アイコン 自治体の橋梁検査は杜撰と/土木学会が再検証結果

土木学会は、各地方自治体が、コンサルなどに高い税金を支払い検査させた橋梁で、杜撰な調査が行われていると警鐘を鳴らしている。

中央自動車道の笹子トンネルの天井板崩落死亡事故で、天井板などを固定していたボルトの異常が点検で見逃されていたことから、土木学会は自治体が点検を終えた「橋」を再点検し、内容を検証する国内で初めての調査を行った。
調査した約100の橋のうち半数の橋で、劣化や腐食などの損傷の評価が大幅に間違っていて、12の橋では重大な事故につながる損傷が見逃されていたことが分かった。
この調査は、インフラの「点検」そのものに問題がないかを検証しようと、土木学会の専門家チームが、本年6月と7月に国内で初めて行った。

調査は、協力が得られた富山市と浜松市で行われ、点検を終えた1300の橋のうち103の橋を選出、コンクリートの劣化や金属の腐食などの損傷が点検で正しく評価されているか検証した。
その結果、全体の半数に当たる51の橋で腐食などの損傷の程度が、実際よりも軽いと判断されるなど、評価が大幅に誤っていることが分かった。

さらに、浜松市のつり橋で、橋桁と橋脚を固定するボルトが8本緩む異常が確認されるなど、12の橋では、重大な事故につながる損傷が点検で見逃されていた。(杜撰な調査をしたコンサルは指名停止だろう)

全国の自治体が管理する主な橋の97%で、すでに緊急点検が行われているが、今回の調査で、これまでの点検では安全が十分に確保されていない可能性があることが明らかになった。

調査を行った土木学会の「維持管理に関する委員会」の高木千太郎委員長(土木鋼構造診断士特別委員会 専門委員長、首都高速道路技術センター上席研究員)は、「点検率が上がっても、内容が伴わなければ点検を行ったことにならない。2つの市だけでなく、全国で同じような見逃しがある可能性があるので、早急な対応が必要だ」と指摘している。
 以上。

日本には、15万橋を超える道路橋があり、10年後にはその半数が築後40年を経過すると言われ、維持管理の重要性が指摘されている。
橋の床版損傷のメカニズムとしては、輪荷重の繰り返し及び水の影響が最大の原因であった。しかし、供用期間が長くなるにしたがいコンクリート材料の劣化(塩害,凍結融解,アルカリ骨材反応など)も考えなくてはならない状況にあり、損傷程度に応じた補修工法の選定や適切な予寿命評価が求められてきていると公益社団法人土木学会鋼構造委員会 道路橋床版の維持管理に関する検討評価小委員会は報告している。

借金を抱えた今に至っても、新たな箱物行政を執り行う自治体がなんと多いことだろうか、そんな金があったら、こうした橋やトンネルの老朽化延命対策を至急行うべきではなかろうか。
工事費用面も、大都市より地方都市の老朽化延命対策の予算が問題であるが、政令の大都市は周辺の地方都市=ベッドタウンにより成立しており、政令都市が絶対的に予算規模の小さな地方都市や県の負担を一部請け負うことも必要であろう。
予算面も含め、こうした国の動脈の安全面からも、全国のインフラの再整備として位置づけ、老朽化対策工事を早期に行う必要がある。まさに、老朽化した笹子トンネルの天井板崩落死亡事故は、国の大動脈瘤破裂死亡事故であった。

[ 2013年8月 5日 ]
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