アイコン 住宅リフォーム市場 2015年8兆5千億円に拡大へ/富士経済

消費税増税の2013年と2015年まで市場拡大

1023_02.jpg総合マーケティングビ ジネスの富士経済は、2012年5月から8月にかけ、景気回復や参入企業の事業拡大、東日本大震災からの復興需要、政策支援などが寄与し、穏やかながら市 場拡大している国内の住宅リフォーム市場を調査した。その結果を報告書「2012年版 住宅リフォーム市場の現状と将来展望」にまとめた。

<調査結果の概要>
 住宅リフォーム市場はリーマンショックによる不況を乗り越え2010年度から回復へ向かった。2011年度は東日本大震災の発生を受けて市場回復に歯止めがかかったが、
その後は被災地周辺では修繕リフォーム、全国的には住宅用太陽光発電システムや家庭用燃料電池の引き合いが急増した。
しかし、震災復興や新築住宅関連の工事が増えたため職人不足の状態が続き、リフォーム工事に対応できない状況も一部で見受けられた。

また、住宅の耐震診断の引き合いも増加したが、耐震リフォームは増改築を伴う大規模工事が必要であることが多く、実際の工事の伸びは微増に留まった。そのため市場全体としては前年度比1.3%増となった。
 2012年度は職人不足等で対応しきれなかったリフォーム需要の取り込みが進み、前年度よりは市場の伸びが大きくなると見込まれる。
2013年度と2015年度は段階的な消費増税を受け駆け込み需要が期待され、市場の拡大幅が大きくなるが、2016年度以降にはその反動があると推測される。

 震災後の景気悪化に伴い大型消費が敬遠される中、集客力の高い店舗を持つハウスメーカー系事業者や家電量販店など、拠点・人員を拡大できる体力のある事業者は好調を維持している。
ハウスメーカー系事業者市場は、2011年度に前年度比11.6%増と、他業態と比較して大幅に拡大した。人員・拠点の拡大、アフターメンテナンス時の外壁リフォームの提案の積極化、定額制リフォームの拡販等が拡大要因である。

また、補助金制度や売電など国の普及促進策がある住宅用太陽光発電システムや、住宅エコポイント対象設備を拡販したことも市場拡大に貢献した。

最近では、スマートハウスリフォームや中古住宅流通など新しいリフォームメニューを推進しているほか、マンションの共有部や非住宅向けリフォームまで需要の裾野を広げており、市場は今後も順調に拡大すると見られる。

家電量販店はオール電化が不振であったが、太陽光発電システムがそのマイナス分をカバーし、2011年度の家電量販店市場は前年度比29.2%増となった。2012年度は更に太陽光発電システムが伸びると見込まれる。2014年度は消費増税の影響でその伸びはやや鈍るものの、2015年度には好転が予想される。
 一方、地域密着で展開する事業者は需要が戻らず、その市場は横ばいから微増に留まっている。また、独立系工務店やエネルギー系事業者の市場は低調で、リフォーム専業者市場にも減速感が見られ、厳しい状況が続いている。
 
独立系工務店市場は業界最大で、堅調な需要はあるものの運営原資に乏しく事業者減が継続しており、微減傾向から抜け出せない状況にある。地元特性に応じた特殊なリフォームで成功する事業者もいるが、耐震や断熱、創エネや省エネリフォームなど新コンセプトへの対応力が弱く、営業力も小さいため、組織化店への転出も多い。元請もあるが、下請けに回るケースの増加が止まず、他業態の草刈場的位置づけが継続している。

エネルギー系事業者は特に電力系がオール電化リフォームの受注や広告宣伝を自粛したことから大幅減につながった。

リフォーム専業者は、拠点数を拡大する大手を除き、目玉商品であったオール電化リフォームの不調、リフォーム単価ダウンなどが不調の要因と見られる。今後は2013年と2015年には消費増税に伴う駆け込み需要が期待されるため、一転してほとんどの業態の市場が拡大すると予想される。

2.主要リフォームコンセプト別市場(元請金額ベース)
 太陽光発電システムやガスエンジンCGS、家庭用燃料電池の導入による創エネリフォーム市場は、2011年度に前年度比39.9%増の3,655億円となった。

各種補助金制度が適用される太陽光発電システムが導入では、他の創エネ設備を圧倒しているが、参入事業者の増加により価格競争も激化している。

家庭用燃料電池は東日本大震災後の電力供給の不安定さを背景に、都市ガス会社の積極的な販売キャンペーンが奏功し、急激な伸びを示している。そのあおりを受けて、ガスエンジンCGSは急速に減少している。

逼迫した電力供給状況を受け、ヒートポンプ式給湯器やLED照明器具、HEMSなどの導入による省エネリフォームが増加している。
但し、2011年度の市場は電気を使用するエコキュート、特にヒートポンプ式給湯器の減少が響いて、前年度比▲4.2%減の1,774億円となった。尚、エコキュート以外は、前年度比5倍強となったLED照明器具をはじめ、全てが伸びている。2012年度もエコキュートの減少が見込まれるが、その他の伸びにより市場は前年度比19.4%増が見込まれる。

耐震リフォームは東日本大震災後耐震性への関心の高まりにより需要が急増し、2011年度の市場は前年度比5.0%増の4,180億円となったが、2012年度は需要も落ち着き市場もほぼ横ばい(微減)が見込まれる。事業者では断熱リフォームと同様に、住宅性能の向上に必要なため注力している。しかし、戸建の全面改装でないとなかなかチャンスがないため、今後はほぼ横ばいで推移が予想される。
 
その他、リノベーションは、優良中古住宅の流通促進が政府から打ち出されているが、市場は好物件の出現に左右されるため急激な伸びは期待できない。

今後はデベロッパーの本格参入で、市場は順調に拡大すると見られる。
国内の不動産流通のあり方が変わり、中古物件の低価格流通が促進されれば、市場は急激に拡大する可能性がある。

断熱リフォームは、住宅エコポイント制度により、特に窓の断熱効果の認知が進み市場が急拡大した。しかし、その制度の終了で、市場は落ち着いてきている。

調査対象とした6分野21品目のリフォーム部材市場は2011年度に1兆2,476億円、2015年度には2011年度比27.1%増の1兆5,860億円が予測される。
 2015年度に向け最も市場拡大するのが創エネ/スマートハウス関連設備分野で、市場は住宅用太陽光発電システムを中心に伸び、2011年度比2.4倍の4,894億円が予測される。
 

住宅リフォーム市場 消費税増税効果 単位:億円
 
2011年
2015年
対比
戸建
52,247
57,801
110.6
集合住宅
23,473
27,494
117.1
合計
75,720
85,295
112.6
[ 2012年10月23日 ]
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