アイコン 韓国主要8部門のうち6部門で中国に負ける  前年比4部門陥落

韓国のスマートフォンや自動車など主力輸出産業8部門のうち6部門の世界市場占有率(昨年基準)が中国に追い越されたことが分かったと報道されている。
韓国の全国経済人連合会は、2003年と昨年の韓中主力産業競争力を比較・分析した結果を8日発表した。
その調査報告によると、スマートフォン・半導体・ディスプレー・自動車・造船海洋・石油化学・精油・鉄鋼など8部門の主力産業のうち、昨年基準で、中国より世界市場占有率が先んじていたのは半導体とディスプレーだけだった。
2003年には、韓国が精油(石油精製能力)と鉄鋼(粗鋼生産量基準)を除く、残りの6部門の市場占有率で中国を先んじていた。
しかし、スマートフォンは今年4~6月期基準で、中国企業等の世界市場占有率(販売量基準)が31.3%となり韓国の30.1%を抜いた。昨年4~6月期、中国のスマートフォン市場占有率は14.6%にすぎず、韓国の34.8%より大きく出遅れていたが、1年で逆転した。
個別企業基準では、サムスン電子が世界1位ではあるものの、シャオミ(小米)・ファーウェイ・レノボ・OPPO・クールパッド・ZTE・ViVOら9社の中国スマートフォンメーカーが、販売量を急速に増やした結果だと全経連は説明している。

<中国の追撃>…スマートフォン・車・造船で逆転される
韓中間における主力産業の逆転を示すもう一つの業種は自動車。昨年、中国の自動車メーカー等の生産量は1,097万台で全世界市場占有率12.5%を記録。半面、韓国は863万台で占有率が9.8%にとどまった。
造船産業でも10余年間に明暗が交錯。受注量や建造量、受注残高など造船産業競争力を示す3種類の指標で昨年韓国は中国におされ、今年も受注量で後塵になることが判明している。
石油化学部門(エチレン生産能力基準)でも、韓国は2003年5.34%の世界市場占有率を上げて中国の5.27%より優勢だったが、昨年は5.4%の占有率で中国の12.2%の超されてしまった。

主力産業うちで依然と中国を先んじている部門は「半導体」と「ディスプレー」。
全国経済人連合会産業の本部長は「価格競争力に技術力を加えた中国産業が猛スピードで韓国に追いついている」と懸念を示した。
以上、

韓国電子・電気業界は、以前の日本を見ているようだ。中国という国内に巨大市場を持つ企業群が本気を出して生産してくれば、最先端群の製品や新規分野の製品でない限り勝てないことは日本が陥落した時からわかっていたこと。しかし、韓国勢は日本式経営により生産組織を拡大させ、日本の当業界の没落を再現しているようでならない。
中国の企業群は、その国内のスケールメリットを生かし、利益を稼ぎ出す術を知っており、最先端の製造機械を導入し、品質レベルを高め、快進撃を続けている。
中国の工賃が高ければ、生産ロボットを大量導入し、生産効率を飛躍的に高めている。
それは、日本の安川電機やファナックの最近の業績を見ていればわかることでもある。その影には、台湾勢の率先した動きも刺激している。台湾勢はEMSメーカーの鴻海だけでも11兆円の売上高を計上しており、そのほとんどが、中国国内で生産しているもの。そのEMSメーカーたちも挙って生産効率の最大化を図ってきている。なぜなら、世界市場が低迷する中で、販売価格は抑えられ、下からは労賃上昇の圧力を受けているからであり、利益を出すには、これまでの人海戦術から離れ生産効率を求めるしかないからだ。

<労賃の差はまだ大きい>
中国で労賃の上昇はあっても、まだまだ韓国(日本とほとんど物価は変わらない)の生産労賃からはかけ離れており、上がってもロボットなどの導入により、そのメリットは格段に生かされる。原材料調達、運送、電気、機械・建物等の設備投資などあらゆる分野の労働単価が原価に組み込まれており、いずれをとっても韓国と比して安価に調達できる。同一分野で生産コストが違えば競争力を持つのは自明である。
中国政府は鉄道などのインフラ投資を今も積極的に行っている。そのことは沿岸部と内陸部の格差是正にも繋がるが、まだ沿岸部に比し安い労賃が存在している。その労賃確保を求め内陸部に進出する大工場も多い。格差是正は中国政府の政策でもある。

<ソフト開発能力の違い>
生産価格や生産効率を求め、中国企業は途方もない投資を行っている。ソフト面でも、韓国には限られた巨大企業しかないが、中国には雨後の竹の子状態で開発を競い合いながら中国としての市場シェアを拡大させている。それに対する資金は、銀行のほか、投資ファンドなどがバックアップし、人・物・金・時間を最大限活用して成長させている。
先述のシャオミは、開発に専念してアップルのように工場を持たないことでも知られる。アップルとの大きな違いは、既存のルートである回線会社の販売店で販売せず、ネットで販売している点にある。それでいて5千万台以上のスマホを販売し、急成長を遂げている。そうしたネットインフラも中国ではすでに出来上がっている。
レノボは、パソコンメーカーとして知られている。しかし、パソコン市場は世界で縮小しており、今ではスマホにも展開し大成功させている。それにもかかわらず、モトローラの携帯部門をグーグルから29億1000万ドルで買収(2014年10月買収完了)し、更なる拡大を図ろうとしている。同社は世界一のパソコンメーカーであるが、2005年にIBMからパソコン事業を17億5000万ドルで買収し市場を制してきた実績がある。

<オーナーの年齢的な差>
オーナーの高齢化が進み企業の硬直化も進む韓国の財閥企業群とは異なり、中国のオーナーたちはまだ若く、ソフト吸収力もまったく異なる次元で企業を成長させている。また、成長分野に対する中国政府の手厚いバックアップも見逃せない。
中国は桁外れの守銭奴国であるだけに投資にも貪欲、持たない技術は先進国企業を買収して調達する方法をとっている。そのあまりにも貪欲な買収にアメリカでは政府が待ったをかける事件も生じている。ほとんどが、若いかまだ高齢には至っていない経営者たちが行っている。世界市場で戦う企業は常に企業の柔軟性と決断力・実行力・スピードが求められる。

<ディスプレーや半導体市場の今後>
ディスプレーや半導体市場は、開発が進むごとに競争にさらされ、開発利益を獲得できない事態に至って久しい。しかし、開発を続けなければその価値は限りなくなくなる。
最大の需要先である中国は、製品価値の最大化を熟知しており、安ければ購入し、そうでなければ購入しない。
ディスプレーは、半導体と異なり市場は狭くなるが、その主力は今やスマホ・タブレット・TVとなっている。その技術はいまだ成長過程にあり4K・8Kに至っては、市場戦略上開発は続けられようが、人の目ではそこまでニーズが拡大するとは思えない水準に至る。半導体も然りである。
今後はそれらを利用したソフト面の開発が求められている。ソフトはシリコンバレーや中関村に求められようが、ウェアラブルにしてもスマホのような市場拡大はまったく生じていない。ドン詰まり状態に至っている。
そこに韓国勢の存在価値も求められようが、韓国勢の場合、この分野では自社品(スマホやTV)の利益の最大化を図るために生産拡大してきた経緯があり、すでにサムスンがTV5千万台を世界で販売しても利益は限られ、スマホも中低価格帯での中国勢の追い上げに苦戦し、高価格帯は製品の優劣ではなくアップルに先を越されてしまっている。

<土壌改良も求められる>
中国勢は中国政府と異なり単なる利益集団に徹している。そのため、欧米での多くのM&Aも受け入られており、中国勢もM&Aで取得した企業を中国化など一切していない。その目的が市場占有率の拡大や技術取得に最大目的を有していることにある。
これまで、韓国は世界に向けた文化戦略など国家挙げての戦略により、韓国勢は成功を納めてきた。しかし、多様性の乏しい国民性も良いイメージのときは良いが、悪いイメージをもたれた場合、市場が敬遠してくることにも繋がる。
ネット世界では、すでに悪いイメージが持たれつつあり、国のイメージアップの再構築が必要となっている。それはスポーツ精神に関わることも、反日の動きであっても世界に配信されており、国のイメージはあらゆる分野から作られている。人の脳に残るのは圧倒的に悪いイメージの方である。

<アナリストの目>
世界で活躍する韓国勢に対するアナリストの論説は、商売と見たほうが懸命である。株価の動向にも繋がり、安直なことはいえないはずだが、好き勝手に論説している。経営数字とその内容だけが真実を物語る・・・。
研究開発投資にしても、既存分野でいくら巨額投資を行ったところで、市場競争にしばらく優位に立つくらいで、投資利益を上げられないまま次の投資をせざるを得なくなる。投資額が大きくなればなるほど、そのジレンマから抜け出せなくなる。既存電子分野の市場で市場占有率が30%未満の分野は価格維持も厳しいともいえる。
サムスンのNAND型フラッシュメモリーの半導体市場シェアが2年6ヶ月ぶりに30%を割り、SKハイニックスは1年ぶりに10%台のシェアを回復したニュースが11月流れていた。30%あれば価格設定能力もあろうが、割ればその限りではない。また、サムスンの場合、自社製品に組み込む量も多い。
この分野も妙味ありとして中国勢が本格的に参入してきた場合、価格破壊が進むことになる。

 

[ 2014年12月10日 ]
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