アイコン 128兆円のGPIF資産 政権要請の日本株購入 株価下落推奨せず/元委員小幡准教授

5月7日ブルームバーグは年金運用について、次のとおり掲載している。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )はリスク分散を図るため、日本株の割合を引き下げるべきだと・・・。
GPIFの運用委員会の委員を先月退任した慶応大学ビジネススクールの小幡績准教授は、(政府の要請とは裏腹に)同法人は、国内債券・株式から海外の高収益案件などに資金を移すのが望ましいと説く。
世界の時価総額に占める割合を考慮すれば、世界最大の年金基金であるGPIFは「日本株を絶対に今より減らすべきだ」と。

小幡氏は2日のインタビューでこう述べ、「外国株より(日本株が)多い現状は「明らかに買い過ぎ」であり、内外株合計の「せいぜい1割」が妥当だと指摘している。

小幡氏によると、上場株は「流動性がある分、リターンが低い」。GPIFは株式の保有を一定に抑える一方で、規模が大きく長期的に運用できる強みを生かし、流動性には乏しいが比較的高い利回りを安定的に得られる海外の不動産やインフラなどオルタナティブ(代替)投資を徐々に増やすのが適切だと述べている。

1、年金積立金128.6兆円の政治利用は危険
厚生年金と国民年金の積立金128.6兆円を抱えるGPIFの資産構成は、ホームバイアス(自国資産選好)が強すぎると小幡氏は指摘している。
国内債の比率をできる限り引き下げるとともに、国内株という枠組みを強調するのも望ましくないとし、「グローバル株式とグローバル債券」に分け、国内外への資金配分は機動的に判断するのが賢明だと語っている。
 
小幡氏は、安倍晋三内閣の経済政策、アベノミクスへの批判を盛り込んだ「リフレはヤバい」の著者でもある。
4月21日までに任期満了を迎えたGPIF運用委員の1人だった。分散投資の推進には「相当積極的」だと自認する一方、GPIF改革は、公的年金の被保険者のために推進すべきで「政治的にプレイアップするものではない」としている。日本株の買い増しに反対を表明したのは退任してからだと話した。
 
2、年初来10%下落の日本株 世界最低の国債金利0.6%強
昨年に51%上昇したTOPIXは年初来10%を超える下落となっている。安倍内閣が金融緩和と財政出動だけでなく実効性のある成長戦略によって日本経済の持続的な回復を示す前に、海外投資家は大幅売り越しに転じている。
GPIFの資産構成比率を定めた基本ポートフォリオでは、国内債は60%、国内株は12%、外国債券は11%、外株は12%。
GPIFの昨年末時点では、国内債が55.2%と2006年度の設立以降で最低となる一方、国内株は17.2%と0712月末以来の高水準を記録。外債は10.6%、外株は15.2%。
ブルームバーグのデータによると、先進国のソブリン債(国債)指数に占める日本国債の時価総額は27%。国内株はMSCI(世界株価指数)先進国株価指数7.8%に過ぎない。
小幡氏は国内債比率の引き下げに疑問の余地はないが、運用資産の取り崩しに備え、円滑に現金化できる流動性の高い資産が必要な面もあると指摘している。
個人的見解では、妥当な水準は「世界の時価総額における比率と現状との間」が妥当だと述べた。日本の長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは足元で0.6%強と世界最低となっている。
 
3、「目からうろこ」は皆無 国民の理解が前提
日本銀行の黒田東彦総裁が2%の物価目標を目指す中、GPIFは国内債比率の引き下げと収益向上を求める圧力に直面している。
昨年11月には政府の有識者会議が、国内債偏重の見直しやリスク資産への投資などを求める提言をまとめた。
座長を務めた伊藤隆敏政策研究大学院大学教授は、4月の取材で、国内債を40%程度に引き下げるなどして海外の主要な年金基金に対する出遅れを早く取り戻すべきだと述べた。
しかし、小幡氏は有識者会議の提言は、GPIFの運用委員会がすでに議論してきた内容ばかりで「『目からうろこ』な点は1つもない」と言う。
GPIFの運用改革では出資者である国民の理解と納得を得るまで丁寧に議論を尽くすことが「憲法改正の場合以上に必要」だとし、安倍内閣が6月で期限を切るのは、議論の成熟度合いを考慮すると「物理的に短すぎる」うえ、国民の理解の必要性を「全く視野に入れていない」と述べた。
以上、ブルームバーグ参照
 
国内景気は、増加一方の財政赤字の再建問題を棚上げした公共投資により維持されているが、巨額貿易赤字に対し、先進国からの財政再建圧力は日増しに募るばかり。日銀による資金の垂れ流しも、その資金は銀行にお寝んね、市場への供給は、日銀が抱えた国債総額の2割以下にとどまっている。円安効果も過去1年で一巡、本年度は正念場となる。これ以上の円安も隣国はじめ世界各地にリスクが潜んでおり、完全に頭打ちとなっている。
消費税増税による落ち込む景気の回復は、自律回復は望めず、引き続き、日本の隅々に至るまで公共投資を行うことによる景気刺激策が必要となっている。
一方で、景気を左右する株価も、円安効果で企業利益が大幅拡大すると見た外資による日本株の買い付けは、(日本企業の海外への工場移転により)円安は思ったほどの効果を得ていないことから、本年に入り、日本株離れを引き起こし株価は下落している。自律回復も下値模索の行ったり来たりの状態だ。
日本経済の状況は、何か、最後の晩餐のような気がしてならない。
財政再建・公共投資
円安円高・貿易収支
資金垂れ流し・回転しない資金
工場減少により限定された円安効果
消費税増税+ほか国民負担の増加+物価上昇⇒増すばかりの国民負担増
進む少子化
方向性が見えてこない政策。
[ 2014年5月 7日 ]
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