アイコン 長崎駅区画整理事業(10)/再度「照応の大原則」について

第4回審議会において欠員になった1名の土地(新所有者)は、幅員37メートルの国道202号線沿いの表通り(通行車両7万6000台/日)にあるガソリンスタンドとレンタカーの不動産を所有しています。
その不動産の仮換地案は、約200メートル以上北へ離れたベストウエスタンホテル裏側の「一方通行沿い」(通行車両数千台/日)に仮換地案が示されています。

法律では、区画整理事業において「照応の大原則」を前提に区画整理事業を進めるように法規定しています。しかし、長崎市の都市計画課は、上記の仮換地案について「『照応の大原則』に照らし合わせても何ら問題はない」と断言しています。どういう頭と神経の持ち主なのかと、長崎市の役所仕事を疑いました・・・。 

区画整理事業における「照応の大原則」では、
区画整理事業法89条第1項:『換地計画において換地を定める場合においては、換地及び従前の宅地の位置地積、土質、水利、利用状況環境等が照応するように定めなければならない。』法第98条第2項:『仮換地の指定を行う場合も考慮しなければならない。』
と大原則を示しています。

 利用状況において、1/10以下しか車両が通っていない一方通行沿いでガソリンスタンドの経営ができるのでしょうか? また常に駅に隣接して利便性が求められるレンタカー会社の経営ができるのでしょうか?
記者の取材に対して、長崎市都市計画課の担当者は、ダンマリ戦術を取り、最後は「所有者に粘り強くお願いするしかありません」の一点張りでした。『照応の大原則』に違反していることは明確ではないでしょうか。

 

第4回の審議会では、こうした長崎市が策定した当仮換地案が、何の疑問も持たず討議もなく了承されています。
その後、施工者である長崎市は、法律で決められているため、一応、審議会委員外で唯一残る1名の所有者及び借地権者のため、仮換地案を供覧に廻しました。

当該の新所有者は、当仮換地案を見て驚き激怒、当然『意見書』を提出しました。

ところが、第5回の審議会は、会長の菊森氏が欠席、杉山会長代理(長崎大准教)が議長となり、その『意見書』を取り上げました。しかし、ろくに発言もなく、『意見書』について殆ど討議もされず、第4回審議会に施工者の長崎市が提出した仮換地案のまま了承されました。(傍聴者談)

関係者によりますと「審議会の審議そのものが、審議の補助的な役廻り役(法律では参考人)であるはずの長崎市の担当者により進められている」と審議会の実態を話していました。

以前にも記載しましたが、JR関係者(委員)は、「(委員ではない)所有者の仮換地案は、当然、事前(第4回の仮換地案提出時以前)に、施工者の長崎市の担当者により、(委員ではない所有者からも)了解を取っていたものとばかり思っていました。取っていなかったんですか」と、長崎市都市計画課のやり方に驚いていました。

審議会は、前回(9)に示した通り、「所有者や地権者を代表して、施工者(長崎市)との関係を調整し、事業の適正な運営に資する機関であるとされ、施工者の長崎市が好き勝手に暴走しないように、施工者の長崎市と所有者・地権者の利益を調整する機関である」とされています。
そのため、審議委員は、長崎市の地方公務員(特別職)ともなっています。それほど、審議会の委員は重責を担うものであり、『照応の大原則』に基づき、長崎市から提示された仮換地案を、自ら所有する不動産の仮換地案のみならず、他の所有者の仮換地案も公平に判断しなければならないという立場にあります。

第4回の審議会で採択された仮換地案が供覧に附され、驚いた当該の新所有者は、規定に基づき、即日「全く話にならない」との『意見書』を提出しました。
それを受けて開催されたと思われる第5回の審議会では、そうした学識ある学識経験者の長崎大学准教の会長代理が議長となり、仮換地の大原則である区画整理事業法89条第1項の『照応の大原則』に照らし、討議されるものと思われましたが、全く討議にならなかったというものであります(傍聴者談)。

長崎市が、学識があるとして任命されたお方が、学識があるのかどうか非常に由々しき問題となっています。
第6回審議会も先般、会長が議長となり開催されましたが、当該の仮換地案についての進展は全くありませんでした。

<見え隠れする長崎市の戦法>
当区画整理事業における長崎市は、学識経験者は審議会の会長や会長代理に施工者の長崎市により任命されています(法律でOK)。任命された学識経験者は箔が付くと喜んでいましょう。当然、任命してくれた長崎市の換地案に対し、よほど正義感を持ち合わせない限り、意見することもないでしょう。あるとしても所有者からの「意見書」に基づき検討すればよいことです(適当にでは困ります)。
残る所有者は7名、1名はホテルニュー長崎であり、長崎市の仮換地案に必ず賛成する。またJR関係者3社は頭数合わせであり、何も物申さない立場にあります。
こうして残る3名に対して長崎市は、良い場所を仮換地案を提出すれば、長崎市が提出した全体の仮換地案に対して文句が出るはずがないと計算したに違いありません。
そうして、今回の仮換地案は策定され、その通りに審議委員の誰からも問題となる意見は出されず、施工者が策定した仮換地案は第4回審議会で了承されたのでした。
しかし、当仮換地暗に真っ向から対立する『意見書』が唯一残る所有者から出ました。それでも、審議員は長崎市の言いなりに化かした委員により構成されており、『意見書』に対して、誰一人おかしいとの異論を挟まず、施工者の長崎市が策定したとおりの仮換地案を第5回審議会でも『意見書』に殆ど言及することなく、単に保留扱いとしました。

審議会の役割とは何でしょうか。形式だけのものならば、税金を支払ってまで開催する必要もないでしょう。
また、当区画整理事業では、仮換地に関し、評価委員の人たちがいますが、こうした人たちは一切公表されていません。『照応の大原則』に基づき、当該物件をどう評価判断されたのか、是非お聞きたいものです。 
評価委員の方々もまた、税金を貰って就任している人たちです。不動産の専門家ということですが、区画整理事業には法律があり、判例もいっぱいあります。そうした法律や判例をどう理解され、どのように評価されて、長崎市都市計画課の仮換地案を了承されたのか問いたいものです。評価委員の皆様が税金を貰っている以上、市民として聞きたいのです。

長崎新幹線工事は既に江ノ串トンネルなど工事に入りました。長崎市の玄関口として立派な長崎駅になることを願っています。
しかし、それは長崎駅周辺区画整理事業において、法律を捻じ曲げおかしな判断で遂行されることを願っているものではありません。市民みんなの長崎市です。
 

[ 2011年3月 2日 ]
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