日清紡ホールディングスは、アナログ半導体事業を担う子会社などで正社員を含む560人の希望退職を募集すると発表した。対象は45歳以上の社員で、同社の半導体部門が抱える慢性的な赤字体質が、ついに人員整理という形で表面化した。
問題の中核にあるのは、子会社の日清紡マイクロデバイスが手がける製品群だ。家電、自動車、産業機器向けとされるが、実態は低価格の汎用アナログ半導体が中心。市場ではアジア勢との激しい価格競争にさらされ、利益を生みにくい構造に陥っている。
日清紡HDの希望退職募集が映す「日本半導体の病巣」 技術ではなく経営の問題日清紡ホールディングスは、アナログ半導体事業を担う子会社などで正社員を含む560人の希望退職を募集すると発表した。対象は45歳以上の社員で、同社の半導体部門が抱える慢性的な赤字体質が、ついに人員整理という形で表面化した。
問題の中核にあるのは、子会社の日清紡マイクロデバイスが手がける製品群だ。家電、自動車、産業機器向けとされるが、実態は低価格の汎用アナログ半導体が中心。市場ではアジア勢との激しい価格競争にさらされ、利益を生みにくい構造に陥っている。
同社は1958年から半導体事業を展開してきた老舗だ。しかし、その長い歴史が「作り続けること」自体を目的化させ、事業の再定義や撤退判断を遅らせてきた可能性は否めない。半導体は設備投資が競争力を左右する産業であり、低付加価値品に投資を続ける戦略は、年々リスクが高まる。
この点で対照的なのが、半導体事業を売却した東芝だ。優れた技術を持ちながらも、自社での継続が合理的でないと判断し、経営として区切りをつけた。結果として議論は残したが、経営判断そのものは明確だった。
日清紡HDの場合、赤字が続く中でも抜本的な事業転換は行われず、最終的に人件費調整へと行き着いた。これは個別企業の問題にとどまらない。日本の半導体産業全体が「技術はあるが、経営が決断できない」という構造的欠陥を抱えていることを示している。
技術者の努力では、市場選択や投資判断の誤りは埋められない。今回の希望退職は、経営判断の遅れがどこにしわ寄せされるのかを象徴する事例といえる。日本の半導体産業が再生を目指すなら、まず問われるべきは技術力ではなく、経営の覚悟だ。