アイコン 小野薬品の新がん免疫療法治療薬「オプジーボ」に副作用の筋無力症

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新がん治療薬として鳴り物入りで登場したがん免疫療法治療薬「オプジーボ」、世界に先駆けて薬剤承認したアベノミクスの厚労省、期待の新がん免疫療法治療薬剤。
しかし、今回の副作用問題により、これまでの臨床件数と問題点の把握・対応が適切だったのか問われるものにもなった。また同薬は副作用も少ないとされていた。
成果がいくら大でも小を犠牲にすることはできない。ヒトの生命がかかわっているのだから。

厚生労働省は15日、免疫を活性化し、がん細胞への攻撃を促すタイプの新しいがん治療薬「オプジーボ」を投与された患者1人が重症筋無力症で死亡したとして、小野薬品工業に対し、同症などを薬の添付文書の「重大な副作用」欄に追記し、関係者に注意を促すよう求める通知を出した。重症筋無力症は、全身の筋力が低下し、呼吸困難に陥ることもある難病。

同省などによると、悪性黒色腫での製造販売が承認された昨年7月から今年8月末までの間で、薬を投与された患者のうち6人が同症や筋炎を発症し、その中の80代女性が呼吸不全などを併発して死亡した。いずれも薬との因果関係が否定できないとした。
大腸炎や重度の下痢も4人の発症が確認され、重大な副作用として添付文書への追記が求めた。
 以上、

 同薬が薬剤承認を得ているのは「根治切除不能な悪性黒色種(ほくろのガン)」であり、皮膚や口腔内に発現する悪性がんに対するもの。
 治験では、非小細胞肺がん、前立腺がん、大腸がん、腎細胞がんなどの固形がんも行われているが、あくまで治験段階、医師はどのようながんに対して投与したのだろうか。
 これまでは、見える根治切除不能な悪性黒色種については、放射線ターゲット破壊型治療が多いと思うのだが・・・。

<ニボルマブ(商品名:オプジーボ>誕生
がん細胞は、正常細胞から発した異形細胞であり、ヒトを生物として繁栄させた仕組みを利用していることが、治療の難しさの一端にある。
がん細胞は、生体防御のために備わっている免疫系の攻撃をかわしながら徐々に成長して生命を脅かす一方、免疫細胞はがんとの長期の戦いにより疲弊していく。

2014年、新しいコンセプトの抗がん剤、小野薬品工業のニボルマブ(商品名オプジーボ®点滴静注)が登場、画期的な「がん免疫療法」として大きな期待を集めている。

<本庶佑京大教授らの開発経過>
この創薬をけん引したのは、世界の免疫学研究を長年リードしてきた京都大学の本庶佑氏(現・客員教授、静岡県公立大学法人理事長)。

本庶研究チームの石田靖雄氏が(現・奈良先端科学技術大学院大学准教授)が、免疫細胞があらかじめプログラムされた細胞死(アポトーシス)を起こす分子の探索を進めた。
1992年に最初に見つかった分子をPD-1(Programmed cell death-1)と命名。PD-1は活性化した免疫細胞(T細胞やB細胞)に広く発現し、“免疫のブレーキ役”(免疫チェックポイント分子)として、免疫応答を抑制する機能を持つことが証明した。

本庶氏は1999年に成果を報告するとともに、これが感染症やがんの治療に応用できるはずだと直感した。

この研究は、1960年にノーベル賞を受賞したオーストラリアの免疫学者マックファーレン・バーネット博士が、50年代に「がん免疫監視説」を提唱。ヒトの体内では毎日3000個ものがん細胞が生じているが、免疫系がこれを排除してがん発症を防いでいるという説に基づき研究が重ねられた。

本庶氏は、がんを免疫で抑え込む治療法の開発に取り組んだ。免疫応答は、まず抗原を認識することが火付け役(イグニッション)となる。
ただ、そこに正の共刺激 (アクセル)がないと十分に活性化しない。従来のがん免疫療法は、がん特異抗原を見つけ、それを体内に入れることでアクセルを踏み込もうというもの。
しかし、体内にがんがあって抗原も膨大にある場合、わずか数ミリグラムの抗原を加えても効果は薄い。その上に負の共刺激 (ブレーキ)がかかっていれば、いくらアクセルを入れても免疫応答は起こらない。
ブレーキを解除して免疫を再活性化することが治療につながる。ここにポイントがあると見抜いていた。

<マウス実験で成功>
2000年には、京大と米国Genetics Instituteなどとの共同研究で、PD-1に特異的に結合する物質(リガンド)として、PD-L1とPD-L2が相次いで発見された。
がん細胞表面にPD-L1が存在し、免疫細胞のPD-1受容体と結合した場合、免疫細胞の反応が抑制されてがん細胞を攻撃する力を失ってしまう。
抗PD-1抗体によってこの結合を阻害すればブレーキが外れ、免疫細胞は再びがんを攻撃する可能性があると想定。
本庶チームでは、動物実験を進め、期待された通り、抗PD-1抗体投与によりマウスの抗がん能力が著しく高まることを示し、2002年に論文を発表した。
さらに、移植したがんの転移の抑制などについても、様々な実験でデータを補強した。

<米社との共同研究へ>
米国のバイオテクノロジー企業、メダレックス社は、ヒト型の抗体を作る特許と技術を持っており、PD-1抗体の臨床応用などを小野薬品と共同した。

2006年にヒト型PD-1抗体として、ニボルマブが米国食品医薬品局(FDA)により研究用新薬として認可され、同年から臨床試験が米国でスタート。

2009年、米製薬大手、ブリストル・マイヤーズスクイブ社が、24億ドルでメダレックス杜を買収すると、薬剤開発は加速された。

<2014年に治療薬「オプジーボ」が誕生>
米国での治験では、非小細胞肺がん、前立腺がん、大腸がん、腎細胞がんなどの固形がん、および悪性黒色腫(メラノーマ)を対象に投与する試験が実施され、いずれも有効例が認められた。
メラノーマや腎細胞がんでは30%近い奏効率(がんが消失または一定割合以上縮小した人の割合)を示した。

試験の結果は、2012年、臨床医学雑誌「New England Journal of Medicine」誌に報告され、論説では、「過去30年で試みられた多くのがん免疫療法で、最も高い奏効率」と評された。1年以上の長期にわたって再発がない患者もいた。

日本では、小野薬品が非小細胞肺がん、腎細胞がんなどの患者を対象に安全性を調べるフェーズⅠ試験を行い、著効を示す例が出た。
中で最も予後の悪いメラノーマを対象とした開発を先行させた。
メラノーマを対象にしたフェーズⅡ試験は日本国内では実に20年ぶり。

抗体を用いた「がん免疫療法」は、米国科学雑誌「Science」が選ぶ13年の「Breakthrough of the Year」に選ばれた。

ニボルマブは、2014年7月、「オプジーボ」として、メラノーマ対象に世界に先駆けて日本で承認され、9月には米国でも承認された。
肺がん(治療歴を有する進行期肺扁平上皮がん)については、米国では既に試験を終えて優先審査がなされている。
現在も、多くのがん種について臨床試験が実施されており、順次、適応拡大が見込まれている。また、世界の製薬企業が、 免疫チェックポイントを標的として多くの薬剤を開発中である。

<従来がん薬との相違>年間1500万円の治療費
ニボルマブには、従来の抗がん剤と比べ、
がん種を問わない、
副作用が少ない、
末期でも効き始めたらずっと効き、再投与もできる、
という大きな特徴がある。
特定のがん種の増殖にかかわる分子をピンポイントで狙う分子標的薬とは逆で、免疫チェックポイント阻害薬は幅広いがんの治療薬となる。
本庶氏は、「今の抗がん剤は、やがてほとんど使われなくなり、すべて PD-1抗体で治療することになるだろう」と予測する。

<年間1500万円の治療代>
最大の欠点は、価格が非常に高いこと。患者1人当たりの年間治療費は、平均で約1500万円にも達するとされる。遺伝子組み換えのニボルマブを3週間に1回投与する必要があり、1回当たり投与額は729,849円(厚労省資料)。
以上、

従来がん治療薬より少ないとされた副作用が問題となった。
その有効性があろうと1500万円もかかったら、私には縁がないようだ。
がんターゲット放射線治療の陽子線・重量子線による治療も、莫大な税金が投入されているにもかかわらず、健康保険が効かない富裕層向けの施設となっている。

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[ 2015年9月16日 ]
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