アイコン 忍び寄るバブル崩壊/中国 2月 輸出▲18.1%減の虚偽

ブルームバーグは3月8日、中国の2月の輸出は、世界的な金融危機以降で最大の減少となった。同国では本土市場初の社債のデフォルト(債務不履行)状態が発生したばかり。輸出の落ち込みは世界2位の規模を持つ中国経済への信頼感に打撃を与える。
(7日、中国の太陽光発電関連メーカー「上海超日太陽能科技」は予定していた社債の利払いを全額は履行できなかった。中国本土の債券市場で初のデフォルト(債務不履行)状態が発生している。)
税関総署が8日発表した2月の輸出は、前年同月比▲18.1%減。ブルームバーグがまとめた市場関係者の予想中央値(7.5%増)から大きく乖離した。

1、2月の輸出を合わせても前年同期比▲1.6%減。昨年の両月の合計は同23.6%増だった。
春節(旧正月)の連休時期の前年とのズレに伴う統計のゆがみに加え、昨年は不正な輸出の送り状の影響で数字が膨れ上がっていたことから、中国の貿易の真の状況を見極めるのは難しくなっている。

UBSの中国担当チーフエコノミストは「輸出の真の姿を知るためには、恐らく来月のデータを待つ必要があるが、過度に懸念すべきではない」と指摘。「春節が1、2月の輸出データに間違いなく大きな影響を与えた。しかし、大きな要因は、昨年の水増しされた送り状問題だ。特に昨年最初の数ヶ月はひどかった」と述べている。
税関総署の統計によれば、1、2月を合わせた輸出は、同時期としては▲21.1%減となった09年以来の大きな落ち込みとなった。今年1月は前年同月比10.6%増だった。
2月の輸入は前年同月比10.1%増と、予想中央値の7.6%増を上回った。1月は10.0%増だった。2月の貿易収支は230億ドル(約2兆3,700億円)の赤字。予想中央値は145億ドルの黒字。昨年2月は149億ドルの黒字だった。
以上、ブルームバーグ参照。

<中国の統計数値はデタラメ三昧>
当2月が比較される昨年の2月は、春節が2月10日、前後して大型連休であっにもかかわらず輸出は前年同月比21.8%増と大幅な伸びを示していた。その裏には、輸出の不正送り状による資金調達(シャドーバンキングの資金)が、膨大に行われていたことから、昨年の1月・2月の数値は、まったく比較対象にできない。それほど杜撰な中国の国家の輸出統計である。
2月を比較する昨年2月の数値がデタラメ、1月の10.6%増も昨年1月は不正で大幅に伸びていたことから真実味がなくデタラメといえる。

中国の輸出推移  前年同月比 ドルベース
2013年
 
前年比
備考
1月
26.7%
資金調達用輸出不正あり
2月
21.8%
資金調達用輸出不正あり
3月
10.0%
 
4月
14.7%
 
5月
1.0%
 
6月
-3.1%
 
7月
5.1%
 
8月
7.2%
 
9月
-0.3%
 
10月
7.6%
 
11月
12.7%
資金調達用輸出不正指摘あり
12月
4.3%
 
2014年
1月
10.6%
資金調達用輸出不正指摘あり
2月
-18.1%
 
 
中国の輸出は、中国当局が約320兆円と認めるシャドーバンキング資金の調達手段にも用いられている。 昨春、各PMI指数などが低迷している中で、輸出だけが突出して大きく伸びるのはおかしいと指摘され、4・5月と輸出チェックを厳しくした途端、6月下旬には金融機関の資金が底をつきパニック状態に陥った。
昨年11月・今年1月の輸出も同様な指摘が再びなされ、再度、輸出の厳密化を強化したことも考えられる。しかし、昨年1月・2月の数値が異常過ぎ、中国から香港への輸出が急拡大、今では香港だけではなく、東南アジアの華僑経由も利用されているようだ。
というわけで、中国の貿易収支の統計数値は当てにならず、シャドーバンキング資金の規制による不動産価格の下落の方が問題、現実に、確実に値下がりしてきている。

不動産バブルに対して、中国当局が目論むソフトランディングが成功するか、意に反しハードランディングに至るか注視していく必要がある。
闇金から信託銀行に至るまでのシャドーバンキキング=影の銀行が発行する「理財商品」(高利回り金融商品)の社債は、今年満期を迎えるのが約4兆元(68兆円)あるとされ、決済が懸念されている。 
また、格付機関のS&Pは、中国非金融企業の借入と債券を合わせた債務残高は、2013年末に約12兆ドル(約1224兆円)に達し、国内総生産(GDP)の120%に相当、過去最高水準になったと発表している。今後、合併や資産の売却が増加するのは必死、バブル崩壊への道を進むことになる。
 
中国当局は輸出経済立て直しのため、元安などに動いているが、欧州経済も中国に依存して好況なドイツ以外低空をモタツいたままであり、東南アジアや新興国も米国の金融緩和縮小により、成長率を鈍化させている。
その結果、中国の輸出相手国も成長を鈍化させており、輸出拡大に多くを望めない状況にある。 (iPhoneのような画期的なスマホでも新たに販売されれば別だが・・・)

2月には、国営メディアの新華網が「住宅価格暴落のタイムテーブル/専門家は中国不動産バブル崩壊が今年から来年の2年の間に起きると示した」と題する「上海証券報」の記事を掲載して、国民に対して警鐘を鳴らし始めている。

北京市住宅建設委員会によると、1月同市の新築住宅のオンライン契約の成約件数が前年同期比で▲53.9%減少し、中古住宅成約件数も前年同期比で▲55.2%減となった。北京の中古住宅成約件数は2ヶ月連続で減少している。
中国の堅調な消費も、中国では個人の資産形成に占める不動産の割合が突出しており、大きな値下がりでも生じてくれば、残るは借金ばかり、一機に萎縮する。

既に、マンションが売れず、事業者が値下げ販売、先に高値で購入した客が業者を袋たたきにした事件も発生している。
バブル崩壊でも始まれば、購入後の値上り見込み転売目的で、高金利のシャドーバンキングなどからも借金して購入している客も多く、守銭奴国だけに、問題の深さは途方もなく深い。

不動産バブル(個人資産の殆どが不動産)、企業の膨大な借金の社債含め返済能力、中国経済を裏で支える高利のシャドーバンキング資金320兆円の行方、不動産価格の下落が現実に、萎縮し始めた個人消費。鉄・非鉄・造船・太陽光発電などの業種で倒産予備軍が山のようにあり、バブル崩壊では一機に火を噴出すことになる。
中国政府は、バブル崩壊が現実化すれば、国民の不満の矛先を日本に向ける可能性もあり、尖閣強奪が現実化する可能性も否定できない。

当、JC-NETでは、中国主要70都市の不動産価格指数(12月と1月、中国統計局版)を右コーナーに掲載している。ご参考のほど。
[ 2014年3月10日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサード リンク

コメント

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   


PICK UP

↑トップへ

サイト内検索