アイコン 中国事情  地方債1兆8400億元(約24兆円)今年満期に経済は

中国中国国家審計署の統計によれば、地方政府の債務が今年1兆8,400億元満期を迎えるという。しかし、中国政府が、実行してきた不動産価格抑制政策によっ て土地需要が減り、地価が下落、財政を土地使用権の売却などに依存してきた地方政府にとっては債務返済が難しいばかりではなく、地方政府に融資した金融機 関にもデフォルトのリスク高まっているという。
国内紙「経済参考報」によれば、1兆8,400億元に達する地方政府の負債のうち、地方政府が、償還の責任を負う債務は1兆2,980億元で、地方政府が 担保の責任を負う債務が2972億元となっているという。2011年と2012年は地方政府負債の第1償還がピークとなる期間で、総額4兆6,000億元 (約60兆円)を返済しなければならないという。また、2016年から18年にかけては第2の償還ピークを迎えるという。

中国地方政府およびインフラ投資の資金調達のために設立された地方政府融資プラットフォーム会社の債務規模は2008年金融危機以降、急速に拡大。

2009年と10年に国内銀行の新規貸出の殆どは、地方政府系融資プラットフォームに流れたとされる。2009年1年間だけでも、地方政府の債務は2008年末時点の5兆5,600億元から9兆元にと約62%急増。
2010年の負債の年間増加率は18.86%に減じたが、地方政府の債務残高は依然増え続けている。

昨年6月に審計署が発表した『全国地方政府性債務審計結果』によると、2010年末時点で、全国地方政府性債務残高が10兆7,000億元(約141兆円)で、そのうち、地方政府が償還の責任を負う債務は6兆7,000億元(約88兆円)、全体の62.62%を占めており、また担保の責任を負う債務は、2兆3,000億元(約30兆円)、全体の21.8%を占めている。
政府が一定の救済責任を負う他の関連債務は1兆6,000億元(約21兆円)で、15.58%を占める。
償還責任を負う債務の地方政府の総合財政力に占める負債比率は、52.25%まで高まっているとされる。

地方政府の債務満期を迎えるのに伴い、地方政府に融資を行った銀行にもリスクが高まっている。
殆どの地方政府は、融資プラットフォーム会社を設立するときに少ない自己資金で行い、必要な運営資金は銀行から融資を受けている。
これまで借り入れてきた融資プラットフォーム会社は、これまで、国内の不動産市場が過熱していた時、土地使用権の売却で財政力を強化して債務償還に充ててきた。
しかし、現在、不動産価格抑制政策で土地への需要が低迷しており、地価が大幅に下落することで、地方政府そのものがデフォルトリスクを一層高めている。

同国の高盛高華証券が、株式市場に上場している各銀行が公表した貸出統計を分析したところ、A株式市場に上場している16の銀行が持つ地方政府系融資プラットフォーム会社向けの融資は、地方政府が銀行から受けた融資全体の35%を占めている。

上場していない省政府などが出資する半公営の都市商業銀行や農村商業銀行、国家開発銀行が持つ融資規模では、実に全体の65%にも達しているという。
これは、都市商業銀行や農村商業銀行が、直面する地方政府系融資プラットフォーム会社のデフォルトリスクが、より大きいことを意味している。デフォルトは連鎖反応を起こす危険性も高く、こうした金融機関の動向は注目に値する。

中国政府は、金融緩和策による不動産市場の活性化は、貧富差拡大やインフレに不満を持ち、贈収賄が耐えない地方政府に対し、大規模な暴動の危険性すらあり、公的には緩和策は打ち出せない状況となっている。
経済自由主義下に野放図となった地方政府などの綱紀粛正が必要だとする温家宝首相の主張にもそれは現れている。
中国は、ますます、難しい舵取りをしいられているようだ。こうしたことからも中国へ進出していた日本の製造会社は、既に中国の賃金上昇リスクだけではなく、政治経済の安定面からも東南アジアへ分散シフトし始めている。

<保八論の崩壊>
中国では「保八」(温家宝首相が2003年に就任して以来の経済政策の柱)といわれる中国経済を一定水準に引き上げ、雇用を拡大し続ける条件の経済成長率を8.0%と設定していたが、温家宝は本年の経済成長率の見通しを7.5%に設定。それほど、厳しい情勢に至っていると見られる。
要因としては、昨夏以降、米国とともに主要輸出先である欧州のギリシャ・イタリア・スペイン等の債務危機問題に端を発した欧州経済の落ち込みによるもの。
中国の貿易収支が、3月10日に発表された貿易統計によると、2月は、315億ドルの貿易赤字と月間赤字では過去10年間で最大規模となったことにも現れている。
2月6日に発表されたIMFの「中国経済展望レポート」によると、欧州債務危機が引き金となった世界経済の減速で、中国の経済成長率は大幅に下落する恐れがあり、最悪な場合4%に急降下するとの見方を示している。
IMFは中国経済が貿易などの面で大きな打撃を受ける可能性が高く、もし中国政府が緊急経済対策を行わない場合、世界経済成長率が1.75%下落すれば、中国経済成長率が4%降下するだろうと警告している。欧州各国の金融機関は、ギリシャ国債の債務免除など不良資産が現実化しており、市中への貸し出しは厳しいものとなる予想される。
ただ、世界の主要各国が交代時期であり、特に米国とフランスは人気取りのため現職が財政出動により景気拡大策を取る必要に迫られており、少しは持ち直そうが、逆に来年以降は財政の引き締めを行わざるを得なく、欧州経済は今年も来年も見通しに大きな期待は望めない状況下にある。

中国は、中国人民の最大不満となる不動産価格も含めたインフレ抑制問題、平行した雇用問題、それに世界経済の失速という内憂外患状態であることだけは間違いない。
(ここにきての欧州各国の財政危機・経済失速問題は、リーマン・ショックの後遺症どころか生傷をまだ治療中であったことを鮮明に物語っているといえる)

 こうした状況から中国経済の失速がはっきりしてくれば、政治的に利用しやすい尖閣諸島に対して、露骨に侵略を開始、民族問題を煽り、人民の不満の矛先を日本国に摩り替える可能性もあり、実効支配されている竹島の似の前にならないようにあらゆる手段を行使していく必要がある。
 

[ 2012年3月21日 ]
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