ただ、分譲マンションの建築が大幅に伸びた本年7月の居住用を見ると、前年同月比5.3%と高くなっている。
2011年3月11日の東日本大震災による建材不足により、建物価格が上昇したように思われているが、受注単価は逆に不況による建築不足で全建物ベースでは安くなっている。
その後、単価は持ち直しつつあり、今般の消費税増税の特需向け建物が多くなった3月からははっきりした上昇局面にある。
全建物の3月単月ベースでは、前年同月比で10.8%と大幅に高騰しており、７月の居住用建物でも同5.3%高くなっている。
また、３～７月での前年単価比較では、全建物ベースで3.6%高、居住用で2.6%高となっている。
アベノミクスによる円安による資材高騰、東日本大震災の復興工事の本格化による職人不足が建築業界にも大きな影響を与えている。
具体的には、円安による輸入木材価格の上昇や輸入依存のエネルギーコストの上昇からセメント・鉄鋼価格の上昇、職人不足から外注費コスト増加など、建築物に対する値上がり圧力は強い。
しかし、福岡で見る限り、極端な単価上昇には至っておらず、ゼネコンなどが受注競争からかなりの部分を吸収しているようだ。
ゼネコンの利益確保は、建築物が多くなっても難しい状況が続いている。福岡県ではないが、それを象徴するのが、秋田市庁舎の建築工事、予定価格を上げた２回目も入札者が出てこなかった。(1回目９６億円(6月5日)、２回目１０５億円(8月21日)とも応札者０)