ソニー (株)SCE/▲943億円の大赤字で債務超過転落
ソニーは、平成24年3月期▲4,566億円の赤字となったが、ゲーム機部門のSCEは、円高と欧米不況及び国内ではグリーやモバゲーのスマホSNSゲームにその座を奪われ、値下げもあり、その業績結果が心配されていた。
同社の決算報告書では、液晶TVやカメラと一緒のCPS分野として営業報告が下記の通りなされており、ゲーム機部門の営業成績が不明になっていた。しかし、SCEの前期決算が公告により判明した。
それによると、売上高は前期比▲20.3%減の5,320億70百万円(H22/3期、6675億57百万円)であった。しかも原価だけで5,305億74百万円かかっており、営業利益段階で▲742億47百万円の赤字、当期利益は▲943億74百万円の赤字に達していたことが判明した。当期の巨額赤字により、財務内容は▲722億39百万円の債務超過に転落していた。
平井社長は株主総会で、SCE事業について「ゲームは圧倒的エンターテインメント体験を提供する。確実な利益をあげていく。サービスを確実に実行する。特に(ゲーム機の)『PS3』は収穫期にある。昨年発売した(携帯ゲーム機の)『PSヴィータ』、新興国でまだまだ需要のある『PSP』で確実に収益を上げる。
ネットワーク環境を拡大し、魅力的なサービスを提供。今期は3倍の増収を見込む」
と強気な発言をしているが、同社を取り巻く環境はゲーム機市場も含めて、日本や欧米の環境は今期も変わらないと予想されている。
そうしたなかで、新興国に対してどのような対策を持ち、売上高3倍増という強気な発言が出てくるのか不思議でならない、もっと具体策が知りたいものである。
ソニーの平成24年3月期の事業報告書では、次のように説明されている。
CPS分野の売上高は、前年度比▲18.5%減少の3兆1,368億円となりました(前年同期の為替レートを適用した場合、14%の減収)。外部顧客に対する売上は前年度比▲18.9%減少しました。
これは主に、液晶テレビ、PC、デジタルカメラなどのデジタルイメージング製品、ならびにゲームの減収によるものです。
液晶テレビの減収は、日本の市場縮小に加え、欧州及び北米の市場環境悪化などによる販売台数の減少や価格下落の影響によるものです。なお、前年度の日本での液晶テレビの売上は、政府による補助金制度(2011年3月末に終了)などの好影響を大きく受けました。
PC及びデジタルカメラなどのデジタルイメージング製品の減収は、タイの洪水の影響や為替の悪影響などによるものです。
デジタルイメージング製品の減収には、東日本大震災の影響もありました。
ゲームの減収は、戦略的な価格改定による「プレイステーション 3」ハードウエア売上の減少やプラットフォーム移行により売上が減少した「プレイステーション2」の影響によるものです。
社内を改革する気はなく現状でどうにかしようとしているが、大赤字の元凶が偉そうに未だ在籍しているのだから
ソニーの株主総会が荒れるのも当然であろう。
10年前は稼ぎ頭だったSCEが2度目の債務超過、これを経営陣はどう受け止めるのか。
SCE(株)ソニー・コンピュータエンタテイメント(単体) 平成24年3月期 /百万円
|
|||
流動資産
|
226,971
|
流動負債
|
339,225
|
|
|
固定負債
|
2,012
|
固定資産
|
42,027
|
自己資本
|
-72,239
|
|
|
(資本金)
|
100
|
総資産
|
268,998
|
負債+自己資本
|
268,998
|
・備考:まっかかの債務超過
|
(株)SCE 損益計算書(単体) /百万円
|
||
|
平成24年3月期
|
H23/3期
|
売上高
|
532,070
|
667,557
|
原価
|
530,574
|
|
売上総利益
|
1,496
|
|
販管費
|
75,743
|
|
営業利益
|
-74,247
|
34,607
|
営業外損益
|
-1,182
|
|
経常利益
|
-75,419
|
34,635
|
税前損益
|
-75,429
|
36,306
|
法人税等還付金
|
-24,807
|
|
法人税等調整額他
|
43,752
|
|
当期損失
|
-94,374
|
20,998
|
SCE100%子会社(株)ポリフォニー・デジタル 平成24年3月期 /百万円
|
|||
流動資産
|
1,790,630
|
流動負債
|
110,163
|
|
|
固定負債
|
0
|
固定資産
|
81,258
|
自己資本
|
1,761,725
|
|
|
(資本金)
|
10
|
総資産
|
1,871,888
|
負債+自己資本
|
1,871,888
|
・備考:この会社はSCEの家庭用ゲーム機のソフト開発会社、「グランツーリスモ」シリーズが有名。損益はないが、円高には関係ないので黒字と思われる。
|
ソニーの業績推移(連結)
|
|||
連結/百万円
|
2010年3月期
|
2011年3月期
|
2012年3月期
|
売上高
|
7,213,998
|
7,181,273
|
6,493,212
|
営業利益
|
31,772
|
199,821
|
-67,275
|
経常利益
|
26,912
|
205,013
|
-83,186
|
当期利益
|
-40,802
|
-259,585
|
-456,660
|
総資産
|
12,866,114
|
12,924,988
|
13,295,667
|
自己資本
|
2,965,905
|
2,547,987
|
2,028,891
|
資本金
|
630,822
|
630,921
|
630,923
|
有利子負債
|
1,208,814
|
975,586
|
1,172,587
|
自己資本比率
|
23.10%
|
19.70%
|
15.30%
|
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
コメント