アイコン 中国の過剰生産問題 太陽光発電セル同様に鉄鋼も JFE経常1/10に

JFEホールディングスの2013年3月中間期(9月)の連結経常利益は、前年同期比▲90%ダウンの約50億円の計画通りとなった。

過剰設備を抱える中国勢の世界市場を省みない高水準の生産で、アジア向け鋼材価格が下がり、日本勢にあっては円高もあり、価格競争に厳しい中間期の業績となっている。

中国の粗鋼生産量は、今や世界生産量の45%を占めている。2002年は1億82百万トンにすぎなかったが、2005年には3億55百万トンに増加、 2011年は6億83百万トンと驚異的な生産量の増加となっている。(日本の粗鋼生産量は2002年も2011年も1億07百万トンと変わっていない)

8 月の中国の鉄鉱石輸入が8,245万トンに上っている。中国国内産は国際市場価格の下落から生産量を減らしているものの価格が高いことから、また、豪州等 海外からの契約に基づく価格は高く、引取りを延期しており、輸入量の増加は、価格の安いスポット市場での調達によるものと見られている。そこまでして生産 量を維持増加させ、安値販売して利益を出そうとするのが、中国メーカーの真骨頂である。

中国では、リーマン・ショック後、内需振興策から膨 大な開発投資が行われ、周知の通り不動産バブルが発生、建設ラッシュで国内需要が旺盛に推移。鉄鋼業界においては、公害の元凶とされていた旧式から、国家 政策もあり、新しい大規模粗鋼生産設備に変わり、こうした生産設備により生産量は飛躍的に増加している。
こうしたことは、中国の不動産バブルが崩壊、しかも世界経済が沈滞している現状で、中国をはじめ新興国の韓国とインドだけが生産量を増加させれば、鉄鋼価 格の国際相場は当然、需給バランスが大きく崩れ、暴落するのは、世の常である。日本企業にあっては、更に円高も追い討ちをかけている。

太陽 光発電モジュールは、かって日本企業の生産量がトップであったが、今や日本企業の多くが大きく後退し、上位は中国企業の独壇場となっている。これも中国の 国家政策により、国営系の金融機関から当該企業へ膨大な融資が行われ工場が大規模化しての生産量である。しかし、太陽光発電モジュールの需要が一番大きい 欧州市場の経済が財政問題から落ち込み、今や需給バランスが大きく崩れた結果、生産調整という言葉がない中国の生産量により、世界市場は激安相場となって いる。

鉄鋼価格もまったく太陽光モジュール価格と同じような軌跡を辿っている。
今後とも、どこでも造れる製品市場は、13億人が作る中国の生産量が他国を圧倒して、国際市場価格は大幅な値崩れを生じさせるものと思われる。

JFEホールディングス 
連結/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
12年3月期中間期実績
1,569,313
52,911
50,638
-24,311
13年3月期中間期予想
1,500,000
10,000
5,000
15,000
中間期予想/前期中間期比
95.6%
18.9%
9.9%
 
13年3月期通期予想
3,300,000
100,000
90,000
80,000
12年3月期実績
3,166,511
44,779
52,977
-36,633
通期予想/前期実績比
104.2%
223.3%
169.9%
 
11年3月期実績
3,195,560
182,810
165,805
58,608
10年3月期実績
2,844,356
88,775
69,289
45,659
 
<世界の粗鋼生産量・・・(注)下記表は千トン単位>
[ 2012年10月22日 ]
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