アイコン 世界遺産申請延期問題「長崎の教会群遺産」 考察

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世界遺産は客寄せパンダではない。

2016年夏の世界遺産登録100%間違いな しと見られていた「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」。政府は昨年1月に申請、その後現地を訪れ審査したイコモス(ユネスコの諮問機関でカナダの国際記 念物遺跡会議)が、今年1月の中間報告において、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が構成する「伝来・弾圧・復活」の内容に疑義を呈し、「弾圧や禁教 の歴史」に特化した内容に修正すべきだと見直しを求めてきたという。
 それに対して、政府は、イコモスに対して、反論する論拠を構成することができず、あっさり2016年での申請を取り下げ、2018年以降に再申請するという。
イコモスにしてもキリスト教関連の世界遺産は既に多く、申請にある1900年以降の教会建築物など世界には山ほどあり、日本側がその違いにつき、相手を納得させるだけの説明ができなかったものと見られる。

 イコモスの指摘の「弾圧や禁教の歴史」をそのまま取り入れた場合、現在の14件の遺産構成を大幅に見直す必要に迫られる。それどころか、長崎・熊本天草に限定できないものにもなる可能性すらある。
申請遺産群を登録させるには、申請概要そのもの変更やイコモス案にも乗ぜず、新たな申請内容にする必要がある。

申請概要
1、キリスト教の伝播と普及/キリスト教の繁栄と弾圧を示す遺跡 日野江城跡、原城跡など
2、禁教下の継承/禁教時代に形成された集落の内外にある、禁教時代から続く信仰の場、崇敬地等平戸の聖地や集落など
3、解禁後の復帰/潜伏して信仰を守ってきた場所に信仰の証として建てられた教会群
黒島天主堂、頭ヶ島天主堂、天草の崎津集落など

(2について、隠れキリシタンのキリスト教は、追っ手や島人さえ来ない島々の小さな入り江などに入り生活し、長期にわたり隠れてキリスト教を守り、それも口承により受け継がれ、伝来した当時のキリスト教とは異質なものになっていた。生月島は領主がキリシタンとなり島民のほとんどが信者となっていたため大弾圧を受けた。それでも偽装して隠れキリシタンとして信者は残り、今に伝わる。オラショは今の欧州ではなくなっているが、ポルトガルの古文書館に楽譜が存在するそうだ)

14件の内容
教会が7件、(大浦天主堂を除き明治以降建造)
集落が3件(集落であっても教会が主)、・・・以上、教会10棟
聖地が2件、禁教時代の聖地とされた平戸の中江ノ島と安満岳、
城跡が2件、天草四郎の乱の原城跡とキリシタン大名有馬氏の居城跡(ほとんど知られていない)

申請内容を欲張ったばかりにイチャモン付けられたか、それとも反日韓国がイチャモン付けた明治遺産登録騒動のペナルティか。
明治遺産登録では、最終審査のユネスコ会場に、会場に乗り込んで登録反対と叫び大問題化させた韓国側と、日本政府は、「朝鮮人を強制労働させた施設には、その旨を表示するプレートを設置する」ことで妥協、登録に至った経緯がある。しかし、登録施設は私有財産も多く、そのプレート設置が遅れ、それを韓国は再度ユネスコに問題だと指摘していた。
・・・政治問題に発展する事柄で隣国と付き合えばろくなことはない。

長崎教会群遺産登録は、江戸時代の外国人居留地に所在した大浦天主堂を除き明治時代(信教の自由を謳った明治憲法施行1890年)以降に建造された9件の教会が主な登録対象になっている。
日本の歴史を知らないカナダ人たちのイコモスが審査しても、長崎教会群に歴史的世界的な価値を見出せなかったと見られる。

これに対し、日本政府は、八百万の神と仏教国である日本に入ってきたキリスト教、その後の弾圧、現代に至る隠れキリシタン、キリスト教文化遺産の説明を、イコモスが納得できるほどできなかったものと見られる。
 
14件の遺産も人為的に選定されたものであり、戦後になり始めて世に紹介された今も昔のままの信仰形態を持つ隠れキリシタンの集落は登録対象にもなってもいない(生月島)。
 
長崎や九州には、明治以降昭和初期までに建造された教会はほかにいっぱいある。

当HPで以前記載したが、原爆で破壊された1880年を建造起源とする浦上天主堂をなぜ登録申請しなかったのか。
建物自体は以前の建物様に1959年に元の場所に再建築されたが、被爆マリア像や外壁などが現存している。
申請していれば、イコモスにしても、現代に至る長崎キリスト教文化・原爆・平和への願いの歴史が今も見て取れるものになっただろう。

原爆で廃墟になった浦上天主堂を訪れた水原秋桜子作『麦秋の 中なるが悲し 聖廃墟』

[ 2016年2月 5日 ]
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