アイコン サムスン2013年は最高業績、ただ第4四半期2年ぶりの営業減益

サムスンの営業利益の主はITモバイル部門が70%を占めているが、過度なスマートフォン集中が憂慮されるところとなっている。
世界の№1のシュアを誇る同社も、高級機種ではiPhoneに押され、低価格帯では中国勢に錯乱させられている。
サムスンの営業利益が、これまでのような伸びを示すことは、既に、たやすい問題ではなくなっているのが現状だ。
同社のスマホのOSはグーグルのアンドロイドを使用しており、他社との差別化はハードウェアやデザインを除けば付けられなくなっており、もはや高価な新製品を出しても、世界的な不況下ではそれほどの買替え需要も期待できない。

中 国勢の低価格帯の台頭では、500ドル未満の分野(300~400ドル、150ドル、100ドル未満の各分野あり)で、中国各社はしのぎを削っており、低 価格帯の台頭は、利益率もこれまでの同社の高い営業利益率を悪化させる可能性が高く、中国勢と競えば競うほど営業利益を損なうことになる。
真似ることではサムスンに決して見劣りしない中国勢は、今や品質もデザインも上昇、侮れない存在。広告や販売費を抑え、ネットだけでの販売で、上位並みの機種を低価格で販売している中国企業も台頭してきている。
第3四半期は、そうした低価格帯への商品投入を強化したことにより、売上台数や売上高および営業利益を四半期としては過去最高まで増大させた。
だが、第4四半期に入ると利益率の低い低価格帯が売れ、高級品の売れが鈍化してしまった。すでに高価格帯の市場は飽和状態にあるともいわれている。

第4四半期では、営業利益率が前年同期比▲5.9%減じ、2年ぶりに減少した。さらに、モバイル部門の売上高は、前四半期(7~9月)より▲7.4%減、営業利益も▲18.4%減、営業利益率も▲2.2ポイント落ちている。
同社は、液晶や半導体・電池など子会社群で生産する部品類も多く、強点と弱点が同居、スマホの売上高が減少する一方、低価格帯の販売が増加すれば、急激にグループ全体の営業利益を悪化させることにつながる。さらに、結果が伴うならば別だが第4四半期は、広告費用より販売促進費用が大きく伸びていることも注視していく必要があろう。
本年3月・4月にはギャラクシー5が販売される予定となっている。技術やアイデアの進化が需要を喚起するような驚愕な内容でない限り、世界の不況を前に多くを望めないだろう。

特に新興国では、米国の金融緩和縮小への転換政策から為替安が生じ、景気を悪化させている。欧州経済も低迷からまだ抜け出せず、中国も景気上昇が望めず、中国勢との競争も中国だけにとどまらず新興国でも激化しよう。
同社を取り巻く環境は著しく悪化しているともいえる。(ただ、新興国の為替安がサムスン経済と揶揄される韓国にも波及すれば、サムスンの利益は増加することになるが・・・)
サムスンやNTTドコモも参加するオープンソースの新OSのTIZEN(共同開発)導入のスマホも、アップル販売の実益がまだこれからというドコモが販売開始を未定に変更し、ギャラクシー5の新機種はファブレットでお茶を濁す可能性もある。
同社は、新機軸として、自動車用の電池を本格的に生産するため、豊富な自己資金を活用し中国に大工場を建設すると発表しているが・・・。(日本では低コストで低価格のマグネシウム電池の開発が進んでいる。)

2013年 四半期毎のサムスン電子
単位/億ウォン
売上高
営業利益
純利益
ITモバイル  売上高 
ITモバイル   営業利益
第1四半期
529,000
88,000
72,000
 
65,100
 前年同期比
 
54.0%
 
 
56.0%
第2四半期
575,000
95,300
78,000
 
62,800
 前年同期比
 
47.5%
 
 
52.0%
第3四半期
591,000
102,000
 
365,700
67,000
 前年同期比
13.2%
26.0%
 
 
 
第4四半期
592,766
83,113
 
338,900
54,700
 前年同期比
5.7%
-5.9%
 
 
 
2013通期
2,286,927
367,850
 
 
 
 前年同期比
13.7%
26.6%
 
 
 
124日現在1ドルは1,080.10ウォン、1円は10.57ウォン
 
<サムスンの株価チャート>
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[ 2014年1月27日 ]
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