アイコン (株)さとうベネック/再生なるか(1)

さとうベネックは財務的には、4月の試算表で見る限り、6億円の自己資本もあり、それだけ見ていれば黒字倒産の様相であるが、実質はその後も含め内容が大きく毀損している。
しかし、8月30日と31日にわざわざ債権者を集めて手元決済資金の1億5千万円を支払いますと確約したにもかかわらず、支払わないまま経営破綻させてしまっているため、当1億5千万円も含め、資金は潤沢であるはずだが・・・。
そ れを裏付けるように、9月12日行われた債権者説明会では、6月末時点の資産は50億7,045万5,701円、負債は約44億2,985万3,990 円、資産の大部分は、完成工事未収金、未成工事支出金などの建設工事関連だと説明された。6月時点と断りながらも1円単位まで説明した。しかし、一方で資 産内訳はアバウトすぎる内容となっている。

ところで、民事再生法下における監督委員(弁護士)の立場はどうであろうか。

民事再生における監督員の立場は、再建に対して一つも力を持っていないのが真実である。あくまで、株主・経営者・顧問弁護士らにより好き放題経営されていく。その好き放題に経営されていくのに法的な違法性があるかどうかをチェックしていくのが、監督員の役割であり、違法性がない限り、債権者にとって何の役目も果たさないと言うことである。
裁判所が法律により味方にする債務者たるさとうべネックは存在しても、弱小な債権者の味方などいないのが民事再生法である。

民事再生法はさとうベネックの申請時における全債権を棚上げさせただけで、裁判所が、監督員が・・・、法的に経営が執行されている以上、何の力も有せず及びもしない。法律にもとづき再建可能かどうかをチェックするだけである(その機能は2回、民事再生手続きを認める行為・・・殆ど認める。また債権者集会の再建策認否の結論により形式にかかわるだけだ)。
(筆者も丸美(負債額220億円で経営破綻)の一件で、巨額の金を支払った大御所の顧問弁護士の言いなりになった監督員と対立したものである。)
 
6月時点の債権債務をさとうベネックの誰が説明したか知らないが、資産の約50億7045万円のうち、肝心要の十数億円ともいわれるダイセンホールディングスへの貸出金については、意識的に隠蔽した報告になっている。20%以上の債権であり、またいつ帰ってくるかも全く不明な貸付金であり、当然説明すべき資産である。弁護士は、債権者に対して説明責任を果たしていないのではと思われてならない。

ましてや、資金繰りのため発行した手形が何枚で何ぼという説明も、さとうべネックの手形用紙の発行チェックを行ったなどということも一切調査報告されていない。ただ、アートに対する1億7千万円の債務は、資金が入ってきていないため、支払う必要がないとしているがアホかと言いたい。当手形は、東京でブローカーや右翼関係者などおっかない人たちが持ちまわっていたことから、支払う必要がなく否認するつもりだという。例え、弁護士が訴訟で争うことを視野に入れても(するかどうかも不明)、その分を民事債務と認識するしないどころか、裏で額面どおり全額支払わされることにもなりかねない。

今回の説明会は、前回同様、あくまで、さとうベネックに都合のいいような説明会であったようだ。ただ、顧問弁護士(経営陣=会社が雇っている)は、会社の経営陣を代弁しているに過ぎずないことを債権者は肝に銘ずる必要がある。
監督員の弁護士は上述の通り、民事再生法下の経営の執行が、法律を遵守しているかどうかだけのチェックの役目しか持たず、また、顧問弁護士ともども何の責任もない。

 民事再生法の適用申請をしても、経営者たちが、自己破産にしようと思えば、いつでも破産に持ち込めるという民事再生法でもある。

 6月時点の債権債務の数値が、その後資産も含みそれほど毀損がなければ、配当金もかなりなものが見込まれ、債権者にとって清算させることも一手であろう。

続く。

(株)さとうベネック/再生なるか(2)→

[ 2012年9月18日 ]
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