アイコン 中日本高速道路(株)音羽開発への不当支払17億円指摘/会計検査院

新東名高速道路建設事業に伴う損失補償等の実施に当たり、契約条項に違反した行為がなされていたのに支払を行うなどの不適正な会計経理を繰り返したり、補償費の算定が適切でなかったため契約額が割高となったりしていたもの1件不当金額(支出)17億6407万円。

1、契約の概要
中日本高速道路株式会社名古屋支社豊川工事事務所は、豊川市萩地区において、新東名高速道路の建設に必要となる土地を取得するなどのため、採石業を営む音羽開発株式会社、関連会社のオトワテック株式会社等との間で、土地売買契約、権利放棄補償契約及び物件移転補償契約を締結している。
そして、土地売買契約書では、所有者は契約締結後、事務所の同意なしに土地の形質を変更しないことや、当該土地を事務所に引き渡すまでの間、善良なる管理者の注意をもって管理することなどが、権利放棄補償契約書では、権利者は契約締結後、事務所の同意なしに採石権等を有する土地の形質を変更しないことなどが、物件移転補償契約書では、事務所は契約締結後に前払金を支払い、物件の収去を完了した後に遅滞なく残金を支払うことなどがそれぞれ定められている。

2、検査の結果
(1) 契約条項に違反して土地が形質変更されていたのに、契約金額を支払っていたもの
事務所は、音羽開発が契約条項に違反して採石行為を継続して土地の掘削や盛土を行うなど土地の形質変更を行っていたことを把握していたのに、音羽開発等へ土地の形質変更の中止や是正を求めるなどの措置を講じないまま、土地売買契約及び権利放棄補償契約計26件の契約金額全額を支払っていた。

(2) 移転対象物件の残置を容認して補償費を支払っていたもの
事務所は、物件移転補償契約を締結したオトワテックから庭石、砕石等の所有権を放棄する旨の申出を受け、名古屋支社との協議を経た上で、本線工事に影響がなく追加の費用も発生しないと判断して残置を容認し補償費を支払っていた。実際には本線工事において庭石の運搬・撤去が必要となり、小割りする費用が発生していて、今後も多額の費用が発生するおそれがある状況となっている。

(3) 補償する必要のなかった物件等に係る補償費を支払っていたもの
事務所は、音羽開発と締結した物件移転補償契約の契約金額に、契約書中の収去させる物件には含まれていない沈砂池の造成に要した工事費を含めていたが、この沈砂池は、事務所が使用する予定にしているものであり、収去させることとして補償する必要はなかった。また、事務所は、上記の契約金額に、既に収去していた物件や沈砂池造成工事とは関係のない物件の収去に係る費用を含めていた。

(4) 補償費の算定が適切でなかったため、契約額が割高となっていたもの
事務所は、音羽開発と締結した物件移転補償契約の補償費の算定において、工作物の再配置に必要な平坦地の造成工事費を算定する際に、共通仮設費等の算定対象となる処分費の額は3000万円を上限とするとされているのに、誤って全額を算定対象額としていたため、契約金額が割高になっていた。

したがって、(1)に係る契約金額計1,266,170,768円、(2)に係る補償費相当額305,418,400円及び(3)に係る補償費相当額12,712,016円は著しく適正を欠いていると認められ、また、(4)において契約額が割高となっていた補償費相当額179,773,400円は適切とは認められず、これらの合計1,764,074,584円が不当と認められる。

以上、会計検査院の原文のまま
 

[ 2012年11月 5日 ]
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