アイコン 原発立地自治体へ原発マネー3兆円  唐津・薩摩川内・柏崎市付

NHKが原発立地自治体に取材した結果、原発などの立地自治体には、原発の建設や稼働に伴って、国からの交付金や、固定資産税や核燃料税などの税金、電力会社からの寄付金が、昭和40年代から始まっていた。
原発や関連施設のある13の県と北海道、それに30の市町村の合わせて44の立地自治体を取材したところ、その総額は3兆1,120億円に上っていることが明らかになったと伝えている。
原発立地自治体は、原発マネーの漬物に化かしているのが実態である・・・。

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<重要な財源>
多くの立地自治体にとって、こうした、いわゆる「原発マネー」は重要な財源で、これらが入ってくることを前提に事業計画を立てている。
これまでの内訳は、交付金が9,150億円余り、固定資産税等の税金が2兆330億円余り、寄付金が1,640億円余り。
寄付金の比率は、全体の5%余りだが、公開義務がないため実態は不明で、実際の金額はこれよりもかなり多いと見られている。
また、交付金や税金は、原発が運転を開始したあと、年々減る仕組みになっているため、自治体側が、その代わりに寄付金を電力会社に求めるケースもあるという。
電力会社からの寄付金は、公共工事から学校教育や地域振興などソフトな事業まで、原発の立地自治体の裁量で、幅広く何にでも使えるのが特徴である。

  今回、NHKが調査したところ、寄付金は、役場の庁舎や公営病院などの大規模な公共工事や、自治体が催すイベントなどの地域振興事業のほか、学生の奨学金など、教育の現場でも使われていることが分かった。
  
国からの交付金は原発の運転が始まると年々金額が減るほか、使いみちが平成15年まで公共施設の建設などに限られていた。このため、自治体の中には、こうした箱物行政による建設した施設の維持費がかさんで、財政負担にあえぐところも少なくない。
 
 それに比べ寄付金は、原発の立地自治体にとって使い勝手のよいお金で、各自治体が寄付金を求める背景には、こうした事情もある。


<九州電力の寄付>もらわにゃ損損
NHKは、原子力発電所のある全国各地の自治体に電力会社が、提供した寄付金の総額はこれまでに1,600億円以上に上っていることが、各自治体への取材や情報公開請求でわかったとしている。
これまでの寄付金は、多い順に福井県で235億円余り、青森県で192億円余り、青森県東通村で180億円余りなど、総額は1,640億円余りに上る。
  玄海原発がある佐賀県玄海町に対する寄付金は、昭和58年度に20億円、昭和59年度に10億円の総額30億円に上っている。
玄海町によると寄付金の使い道をめぐっては、当時、住民に現金で100万円ずつ配布する案などが出されましたが、税金がかかるなどとして、町役場の庁舎建設費の一部にあてられたほか基金として積み立てられ町内の地区ごとで公民館の建設などにあてられている。
 
また、佐賀県は、寄付金があった場合に年度ごとの決算で計上しているが、九電からの寄付について、何故か特定できないとしている。(佐賀県職員の古川知事への思いやりであろうか)
  佐賀県によると、九電から県に対し物品の形で、平成5年から平成17年にかけて県立総合グラウンドの電光掲示板や伊万里港の埠頭の一部用地などが寄付されている。
<電気料金の計算根拠>
家庭や企業が支払う「電気料金」は、直接発電にかかったコストに発電所の立地自治体への寄
付金やオール電化などの広告宣伝費なども「費用」として組み入れる「総括原価方式」と呼ばれる方法で算出されている。

  このため寄付金は、実質的に電気利用者が負担することになるが、電力会社には相手先や金額などの詳細を明らかにする義務はないという。(こっそり選挙資金にでも流用していたのであろう)
  こうした寄付金のあり方は、電気料金制度の見直しを議論してきた国の有識者会議でも取り上げられ「これまでのように発電事業にかかった費用として認めるべきではない」と指摘されている。
<NHKの九州電力を意識した報道か?>
 NHKは、九電の玄海原発については、玄海町については詳しく報道しているが、唐津市については報道していない。佐賀県が関与している病院施設についても触れていない。また、川内原発の薩摩川内市や鹿児島県についても触れていないようだ。

<玄海原発隣接市の唐津市の場合>
佐賀県唐津市は、市町村合併により原発のある玄海町に隣接した。それまでは、隣接していなかったことから、電力会社から寄付金は貰えず、九電のプルサーマル発電導入における説明会でも、蚊帳の外に置かれた。しかし、当時、限界町と隣接する呼子町と合併が決定していたことから、唐津市議会が九電に対して、何故説明にこないのかと怒りを露わにして注文を付けた。その注文の成果があってか、九電から25億円の寄付金を頂くことが決定、その寄付金の20億円を「早稲田佐賀中・高校」(中高一貫制、早稲田大学の関係あり)の誘致する学校法人に寄付を要請、残る5億円を「唐津市民交流プラザ」の建設に頂くことになって一件落着、既に学校を開校し、建物も建ったことから既に支払われている。


<佐賀県の場合、古川知事との関係>
  佐賀県知事が、肝いりとたっての念願で建設されている「九州国際重粒子線がん治療センター」(通称:がんセンター)(九州新幹線鳥栖駅前)。当施設は、重粒子線がん治療を行う日本で5番目の施設(4番目は陽子線の指宿)として来春開業予定。運営は、佐賀県と佐賀県医師会で構成する「佐賀国際重粒子線がん治療財団」があたる。
  当施設の総事業費は約150億円、そのうち、プルサーマル発電を快諾した佐賀県の古川知事に対して、九電が40億円の寄付を申し入れ決定している。この寄付金も今後、何回かに分けて九電から財団に支払われることになっている。
  当施設は、がん治療や研究に大変重要であろうが、重量子線での治療代金は約300万円(検査費用別途)、残念ながら、健康保険を使えず「金持ち専用病院」。このことを佐賀県民や隣接する福岡県民は知っているのであろうか。
  九州電力と古川知事の関係は、お金で換算すれば(寄付金)40億円の縁である。


<薩摩川内市の場合>
  川内原発のある薩摩川内市では、わかる範囲内との前提で、これまでに約27億円を九電から、寄付及び事業支援の名目で頂いたそうである。


<鹿児島県の場合>
  鹿児島県は、県独自に九電から寄付を頂戴したのは、過去10年間で25百万円としている。
佐賀県の場合、「重粒子線がん治療センター」を建設している財団が、九電から40億円の寄付を貰うことで決定しており、指宿市(鹿児島県)でも「がん粒子線治療研究センター」が既に財団により運営されていることから、当財団が九電から寄付を貰ったかどうか問い合わせした。しかし、回答の連絡がないままである。
<寄付金は、原発爆発事故後も>
電力会社から原発の立地自治体への寄付は、去年3月、東日本大震災と原発事故が起きたあとも、各地で続けられている。
中部電力は、静岡県に対し、去年8月、4億60百万円余りを寄付している。
これは、静岡県が浜岡原発の1号機と2号機の廃炉に伴って国からの交付金を受け取れなくなった代わりに、中部電力に求めた寄付の一部で、道路の拡幅や小学校の校舎の補修などの工事の費用に充てられている。
  中国電力は松江市に対して、去年6月、30百万円を寄付。
  松江市は、アワビの栽培漁業の振興を目的に、平成17年以降、毎年、この寄付金を受け取っている。

  実質国営の日本原子力発電は、去年3月末、福井県敦賀市に対し1億80百万円余りを寄付し、敦賀市は、この寄付金を道路整備費用に充てている。
  また、震災への復興を目的とした寄付もあり、東北電力は、岩手・宮城の両県とともに、去年3月、福島県に対して1億円を寄付したほか、日本原子力発電は茨城県東海村に5百万円を寄付している。


<柏崎市は>
  柏崎原発は当初1機建設されたが、その後増加し続け今では7機もある(下記表参照)。これは電力会社が、他の地に新たな原発地を求めても地元了解がなかなか得られず、建設できないためであった。しかし、一方で、柏崎市では原発の固定資産税(地元に入る)が、年を重ねるごとに、建物の減価償却により評価額が減少、地元自治体に入る固定資産税が落ち込むことに大きな理由である。当該の自治体は、税収欲しさに原発の増設を電力会社に自らお願いしているというのが実態である。
柏崎の歴代の首長は、柏崎市民のため、その税収を得るためだけに現在7機も稼動させている。
  原発マネー漬けとなっている柏崎市であるが、今後とも、固定資産評価額が年々減少して税収が減るたびに柏崎市は、原発増設を電力会社にお願いし続けることになる。永遠に・・・。(原発立地の自治体はどこも柏崎市と同じ)
 
  こうした、電力会社の寄付は、直接寄付・間接寄付・事業支援・研究学術支援・地域振興などの名目で行われているが、すべて電気料金の算出根拠となる「総括原価方式」の原価に組み込まれる。
今後40億円が寄付される上述の重粒子線がん治療センターも、治療に当たっては社会保険が効かず、国民共通の治療施設ではなく金持ち用の「がん病院」である。当然、40億円は、電気料金計算の原価に組み込まれている。
以上、NHKの報道記事をもとに一部独自の取材記事も加え作成した。
 

新潟県柏崎原発
 
原子炉形式
運転開始日
定格出力
メーカー
1号機 (KK-1)
沸騰水型軽水炉(BWR) GE社設計Mark-2
1985年9月18日
110万kW
東芝+GE
2号機 (KK-2)
沸騰水型軽水炉(BWR) GE社設計Mark-2改[3]
1990年9月28日
110万kW
東芝+GE
3号機 (KK-3)
沸騰水型軽水炉(BWR) GE社設計Mark-2改
1993年8月11日
110万kW
東芝+GE
4号機 (KK-4)
沸騰水型軽水炉(BWR) GE社設計Mark-2改
1994年8月11日
110万kW
日立+GE
5号機 (KK-5)
沸騰水型軽水炉(BWR) GE社設計Mark-2改
1990年4月10日
110万kW
日立+GE
6号機 (KK-6)
改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)3社合同設計
1996年11月7日
135.6万kW
東芝/日立/GE
7号機 (KK-7)
改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)
1997年7月2日
135.6万kW
日立/東芝/GE
 
[ 2012年2月 8日 ]
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