アイコン 堺電子工業(株)の破綻について

破綻企業 :堺電子工業(株)
本店所在地:大阪府泉大津市臨海町1-4-1
 登記住所:大阪府堺市堺区南三国ヶ丘町2-2-1
代 表  :室垣良照
設 立  :昭和44年10月
 創 業 : 昭和32年6月
資本金  :4,000万円
業 種  :プリント配線板の設計と製作、並びにプリント配線板用精密金型の設計と作製
従業員  :104名
売上高  :(平成22年9月期)約53億円。
販売先  :パナソニック、オムロンプレシジョンテクノロジー、シャープ、フジクラ、東京下田工業、高島、アイコン、奥野製作所、下田工業など(過去取引していた会社であり、現在の取引は不明)
仕入先  :シャープ、ニッカン工業、朝日電材、小池商店、ロームアンドハース電子材料、サミックスなど(過去取引していた会社であり、現在の取引は不明)
取引銀行 :三井住友(堺)、三菱東京UFJ(堺)、みずほ(堺)、みずほ信託(本店)、紀陽(泉北)、南部(堺)、大阪信金(宿院)
破綻状況 :8月31日に事業を停止、自己破産申請の準備中。
事後処理の代理人:塩路広海弁護士(大阪市中央区難波3-7-12、電話06-6634-5881)ほか。
負債額  :約45億円。

破綻経過等:
 同社は、昭和32年6月電算用のプリント配線基板の加工を目的に、堺市において堺鉄工所として創業された。昭和44年10月法人化をはかり、昭和60年に現在地の本社屋を完成させ移転した。

製品はパソコン・家電・携帯電話・通信機器用のプリント配線基板。プリント配線板の設計と製作、並びにプリント配線板用精密金型の設計と作製を業とし、スマートフォン、タブレットPC、携帯電話、パソコン向けに、フレキシブル配線基板を製造していた。
販売先は、シャープやパナソニック、オムロンなどの大手メーカーなどから受託して、製品を納品していた。ピークとなるバブル期の平成3年には約134億円の売上高を計上していた。
 同社はIT産業の隆盛に伴い事業を拡大、価格競争力を増すため東南アジアへも進出していた。沿革は次のとおり。

堺電子工業㈱の沿革
1957年4月
堺鉄工所創設
1968
硬質板製造開始
1974
フレキシブル基板製造開始
1985
泉大津市に社屋新築(従来の工場を集約)
1990年8月
高石工場完成(回路形成開始)
1992年8月
現敷地内に金型工場を新築移転
1996年10月
フレックスリジッド生産開始
1998年1月
高石工場を現敷地内に集約
1999年5月
ビルドアップライン新設
2001年7月
第二工場新設(ドリリング工程)
2001年8月
フレックスリジッドライン追加
2003年6月
タイ現地法人(SDT)設立
2006年4月
ベトナム現地法人(SCD-V)設立

 

しかし、業界内の競争は激しく、平成12年9月期の売上高は、100億円の大台を大きく割り込み、その対策に海外へ進出、海外生産により価格競争力を付け、平成16年期には、利益は薄利ながら100億円台の売上高を回復させていた。 
ところが、平成20年9月に発生したリーマン・ショックによる世界同時不況により、日本の電子製品市場は大打撃を受け、同社の受注も減少、平成20年期の売上高は約82億円、平成22年期には約53億円まで減少、連続して大きな赤字を露呈させていた。
電子部品業界は、常に価格競争に晒され、同社は売上高はそこそこあるものの、ここ10年同社の利益は数百万円から数千万円の範囲であり、内部蓄積できる状況になかった。借入依存度も高く、財務体質は脆弱なものとなっていた。
同社は生き残りをかけ、人員削減など大掛かりなリストラを敢行したものの、その後も受注は回復せず、先行きの見通しも立たず、今回の事態に至った。

日本の電子製品業界は、ソニー・パナソニック・シャープの沈没のように内弁慶ばかりで、高品質の国内競争に明け暮れ、その隙に格安の普及品を新興国に売り込んだ韓国勢に世界市場を奪われてしまった。こうした余波を受けているのが、同社などの電子材料部品会社である。
今では、電化製品・電子製品メーカーは、円高対策ノー天気の野田財務大臣様により、価格競争力もなくしており、工場を低賃金の海外に移転するしか生き残れない状況となっている。それに従い、優秀な日本製の製造マシンで、品質も格段に向上している中国・東南アジアの現地会社より、電子部品を安く調達する方向に至っている。
日本が生き残るには、ipadやiphoneのような全く新しい高付加価値品の開発が望まれるが、ソニーさえも製品企画力やデザイン開発力も全くなくして久しい。

[ 2011年9月 1日 ]
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