理論的な限界に達しつつある車両用などの二次電池にブレークスルーをもたらすものと考えられる。

1、発表者:
西原寛(東京大学大学院理学系研究科化学専攻 教授)
佐藤正春(東京大学大学院理学系研究科化学専攻 特任研究員)
王映(東京大学大学院理学系研究科化学専攻 博士課程3年)

2、発表のポイント:
◆二次電池(注1)の高容量化につながるシリコン含有負極の利用を可能とする加圧電解プレドープ技術を開発した。
◆加圧することで、従来の方法に比べて電気化学的プレドープを大電流で行うことができ、量産技術への適用も可能な処理速度が達成できた。
◆この技術を用いれば、不可逆容量の原因である負極活物質の固体電解質界面(SEI)層形成を電池の組み立て前に行うことができるため、従来の黒鉛負極で最大10%程度、シリコン含有負極で最大20%程度容量が増大する。
その割合、つまり容量が増加する割合はプレドープ時間に依存するが、加圧することで実用的な速度での高容量化が可能となった。

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また、加圧下での電解反応によって高品質の固体電解質界面(SEI)層が形成されるため、充放電サイクル寿命も長くなる。

3、発表概要:
電気自動車やドローン、ロボットの普及に向けて高容量長寿命の二次電池が求められている。これまでの二次電池では初回の充放電で電解液や添加材がかかわる副反応が進行し、正極の持つリチウムを一部消費してしまうため、容量が活物質の使用量から計算した値より小さくなる(この容量を不可逆容量という)という課題があった。
東大大学院理学系研究科西原研究室では、二次電池を組み立てる前に負極とリチウムを反応させる実用的な方法(プレドープ)を種々検討し、負極の電気化学的プレドープを加圧下で行うことにより、大電流で高濃度までプレドープすることができることを見出し、これにより、不可逆容量を実用的な処理速度で削減することができた。

今回の技術は特にシリコンを含む高容量負極に有効。シリコンは理論容量が現状の負極の10倍以上で資源量も豊富なため、以前から注目されていた。しかし、不可逆容量が大きく充放電の繰り返しに伴う容量低下も大きいために利用は広がっていまなかった。
このシリコン含有負極に今回の加圧電解プレドープを適用すると、組み立てた二次電池の容量は20%増加した。また、充放電に伴う容量低下も抑えられることが確認できた。

本研究で開発した加圧電解プレドープ技術は、シリコン含有負極の他にもさまざまな種類のリチウムイオン電池に適用することができ、理論的な限界に達しつつある二次電池にブレークスルーをもたらすものと考えられるとしている。
以上、リリース参照

日本の科学者は共同して、日本式の全固定電池の開発に全力を集中してもらいたいものだが・・・