者?の審議委員で審議されたが、異論を述べる者など誰もいなかった」と。
更に審議委員メンバーのJR関係者は、「JRは、こうした区画整理事業では審議委員には原則ならない。しかし、今回は地権者が少なく審議委員になっているが、自らの所有地の仮換地案に異論があっても原則、事業主が進める案に対しては異論を挟まない。JRという立場上分かるでしょう」と述べている。地権者の利益を代表して審議会入りしているはずのメンバーがこうしたことでは、まともな審議会など望むべきようもない。
また、当JR関係者の委員は、「(事業主である長崎市が)仮換地案に対して、当然、新所有者からも了解を事前に取り付け、審議会に諮り、了解を求められたものと思い、仮換地案に対して賛成した」とも述べている。長崎市の担当者は、新所有者の了解など全く取っておらず、当方の取材にびっくりした様子であったほどである。

長崎市長が進める長崎駅周辺土地区画整理事業は、副市長が実質取り仕切る都市計画部の担当者たちにより、土地収用事業(土地収用法)として勘違いして進められているようだ。
長崎市の担当者に取材しても、強行一辺倒、新所有者に対する仮換地案を、新所有者に絶対了解してもらうしかないと断言してやまない。

行政を司る長崎市は、権限を振りまき、好き勝手にできる土地収用法による土地区画整理事業ではないことを理解して欲しい。
また、事業主である長崎市は、も一度、土地区画整理法を今のように捻じ曲げず、長崎市の顧問弁護士や国の専門官にも相談し、しっかり理解してもらいたいものである。

 JR各社の審議委員は、色の付かない第3者の立場の審議委員として、地権者や所有者の利益が可能な限り損なわれないように意見してもらいたい。しかし、JRとして、地権者を代表する審議委員の役割を果たせないならば、・・・してもらいたい。

 

[ 2011年2月15日 ]
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