エクソソームで新たなアルツハイマー病予防、治療へ/北大湯山耕平教授ら
脳内に蓄積することでアルツハイマー病の原因となるタンパク質「アミロイドベータ」を減少させる動物実験に、北海道大や広島大の研究チームが成功した。今後、アルツハイマー病の予防や治療法の開発につながる可能性があるという。
記憶障害などを招くアルツハイマー病は、脳内で分解しきれなくなったアミロイドベータが蓄積して次第に塊になり、神経細胞を傷つけることが原因の一つとされる。
研究成果を発表したのは、北海道大学の湯山耕平,孫慧,酒井祥太,古川潤一,藤谷直樹,篠原康郎,五十嵐靖之,佐賀大学の光武進,広島大学の岡田恵,田原栄俊の各先生、
成果は7月18日付の米科学誌ジャーナル・オブ・バイオロジカルケミストリー(電子版)に掲載された。
1、当研究の背景として,アルツハイマー病の発症原因の一つは,アミロイドベータ(Aß)というペプチドがかたまりを形成し,脳内に沈着して蓄積することができることがわかっている。
2、神経培養細胞由来のナノ顆粒である「エクソソーム」を投与すると, アルツハイマー病モデルマウス脳内のアミロイドベータペプチド(Aß)の濃度が低下し,Aß が固まってできるアミロイド斑の蓄積を阻害することがわかった。
3、エクソソームへのAß の吸着にはエクソソーム膜のスフィンゴ糖脂質糖鎖が関与している。
4、モデル動物を使用したこれらの新しい知見により,エクソソームがアルツハイマー病の病態発現に関与している可能性とともに, エクソソームを介した新たな予防,治療法開発に繋がることが期待される。
エクソソーム:様々な種類の細胞から分泌される二重膜小胞。特定の分子を包み,細胞間で受け渡すキャリアーの役割を担う。

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