アイコン 米ベストセラー「21世紀の資本」/ピケティ教授著作 

「行きすぎた格差がアメリカ経済を弱くする」
ピケティ教授(フランスの経済学者) は、20ヶ国以上の税金のデータを、国によっては300年前までさかのぼって集め、「所得」と「資産」を分析。日本については明治時代から調べた。その結 果、資産を持つ者がさらに資産を蓄積していく傾向がある、格差は世襲を通じて拡大すると指摘している。
欧米や日本などでは、暮らしは楽にならないのに、金持ちばかりがいい思いをしていると感じている人が増えている。多くの人が今の資本主義の姿に疑問を持つようになっている。

そのため、歴史を遡り、誰のもとにお金が集まってきたのかと。所得税制度が作られたのは、フランスなど欧州各国やアメリカでは1900年前後。日本ではもう少し早く始まっている。相続や資産に関するデータについては、イギリスやフランスでは18世紀にまでさかのぼることができる。
とりわけヨーロッパや日本では今、20世紀初頭のころと同じくらいにまで格差が広がっている。
格差のレベルは、100年前の第1次世界大戦より以前の水準まで逆戻っている。

経済成長のためには、ある程度の格差は必要だが限度がある。格差が行きすぎると共同体が維持できず、社会が成り立たなくなるおそれがある。
どの段階から行きすぎた格差かは、決まった数式があるわけではない。だからこそ、過去のデータを掘り起こして検証するしかない。
富裕層と一般の人の間には、はじめは大きな格差があっても、経済成長による賃金の上昇などを通じて、上から下に水がしたたり落ちるように富が広がり、格差は徐々に縮小していくと言われ、水はしたたり落ち。

しかし、20ヶ国以上のデータを分析した結果、日本を含めたすべての国で、そうではなかったと指摘。例外は、皮肉にも2つの世界大戦の時期で、このころだけは格差は縮小したとピケティ教授は言っている。
富を手に入れる方法を単純化すると、一般の人のように、働いて賃金やボーナスを受け取る方法と、資産家のように、金融資産の利子や株式の配当などを受け取る方法がある。

しかし、現実は、富裕層の資産が増えるスピードが、一般の人の賃金などが増えるスピードを上回っていることが問題の根源だと強調。つまり、働いて稼ぐよりも相続や投資などを通じてお金を受け取るほうが手っ取り早い。そして、資産を持つ者がさらに資産を蓄積していく、格差は世襲を通じて拡大すると結論づけた。
今、世界では、排外的な動きや極右の動きが広がっている。この裏には、格差問題を簡単に解決できず、それにみなが気づいていることがあると分析している。国内で平和的に解決できないと、国どうしの緊張、世界レベルの紛争につながってしまう。
 こうした不安に加えて、富裕層の側にも、このまま格差が拡大して分厚い中間層がなくなると、ビジネスが成り立たなくなるという警戒感があることも背景にある。

低成長、人口減少の日本は、格差が拡大しやすくなると警鐘を鳴らしている。
日本は見事に逆戻りしていると分析。1950年から1980年にかけて目覚ましい経済成長を遂げたが、今の成長率は低く、人口は減少している。成長率が低い国は、経済全体のパイが拡大しないため、相続で得た資産が大きな意味を持つ。単純に言うと、昔のように子どもが10人いれば、資産は10人で分けるので、1人当たりにするとさほど大きな額にならなかった。しかし、1人っ子の場合、富をそのまま相続することになる。一方、資産相続とは縁がなく、働くことで収入を得て生活する一般の人たちは、賃金が上がりづらいことから富を手にすることがいっそう難しくなっている。その結果、格差が拡大しやすくなっている。

<格差を縮小するためには>
格差を縮小するには、累進課税が重要で、富裕層に対する所得税、相続税の引き上げが欠かせない。国境を越えて資金が簡単に動かせる今、課税逃れを防ぐために、国際的に協調してお金の流れを明らかにするなど、透明性のある金融システムを作ることも必要。
しかし、これには世界中の富裕層などから猛烈な反発が起きた。稼いでもその多くを税金として納めるとなると、新しいアイデアやビジネスを生み出す意欲が削がれて、経済全体が停滞してしまうという論法。
富裕層の富の拡大を抑えるのではなく、最低賃金を引き上げたり教育の機会を充実させたりして、一般の人の収入を底上げするべきだという意見も出ている。
この格差の問題、最近、国際会議でも大きなテーマになっている。また、この夏以降、アメリカの大手金融機関や格付会社が相次いで「行きすぎた格差がアメリカ経済を弱くする」などと指摘。資本主義をいわば象徴する組織の報告書に掲載されている。
世界の議論は、格差のあるなしではなく、「格差は拡大している」というのを前提にして、いかに是正していくかという、新しい段階に入っている。
ピケティ教授は、日本を含めた各国で、どう議論が深まっていくのか、注目していきたいとしている。
以上。

竹中平蔵の新自由主義経済=ハゲタカ経済から中間層が消えていっている。現に消えている。未来を見据えないノー無し政権が続き、おまけに極度な少子化現象に至るまで放置している。中間層の消失は下層を増加させることでもあり、未婚の増加、少子化を加速させているのが、現在の日本の実態だろう。
格差是正が刺激的に発生する時は、恐慌など大きな経済問題や戦争などが発生する。だが、ハゲタカ経済下(竹中平蔵がもたらした新自由主義経済下)では、国内・世界で格差は確実に拡大し続ける。

[ 2014年10月20日 ]
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