マツダの早期退職制度に混乱 運用変更が示した「構造改革の痛み」
マツダが導入したセカンドキャリア支援制度が、想定以上の反響と混乱を生んでいる。転職支援や退職金の上乗せを盛り込んだ制度は、電動化に向けた体制再編の一環として位置づけられ、6月と12月に最大4回の募集を行い、累計500人に達した時点で終了する仕組みだった。
制度の狙いは明確だ。電動化・ソフトウェア化が急速に進む中、自動車メーカーは従来の組織・人員構成を見直さざるを得ない。特に間接部門のスリム化は業界全体の潮流となっており、マツダの取り組みもその一環と言える。
しかし、今回問題となったのは運用の不透明さである。初回募集では「上限到達後も翌日まで受付」としていた一方、2回目は上限に達した当日に締め切った。制度のルールが短期間で変わったことで、対象となる50〜61歳の社員から戸惑いの声が相次いだ。
この世代は住宅ローンや家族の生活設計など、人生の大きな責任を背負う時期であり、退職の判断には慎重な準備が不可欠だ。制度の公表から1回目の募集期間までが短かったこともあって、「2回目に備えて検討していた社員が多かったはず」との指摘も出ている。説明会が紛糾したという声は、現場の不信感を象徴している。
制度自体はキャリア転換や人員最適化の観点から必要性が高い。しかし、今回の運用変更は、社内コミュニケーションの不足が改革の受け止め方を左右するという事実を浮き彫りにしたと言える。
電動化シフトの加速で組織改革が避けられない中、他メーカーにとっても今回の一件は大きな教訓となるはずだ。制度の「中身」だけでなく、その「運用の透明性」こそが、社員の信頼を左右する時代に入っている。





